お医者様コンビ小説ですー
風邪ネタって定期的にやりたくなるんですよねぇ。
二人共医療従事者だから今まであんまりやらなかったな、って(おい)
*attention*
・お医者様コンビで風邪ネタ
・甘い感じになりました
・口移しネタ…薬じゃないけど(ぇ)
・完璧に私の趣味が出てますすみません←
・タイトルはそのまま。
・ナハトさん、本当にすみませんでした!
いじょうがOKという方は追記からどうぞー!
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主に創作について語ります。 バトンをやったり、 親馬鹿トークを繰り広げたりします。 苦手な方は、どうぞ戻ってやってくださいませ! (私のサイト「Pure Rain Drop」) → http://id35.fm-p.jp/198/guardian727/
お医者様コンビ小説ですー
風邪ネタって定期的にやりたくなるんですよねぇ。
二人共医療従事者だから今まであんまりやらなかったな、って(おい)
*attention*
・お医者様コンビで風邪ネタ
・甘い感じになりました
・口移しネタ…薬じゃないけど(ぇ)
・完璧に私の趣味が出てますすみません←
・タイトルはそのまま。
・ナハトさん、本当にすみませんでした!
いじょうがOKという方は追記からどうぞー!
「すみません……医師が風邪をひいたのでは、本末転倒ですよね……」
メンゲレは軽く咳をしてから、苦笑を浮かべた。
そう、メンゲレは現在体調不良でダウン中だった。
数日前から少々体調が優れなかったのだが、何しろ多忙な医療部隊草鹿。
ひとりでも人員が欠ければかなり仕事が大変になることを彼も知っていた。
だから、体が動く限りは何とか働こうと思って少々無茶をしたらしい。
結果的に熱が上がってジェイドにバレたのが数時間前。
平気だからとメンゲレが言うのも聞かず、
ジェイドはさっさと彼を部屋に連れ帰った。
そして、至る現在。
もっとも、メンゲレ自身体もいい加減に限界だったために、
こうしてベッドに沈んでいる他ないのだけれど。
「全く……一番傍にいながら……」
何でもっと早くに気づけなかったのだろうと落ち込んでいるジェイドを、
彼なりに慰めたりもしていた。
とはいえ、体調不良はあくまでも自分の落ち度と思っているメンゲレ。
結果的にジェイドに迷惑をかけていることに負い目を感じているようだった。
「すみません、ご迷惑を……」
しょぼんとするメンゲレに"謝らなくていいんですよ"、と首を振って見せつつ、
ジェイドはそっと手を伸ばしてメンゲレの額に触れた。
そのまま少し、表情を歪める。
「まだ結構熱いですね……」
辛くないですか、と訊ねながらジェイドは彼の額を撫でる。
もともとあまり体温が高くないたちのジェイドの手は冷たく、
発熱しているメンゲレにとっては心地良いものであった。
「大丈夫ですよ……大人しく、寝ています。
ジェイドさん、いつまでも此処にいてはいけないでしょう?」
講義があるのでは、とメンゲレは言う。
ジェイドは時計を確認しつつ小さく息を吐いて、頷いた。
今から、草鹿の騎士たちの指導だ。
本当はメンゲレの傍にいたいのだろうがそれは到底叶わぬこと。
一統率官として、職務を全うしなくてはいけない。
ジェイドは立ち上がりつつ、彼に声をかける。
「行ってきます。終わったら、また様子を見に来ますから……
何か、欲しいものはありますか?薬と水以外で」
ジェイドは心配そうにメンゲレの顔を覗き込みながら訊ねた。
「大丈夫、です……いってらっしゃい」
メンゲレは微笑んで見せる。
ジェイドはその顔を見て少し表情を和らげると一度メンゲレの額を撫でて、
それから部屋を出て行った。
ジェイドがいなくなると部屋がしん、とする。
当然だ。体調不良で寝ているメンゲレ一人の空間だから。
けほけほ、と小さく咳き込みつつメンゲレはぼんやりと天井を見上げる。
見慣れた白い天井。
熱があるためか微かに潤んだ瞳で見上げるそれはゆらゆら揺らいで見えて。
酷く、不安になる。
静かな部屋に響くのは時計の針が時を刻む音と、自分の少し速い呼吸と。
平気だ、と言っては見せたもののやはり不安だ。
こういう弱っている時には一層不安が大きくなる……
色々考えていてはいけないな、と思いメンゲレは軽く首を振った。
眠っていよう、とそう思う。
寝ないことには体力も削られる一方だし、不安も大きくなるばかりだから、と。
メンゲレは大人しく目を閉じた。
***
―― 暗い、暗い何処か。
静かな、暗い空間をメンゲレは走っていた。
何故自分が走っているのか。一体何が彼をこうも急き立てているのか。
何一つわからないけれど、足は止まらない。
そして彼は確かに"何か"に恐怖を感じているようだった。
