Twitterで会話をしているうちにどうしても書きたくなってしまって、
ついつい書いてしまいました、学パロフォルスタです!
勝手に書いてしまって済みません;;
*attention*
・フォルスタSSです
・学パロ(Knight側は)です
・フォルはどこまでもマイペースです
・Twitterの会話内で出てきた話をつい入れてしまいました(おい)
・スターリンさん、済みませんでした
・ナハトさん、本当に済みませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞですー!
―― 放課後。
音楽室からは楽器の音を合わせるチューニングの音が聞こえ、
外からは運動部と思しきトレーニングの声が聞こえてくる。
そんな中、生徒会の仕事があって、
スターリンはいつものように生徒会室に来ていた。
会長は会議で不在だというから、今日も一人で仕事だろう。
書類作りは面倒だ。
しかもそれを全校生徒分印刷しなければならない。
またあの重労働か、と思いつつ鍵を開けた、その時。
肩を軽く叩かれた。
驚いて振り向くと、そこに立っていたのは……
「おまえ……」
「またあったね」
くすくす、と笑っている少年。
以前、交流授業の時に知り合った、他校の生徒だった。
確か名前は、フォル。
それを見てスターリンは怪訝そうな顔をする。
「……今日、交流授業の日だったか?」
少なくとも彼の学年は違った。
スターリンの問いかけに亜麻色の髪の彼は首を振った。
「違うよ。僕が単に遊びに来ただけ」
「は?」
スターリンはそんなことが出来るのか、という顔をする。
彼……フォルは楽しそうに笑って、
"先生に見つかったら追い出されちゃうかもね"などと言っている。
恐らく、無許可だろう。というか、何処から侵入したのやら、だ。
セキュリティはしっかりしているはずなのに。
「僕一流の奇術師だからね」
などと冗談っぽく言っているが、恐らくどこかから忍び込んだのだろう。
まだ、会ったのは二度目だが、
彼のむちゃくちゃな性格は目の当たりにしており、
やりかねない、という妙な確信がスターリンの中にはあった。
「君が此処にいるんじゃないかな、って思って来たんだ。
ビンゴだったね。無駄足踏まずに済んでよかった」
「何がしたくて来たんだよ……」
さっぱり理解できない、というようにスターリンが溜息をつく。
話によればフォルは今年三年生。
受験だのなんだのがあるのだとすれば、
下手な事件を起こして叱られるのは避けたいところだろう。
そんなことを考えていると、ふっと伸びてきた手。
思わずそれを躱しかけるスターリンを見つめて、フォルは言った。
真剣な、瞳。
「君に会いに来た」
「は……?」
「君が気に入った、って言ったでしょ?覚悟しろ、とも」
"好きになった相手には毎日会いたいタイプだから、僕"と言いながら、
フォルはスターリンの隣に腰掛ける。
壁に貼られた役員表を見て、呟いた。
「生徒会役員、か……」
「あぁ」
スターリンの名前を見ているらしい。
役職のところを見て、ふっと笑う。
「書記……ね」
「そう、だけど……」
「書記長様だ」
くす、と無邪気に笑って彼はいった。
スターリンは顔を顰める。
彼の行動は読めない。
それに……前々から、不思議ではあった。
彼の、自分の名を聞いた時のリアクション。
驚きも、怪訝そうな顔もしなかった。
ただ、初めて会った生徒に名前を聞いただけのような、リアクション。
スターリンは、それをずっと疑問に思っていた。
少し視線を俯かせつつ、フォルに訊ねる。
「……俺の名前、聞いたことあるだろ」
「ん?あぁ、聞いたね。この前君とあったとき」
きょとん、として返答するフォルに首を振る。
彼が言いたいのはそういうことではない。
「そうじゃなくて」
不機嫌そうな顔をしつつ、スターリンはいった。
フォルは相変わらずの笑みを浮かべたまま、首をかしげる。
子供のようだ、と感じる笑み。
「なんのこと?」
「教科書!見たことあるだろう?!」
