お医者様コンビで未来編のおはなしです。
未来のお話を考えると切なくなったりもしますが(!)今回はほのぼのと。
*attention*
・お医者様コンビで未来編
・メンゲレさんが現在のジェイドと同じくらいの年(24歳くらい)の話
・ほのぼのめです
・相変わらずにメンゲレさん溺愛のジェイド
・相変わらずの妄想クオリティ
・ナハトさん、本当に済みませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞー!
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主に創作について語ります。 バトンをやったり、 親馬鹿トークを繰り広げたりします。 苦手な方は、どうぞ戻ってやってくださいませ! (私のサイト「Pure Rain Drop」) → http://id35.fm-p.jp/198/guardian727/
お医者様コンビで未来編のおはなしです。
未来のお話を考えると切なくなったりもしますが(!)今回はほのぼのと。
*attention*
・お医者様コンビで未来編
・メンゲレさんが現在のジェイドと同じくらいの年(24歳くらい)の話
・ほのぼのめです
・相変わらずにメンゲレさん溺愛のジェイド
・相変わらずの妄想クオリティ
・ナハトさん、本当に済みませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞー!
差し込んできた眩い朝日。
黒髪の天使はそれを受けて目を開ける。
眩しそうに目を細めて、幾度か瞬くと体を起こして伸びをした。
時計を見ると、いつもより少し遅い時間。
昨日の夜、遅くまで仕事をしていたために少々寝坊してしまったらしい。
「そろそろ、支度をしなくては」
メンゲレは静かにそう呟くとカーテンを開けて、窓を開けた。
部屋に吹き込んでくる風が長い黒髪をそっと撫でていく。
さらさらと流れる黒髪は糸のように美しい。
メンゲレはそれをいつものように括った。
―― 彼がこの国に来てから早七年。
だいぶ伸びた髪は艶やかに背に流れ、深緑の瞳は美しく煌く。
と、その時。
とんとん、とドアがノックする音が聞こえた。
「メンゲレ、いますか?」
「あ、ジェイドさん。どうぞ」
返事をすると、開くドア。
そこに立っているのは緑髪の魔術医だった。
にこり、と微笑みながら黒髪の天使に言う。
「おはようございます、メンゲレ。
貴方にしては珍しく来るのが遅いので迎えに来てしまいました」
「おはようございますジェイドさん。済みません、少し寝坊してしまって」
照れくさそうに笑うメンゲレにジェイドは小さく首を振った。
「まだ遅刻という程の時間ではありませんから。
……単に僕が貴方に早く会いたかっただけですよ」
ジェイドはそう言いながらメンゲレの唇に自分のそれを合わせる。
こういうところは相変わらずだな、と思いつつメンゲレは彼の口づけに応えた。
嬉しそうに目を細めたジェイドは顔を離すと小さく笑った。
「こうして貴方の姿を見るたびに思うのですが……
もう、貴方がこの国に来て七年ですか。早いですよね」
「えぇ、そうですね。今では、僕が此処にきた頃のジェイドさんと同じ年ですよ?」
「ふふ、そうですよね。大分髪も伸びましたねぇ……」
ジェイドはそう言いながらメンゲレの黒髪に触れる。
確かに、昔よりも彼の髪は長くなっていた。
今では、ジェイドとほぼ同じような長さ。
ジェイドはふっと笑みを浮かべて、彼の髪をなでつけた。
艶やかな黒髪がサラサラとジェイドの細い指の間を滑る。
「ふふ、僕とお揃いですね」
「あ……」
確かに、ジェイドと少し似た髪型になっている。
ジェイドは嬉しそうに微笑むと、彼の髪にそっとキスを落とした。
慈しむように髪を撫でる彼を見つめ、メンゲレは口を開く。
「……ジェイドさん」
「ん?何ですか?」
こてり、と首を傾げるジェイド。
メンゲレは少し視線を泳がせると、小さな声で言った。
「僕も……貴方のような……」
―― 貴方のような医師になれているでしょうか?
彼の問いかけにジェイドは目を丸くする。
メンゲレはそっと目を伏せた。
此処に来た時からずっと目標だった、彼。
死の天使として生きてきた彼がこの国に、この騎士団にやってきたのは偶然。
最初は捕虜としてこの国に留められて、
その時にこの国の騎士団の医療部隊の働きに感銘を受けた。
元々所属していた組織から、ディアロ城騎士団に移籍したメンゲレ。
かつて犯した罪を、過去を不安に思う彼を受け入れたのは、
この騎士団の医療部隊長、ジェイド。
彼と"こういう仲"になることは正直意外であったけれども、
プライベートでも仕事でも支えてくれる彼のことをメンゲレは慕っていた。
上司としても、恋人としても……
悩みもした。不安もあった。泣いたこともたくさんあった。
彼はフラグメントでありジェイドは違う。
特殊な身の上の自分が彼の傍に居ても良いのか、
彼のような人間に憧れても良いものか、
そう悩んだことも少なくはなかったけれど、此処までずっと彼と共に歩んできた。
彼に憧れ、彼のような医師に、大人になりたくて……その背を追い、此処まできた。
ジェイドはふっと笑うとメンゲレを愛しげに抱き寄せた。
そのまま、優しい声で彼に言う。
「僕以上、ですよ。
メンゲレは優しくて素敵な医師です……
途中からとはいえ、僕の部隊に来てくれた貴方が、
こうも立派な医師になってくれて……僕はとても嬉しいですよ」
抱きしめられたまま、メンゲレはジェイドを見る。
そして、ふわりと笑うと小さく首を振った。
「いえ……まだまだジェイドさんには敵いませんよ。
医療部隊長の、貴方には……」
メンゲレがそう言うと、ジェイドはくすり、と笑った。
「ふふ、今は違いますよ。今の部隊長はアルです。
……まぁ、彼もまだまだ見習い統率官、ですけれどね」
当分は僕も退役できそうにありませんね、と冗談っぽく言うと、
ジェイドはメンゲレの手を握った。
穏やかに微笑みながら、彼に言う。
「さぁ、準備が出来たら行きましょう?今日は街へ行くのでは?」
「そうですね。ジェイドさんも一緒に……?」
「えぇ。リンも来ると言っていましたよ」
「リンさんもですか。久しぶりにお会いしますね」
ふたりはそう話しつつ、部屋を出る。
空は快晴。今日も平和な一日が始まる。
メンゲレは空を見上げて、目を細めた。
―― 願わくば……
愛しい彼と、優しい仲間と、出来るだけ長く共にいられるように、と。
―― Seven years ――
(長いようで短かったこの時間を
貴方と共に歩めたことを僕は嬉しく思います)
(あの頃の貴方と同じ年になった僕は
あの頃の貴方に並ぶことが出来ているでしょうか?)