新キャラエビルと大佐殿の話です。
ナハトさんと話しているうちに彼の設定が広がってきたので…
赤い翼、良いですよね(^q^)
*attention*
エビルと大佐殿の話です
シリアスなお話です
裏にあった小説の続き?です
エビルは大佐殿を好いている(いろんな意味で)ので…←
そして彼は特殊な翼を持っているのです(^q^)
大佐殿はエビルに会うたびに押し倒されている気がする(笑)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
酷い目に遭った、と思いつつシュタウフェンベルクは城に戻った。
幸い、まだ朝も早く、誰も起き出してきてはいない。
フロムのことだけ気になってはいたが、空間移動中にあの性悪悪魔(悪魔に性悪も何もあるかよ、と笑われた)がいっていた。
―― あぁ、あいつね。殺してねぇよ、記憶は消したがな。
そういって笑うエビルはまさに悪魔としかいいようがない悪魔だった。
シュタウフェンベルクでさえ歯向かうことを一瞬躊躇うような相手、フロム。
彼を易々と魔力でねじ伏せて、"獲物"を奪う。
さながら猛獣か、否……
やはり、悪魔としか言えないか。
「……いさ、大佐?」
そっと肩を揺らされて、はっとした。
視線をそちらへ向ければ、鮮やかな金髪の少年……ヘフテンがじっと彼を見つめていた。
心配そうな表情。
それを見て、シュタウフェンベルクは幾度か瞬きをする。
「あ……どうした、ヘフテン?」
「どうした、じゃありませんよ。
何だか酷く、疲れたような顔をしていますから……
ペルさんも昨日はお部屋に戻ってこなかった、っていっていましたし」
心配そうな表情で彼はいう。
それを聞いて、シュタウフェンベルクは視線を揺らした。
返答に、悩んだ。
そうか、ペルにも後で事情を説明しておかないと……
そう思いつつ、彼は息を吐き出す。
おそらく、ヘフテンもペルも、シュタウフェンベルクがフロムのところにいたと思っている。
彼にいつも好きにされていることを、彼らはよく知っているから。
それならば、いつもならば夜中には戻ってくるはずだったのに……
そうでは、なかったこと。
ペルはそれを心配していたのだという。
しかし……
実際のところ、昨日はフロムのところにいなかった。
否、正式に言えば最初はいたのだけれど……
途中で、漆黒の髪の悪魔に連れ去られたのだ。
流石に、それを語る気にはならない。
あの悪魔のことを話せば、きっとヘフテンもペルも、心配するだろうから……――
「大丈夫だ、少し……疲れているだけだから」
そういって、シュタウフェンベルクは笑う。
彼の言葉に、ヘフテンは眉を下げた。
シュタウフェンベルクは彼を見てふ、と小さく息を吐き出した。
そして、優しくヘフテンの頭を撫でてやる。
驚いた顔を上げるヘフテン。
それを見て、シュタウフェンベルクは微笑みながら、言った。
「私は大丈夫だ。
ヘフテン、一つ頼みがあるんだが……良いか?」
「え?えぇ、良いですよ」
ヘフテンは躊躇いつつ頷く。
シュタウフェンベルクは自分の手元にある書類を何枚か抜き出してひらり、と揺らした。
そして、すまなそうな表情で、言う。
「この書類、任せてしまってもいいか……?
やはり少し疲れてしまって……」
休んできたいんだ、とシュタウフェンベルクはいう。
それを聞いて、ヘフテンは目を丸くした。
みるみるうちに彼は表情を明るくして、彼は力強く頷いた。
「任せて下さい大佐!ゆっくり休んでくださいね!」
彼はそういって、書類を手に自分の部屋に戻った。
シュタウフェンベルクはそんな彼の背を見送って、目を細めた。
彼は、頼られたのが嬉しかったのだろう。
いつも自分が、辛い所を隠してしまうから。
それをおとなしく話してくれたのが嬉しかったのだろう。
シュタウフェンベルクも、疲れているというのは事実だったから、少し休みたかった。
ヘフテンの前であまりぐったりした顔を晒すことは出来ない。
だから、ああして彼を自室に引き返させたのだった。
とりあえず、ベッドに戻る。
そしてごろりと横になった。
結局昨日はゆっくり眠ることなんて出来なかった。
フロムに犯されて、悪魔……エビルに連れ去られて。
「まだ腰が重い……」
流石にヘフテンにはそんなこと言えなかったが、正直なところまだ体が本調子ではない。
無茶苦茶に犯された分、体はまだ重くて辛いし、喉の痛みは消えたものの、まだだいぶ疲れていた。
少し、休もう。
そう思うと同時に、彼は目を閉じた。