何でこんなに必死に説明してるんだ、と若干馬鹿馬鹿しく思いつつ、
スターリンはフォルにいった。
フォルは"僕、理系だから文系科目苦手なんだよね"などと言っている。
苦手、得意の問題ではない。
聞いたことがないというのなら、それはそれである意味驚きだ。
説明を重ねようとした、その時。フォルは悪戯っぽく、にっと笑った。
肩に掛けていた鞄から教科書を取り出して、めくる。
その表情が酷く楽しそうなことにスターリンは一抹の不安をおぼえた。
「あぁ、思い出した。この写真の人か」
くす、と笑いながら差し出した教科書のページ。
それはとある風刺画のページで。
それを見たスターリンの表情が引き攣る。
「……一回死んで来い」
「新婦か……似合いそうじゃない?君にドレス」
教科書とスターリンを交互に見つつ、蒼い瞳の少年は、
ひどく楽しそうに笑っている。
スターリンの眉間の皺が深くなった。
「死んでくれ、本当に」
「着てみなよ、書記長様。僕が相手してあげる。
流石に本当に結婚式上げるわけには行かないだろうけど、
写真館とかだったら貸してくれるかもよ?ドレス」
からかうように言葉を続けるフォル。
いいかげんにしろ、とスターリンが言いかけた時、
フォルの手がスターリンの腕を掴んだ。
以前と同じように、机の上に磔にされる。
スターリンを見下ろしている蒼い瞳が光った。
「要は、そういうこと」
「は……」
「知ってたよ、最初から。君が誰か、この学校の生徒がなんなのか」
何となくだけどね、と呟くように言って、フォルは目を細める。
手を押さえられたままでは抵抗も出来ない。
近づいてくるフォルの顔をただ呆然と見つめる。
フォルはスターリンの耳元に口を寄せ、囁いた。
「知った上で、誘ってるんだけど」
「誘っ……」
「May I ask you out?(デートに誘ってもいい?)」
「?!何、を……」
「It was love at first sight(一目惚れだったんだ)」
流暢な英語。
くすり、とからかうように笑ってから、フォルはスターリンに口づけた。
驚いて藻掻くスターリンだが、容姿に似合わず手を押さえるフォルの力は強い。
少し長めに唇を塞いでいたフォルはやがて満足したのか顔を離して、笑った。
「ふ、可愛い反応するね、書記長様?」
「テメェ……何しやが……っ」
「この前も言ったと思うけど、
嫌いになってくれるならなってくれたでいいんだってば。
僕は君が好き、君の傍にいたい……それだけさ」
すっと、スターリンの前髪を払って、フォルは妖しく笑ってみせた。
「君が僕の告白を冗談と取るも本気と取るも勝手だけど、
デートの件は割と本気だよ。
いつか放課後に君を誘拐して連れ出そうと思う程度には」
そんな発言も冗談っぽいには冗談っぽいが、
言っている人間がフォルだからか、完全な冗談には聞こえない。
「……そろそろ、会長様が帰ってきちゃうかな」
"だいぶ長くいたからね"などと言いながらフォルはスターリンの手を離した。
そして、振り向きざまに小さくウインクして、いう。
―― 攫われる覚悟だけはしといてね、お姫様。
姫扱いをされるだなんてまっぴらだ。
そう怒鳴り返すより先にフォルは部屋から出て行っていた。
あれで見つからずに外に出ていけるのだとしたら、それはある意味凄い話だが……
「やりかねない、な……」
「何が?」
唐突に聞こえた声に、スターリンは驚く。
不思議そうな顔をしている、茶髪の少年。
顔を上げればそこにいたのは生徒会長その人で。
「い、いや、何でもないのだよ……」
「そう?なら別にいいんだけど」
会議で使ったのであろう資料を机に置いているルーズベルトを一瞥して、
スターリンは小さく息を吐く。
彼が出て行ったタイミングは絶妙だったらしい。
万が一、彼に……ルーズベルトに気づかれていたら。
ただではすまなかっただろう。きっと。
ある意味すげぇな、と思いつつスターリンは外に視線を投げた。
―― 勝気な笑みだけが頭に残っていて ――
(いつか必ず迎えに行くよ?お姫様)
2013-1-23 17:57