ルカとディナという珍しいペアでのSSです。
珍しく、SSらしいSSになった気がします(ぇ)
テンポよくかけたらいいなぁ、と思いまして(笑)
短いお話ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです!
では、追記からどうぞー!
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主に創作について語ります。 バトンをやったり、 親馬鹿トークを繰り広げたりします。 苦手な方は、どうぞ戻ってやってくださいませ! (私のサイト「Pure Rain Drop」) → http://id35.fm-p.jp/198/guardian727/
ルカとディナという珍しいペアでのSSです。
珍しく、SSらしいSSになった気がします(ぇ)
テンポよくかけたらいいなぁ、と思いまして(笑)
短いお話ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです!
では、追記からどうぞー!
美しい青空の下……小型の馬車は進む。
御座成りな舗装しかされていない道は酷く安定が悪く、
馬車はガタゴトと煩く揺れるが、
中に乗っている女性は一向に気にしていない様子だった。
小さな声で鼻歌など歌っている。
器用に馬を操るは、黒髪赤目の青年で。
青空の下走る馬車はゆっくりと、ゆっくりと道を進んでいく。
その道中、商人が引く馬とすれ違って、
馬を操る青年は、馬車の中の人物の"止めて頂戴?"という声に馬を止めた。
商人は帽子をとって挨拶すると、彼に訊ねる。
「旦那、何処までいくんで?」
「エディスまで。ちょっと、国の用事でな」
に、と笑う黒髪の青年。
エディスというのはこの国の外れにある街の名前だ。
ここからあと数キロも行けばつくだろう。
その返答に、商人の男は納得顔で頷いた。
「そうかいそうかい。俺は今エディスから出てきたところさ。
旦那は一人で旅路かい?」
商人の男の声に、黒髪の青年は小さく首を振る。
馬車の中からひょこりと顔をだしたのは、深々とローブを被った女性だった。
すれ違いの商人は、少々驚いた顔をする。
「こいつぁ驚いた。後ろにお客がいたのか」
「ははは、俺ひとりでこんな馬車を引いていったりはしないさ。
この人が馬に直接乗るのは苦手だというんでね」
馬車の方が早いのさ、と言って黒髪の彼は笑った。
その言葉に納得したように頷くと、商人は二人に果実を勧めた。
「このあたりで取れる新鮮なやつだ。ひとつどうだい?お嬢さん」
赤い赤い、綺麗な果実。
それは確かにこれから向かう街の名産品だと彼らも聞いていた。
商人が差し出した果実を見て、女性は目を輝かせる。
「わぁ、嬉しいわ。ね、買ってもいいでしょう?ルカ」
フードをかぶったままに、女性は言う。
「……構いませ……っと、構わないよ。じゃあ二つ頼む」
黒髪の彼……ルカは笑って、商人にいう。
そして買った果実を馬車の中の女性にそれを手渡した。
そのまま商人の男に別れを告げると彼は馬を走らせる。
直ぐに街が見えてきた。
馬に鞭を当てるルカは"暗くなる前についてよかった"と小さく息を漏らした。
「すごいわね。
国の外れのこんな道なのに、あんなに元気な人がいるなんて」
馬車の中の女性はそう言った。
そして、先刻買った果実をジッと見つめた。
綺麗な赤色。
美味しそうね、と呟いて、彼女は穏やかに微笑んだ。
「ねぇ、ルカ。私お腹が空いてしまったの。食べてもいいわよね?」
彼女は馬を操る彼の背中にそう言うと、
先刻彼に手渡された果実を齧ろうとして……
「あ、陛下お待ちください」
慌てて止める、ルカ。
どうして?という顔をする彼女の手からそれを受け取ると、
黒髪の彼はナイフで削り取ってそれを口に運ぶ。
暫く咀嚼して飲み込むと漸くその果実を女性に返した。
「……一応、周りを警戒してくださいよ……
貴女は、一国の王女なのですから」
ルカはそう呟いて嘆息する。
彼が彼女の持った果実を少し食べたのは、毒見のため。
そんな警戒の仕方をしなければいけないのは少々悲しいことだが、仕方ない。
"騎士として"彼女を守ることが、ルカの務めだから。
その様を見て、女性はくすくすと笑った。
「ごめんなさい。楽しくてついつい忘れていたのよ。
それにしても、ルカ。何でわざわざナイフを使ったの?
そのまま齧っても良かったのに。ナイフなんてわざわざ使う事ないわ」
「陛下……」
宿屋の前で馬車を止め、ルカは苦笑を浮かべ彼女の方を振り返る。
「ふふ、冗談よ」
ローブのフードを外して、ディナは笑う。
長い茶色の髪が背に流れ、綺麗なオッドアイが夕陽の光に映える。
ルカは彼女の手を引いて、馬車から降ろした。
「今日は此処で休みましょう。
これ以上進むと野宿になってしまいます」
「野宿も楽しそうだけど……」
やってみたいわ、と微笑むディナ。
ルカは一瞬驚いた顔を見せたあと、とんでもないというように首を振った。
「いけませんよ……俺だけならまだしも」
「ルカに出来るのに私に出来ないことがあって?」
「出来る出来ないの問題では……」
全くもう、とルカは笑った。
ディナも釣られたように笑う。
二人はあくまで主従の関係。
しかし今はディナが身分を隠してこうして国を視察している。
そのためだろうか、彼らは友人同士のようにも見えて。
元々ディナはそう言う付き合いを望む王女だ。
こうして、騎士と共に対等の立場で旅が出来るのが嬉しいのだろう。
「ねぇ、ルカ。明日は一体どこに行きましょうか?」
「そうですね……とりあえずこの街をゆっくり回ってみましょう。
此処の視察が終わったら、城に戻るのでしょう?」
「えぇ、そうよ。
……ルカは早く帰りたいでしょうね。フィアが心配?」
その言葉にルカは目を丸くした。
彼の表情を見て、ディナはクスクスと笑う。
「時々、写真を見ているでしょう?私が気づかないとでも思ったの?」
悪戯に笑う、ディナ。
彼女はいつもちゃんと見ていた。
周りにいる騎士たちの様子、思いを……
ルカは暫し目を伏せて、そのあと直ぐに彼女に応える。
「はは……陛下には敵いません」
そう言って、ルカは小さく笑った。
―― Ride in a carriage ――
(陛下のお供が出来ることは非常に喜ばしいことだけど…
あぁ、そうだ。早く帰りたい。早く帰って、彼奴の笑顔を見たいんだ)
性 別 | 女性 |
年 齢 | 29 |
誕生日 | 7月27日 |
地 域 | 静岡県 |
系 統 | おとなしめ系 |
職 業 | サービス |
血液型 | AB型 |