何かから、逃げている。そんな感覚。
その"何か"がなんなのかもわからない。
それが余計に彼の恐怖を煽る。
―― きっと……
オリジナルの罪だとか。
それに対する自分への批判だとか。
死の天使として生きる自分への罵倒だとか。
そういった、形の見えない"何か"。
それが原因であることはうっすらと理解して。
でも、一体どこまで逃げればいいのか。
漆黒の闇はどこまでも続いていて、逃げても逃げても何処にも辿り着けない。
いつこの恐怖が終わるかもわからない。
助けて、と悲鳴をあげたくても喉が痛くてできない。
そうこうしているうちに、手首を掴まれた。
***
「――っ!」
メンゲレは勢いよく体を起こす。
それが夢だと理解するのに少々時間がかかった。
「わ……びっくりしました……大丈夫ですか、メンゲレ」
聞こえた声と、手首を軽く握っている誰かの手。
メンゲレは先ほどの夢の影響か、一瞬体をこわばらせたが……
なんのことはない。慣れた、彼の掌だった。
「ジェイドさん……戻って、きて……?」
「えぇ。講義が終わったので……
魘されていたのですね……ごめんなさい、気づけなくて」
ジェイドはよしよし、と彼の体を抱きしめて優しく頭を撫でる。
その腕にホッとして、メンゲレはジェイドの背に腕を回した。
縋るのも泣くのもみっともないと思ったが、体調を崩していて不安な心。
先ほどの夢もおそらく、その不安ゆえに見たものだろう。
「ごめんなさい……」
「何故謝るのですか?」
「だって、ジェイドさん……他に、仕事も……」
彼のことだ。自分の仕事は後回しにして此処にいるのだろう。
加えて現在のメンゲレの体調では手伝うこともできない。
その申し訳無さに、メンゲレの声は小さくなった。
ジェイドは彼の言葉に小さく笑みを浮かべて、そっと彼の頭を撫でた。
「……身内も同然な貴方を放って仕事なんて出来ませんよ。
以前と同じ過ちを繰り返すのは、嫌ですしね」
以前、というのは彼の妹……リンが体調を崩したときのことを示している。
彼はその時仕事を優先したことを今もくいているのだった。
「患者を放置して書類整理に没頭、は無理ですよ。
もっとも……僕の私的な感情も入ってしまいますけれど」
ジェイドはそう言いつつ、メンゲレから一度離れた。
サイドテーブルの上に置いてあったトレーから何かを手に取る。
「簡単なスープですが少しでも飲めますか?
軽くでも食事を取らないと、薬を飲ませられませんから……」
「あ、はい……少しなら」
せめて彼を困らせまいと、メンゲレはベッドのヘッドボードに寄りかかる。
ジェイドはそのさまを見て、微かに笑った。
そして、スープを掬うと、それに息を吹きかけて少し冷まして……
「はい、口あけてください」
メンゲレの口元に、差し出した。
無論、彼は驚く。
「え、ちょ……」
自分で食べられますよ、と言うも、ジェイドはまるで聞こえないふり。
それを引っ込める様子もなくにこにこと笑っている彼に負けて、
メンゲレは大人しく彼が差し出したスプーンを口に入れる。
「熱くないですか?」
「……平気です」
照れくささで頬は熱いけれど、と思いつつメンゲレは答える。
そんな心の声が聞こえたように、ジェイドは楽しそうに笑っていた。
そんなこんなで何とかスープを飲ませると、ジェイドは水と薬包紙をわたす。
「貴方は流石に薬は苦くて嫌だ、とか言いませんよね?」
「えぇ……あんまり、飲みたいものではないですが」
メンゲレは苦笑しつつ大人しく薬を口に入れた。
正直、とんでもなく苦い。
患者が嫌がる理由はよくわかる。
しかし、文句を言っても仕方がない。
大人しく飲み込んで、水を含む。
暫くはこのにがさも消えなさそうだな、と思っていた。
しかし。
「メンゲレ、ちょっといいですか?」
小さく名を呼ばれ、メンゲレが顔を上げたその刹那。
ジェイドは彼の唇を塞いでいた。
いつものような長いキスではなく、短いものではあったけれど……
ころん、と口の中に何かが入ってきてメンゲレは驚いた顔をする。
「な……っ」
ジェイドは彼から離れると悪戯っぽく笑った。
「先ほど教え子に飴をもらいましてね。
……舐めていなさい。少しは喉が痛いのも楽になるでしょう?」
確かに、口の中に入れられたのは飴玉のようだ。
甘さが口に広がる。
メンゲレは暫しその驚きと羞恥とで固まっていたが、やっとのことで口を開いた。
「か、風邪うつったらどうするんですか……っ」
「大丈夫ですよ。そんなに簡単には風邪引きません」
ジェイドは涼しい"ゆっくり休んで早く治してくださいね"と言いつつ、
自分の額を彼の額に軽く合わせて、穏やかに微笑んだ。
―― Specific medicine ――
(僕が貴方に触れることで貴方の不安が少しでも和らげば良い)
(薬の苦さよりも飴玉の甘さよりも貴方の優しさを強く感じて)