すぐに、意識が消える。
彼は流されるままに、意識を失ったのだった……
***
どれくらい、眠った頃だっただろうか。
そっと頬をなでられる感触に、シュタウフェンベルクは目を開けた。
「ん……」
ゆっくり瞬きをするシュタウフェンベルクの目には、長い黒髪がさらさらと揺れるのが見えて……彼ははっとして目を覚ます。
慌てて飛び起きると同時に、すぐ近くにいたらしい人物が"おっと"と声を上げて、飛び退いた。
「目が覚めたかい?俺の花嫁さんよぉ」
そういって笑う、長い黒髪の青年。
此処にいるはずがない彼……エビルの姿に、シュタウフェンベルクは目を見開いた。
「っな、に……何で、貴様がこんなところに……っ?!」
何故、城に入ってこられた。
そんな彼を見て、悪魔……エビルは笑みを浮かべた。
獣の牙のような八重歯がちらりと覗く。
彼らしい、ニヒルな笑みを浮かべて、彼は言った。
「俺は悪魔だ……
何処にだって入ってこれるさ」
そう言いつつ、彼は翼をはためかせる。
それだけで室内に風が起こり、ひらひらと羽根が舞った。
と、それを見てシュタウフェンベルクは更に驚いた顔をする。
「何だ、……赤い、羽根……?」
そう呟きながら、シュタウフェンベルクは顔を上げる。
彼の視線の先には、黒い衣服を身に付けた悪魔の姿。
そして彼の背中には、大きな翼が広がっていた。
通常、黒であるはずの悪魔の翼。
しかしその背に広がっている翼は、黒ではなく……赤。
ひらひらと舞い散る羽根も、まるで血を吸ったかのように赤かった。
「あぁ……この前は、"隠した"翼の方を見せたからなぁ」
だから黒かったんだよ。
本物は、こっちだ。
そういって、エビルは自分の翼を軽く引っ張った。
「赤い翼なんて、存在するのか……」
「存在すんだなぁ、これが……」
そう言いながら、にぃっと笑うエビル。
彼は翼をはためかせながら、シュタウフェンベルクの方へ歩み寄る。
そして、自分の翼を見せつけるようにそれを広げながら、言った。
「俺は高位の悪魔なのさ。
強い力と高い地位を持つ悪魔の翼は黒でなくて赤……
ナメてもらっちゃあ、困るんだ」
ただの悪魔じゃないってことさ。
そういいながら笑みを浮かべたエビルは、シュタウフェンベルクの頬に触れた。
猫のような金の瞳を細めた彼は、シュタウフェンベルクに囁くように言う。
「そんな俺に気に入られたんだ……
アンタは運が良い……
否、神から与えられたアンタのその器量と実力に感謝すべきだろうなぁ……?」
そういって笑うエビル。
シュタウフェンベルクは顔を歪めると同時に、エビルを蹴飛ばそうとした。
しかしエビルはあっさりと彼の攻撃を躱して、彼の体を押し倒す。
「っ、やめ……」
こんなところで手を出されては適わない。
そう思いつつシュタウフェンベルクがもがくとエビルは笑みを浮かべながら、言った。
「流石に今アンタに手を出しはしないさ。
此処じゃあ、誰かに見られるかもわからねぇしな……
見られても構わねぇが、追いかけ回されるのは趣味じゃねぇんだよ」
そういって笑い、彼はシュタウフェンベルクから離れる。
そして笑みを浮かべながら、言った。
「……ならば、何をしに来たんだ」
シュタウフェンベルクはエビルを睨みつける。
今は、魔力を使う気力さえない。
だから、せめて屈するつもりはない、という気持ちを込めてただ彼を睨みつけた。
エビルは彼の言葉に笑みを浮かべる。
そして、そっとシュタウフェンベルクの頭を撫でながら、言った。
「アンタの様子を見に来たのさぁ……
昨日はちいとばかりやりすぎたと思ってね。
悪魔の精は人間には強すぎただろうからさ」
なぁ?
そう言いながらエビルはシュタウフェンベルクの首筋をなぞった。
ぞくりとする感覚にシュタウフェンベルクは首を竦める。
エビルは彼を見て笑みを浮かべつつ、言った。
「まぁ、あんたが元気になったころにまた来るさ……
アンタの魔力も容姿も魅力的だがアンタの体も好みなんでね」
「な……この……っ」
シュタウフェンベルクが攻撃しようとすると同時、エビルはくつくつと笑って、姿を消した。
先程まで彼がいたその場所に、羽根が舞う。
シュタウフェンベルクはそれを見て、小さく息を吐き出す。
何だか先程までより疲れた気がする。
そう思いながら。
―― Red… ――
(ひらひらと舞う赤い翼。
まるで血を吸ったようなその赤に、目を奪われる)
(その驚いた表情、いいねぇ…
俺はそれが見たくて、今日此処に来たんだからなぁ……)