フィアとルカのお話です。
夏の盛りにやった診断結果から書いた小説なので若干季節外れ感はありますが…
私が住んでる地域は何か、もうものすごく涼しくなってるんですよね。
うぅん、実家の方はまだ暑いらしくて帰るのが、ちょっと憂鬱です(笑)
ともあれ、小説のネタとしては…
さくらんぼのヘタを結ぶのが上手いルカとそれを嘲るフィアです←
ルカ兄さんが不憫でしかないです(笑)
山もオチもないネタ小説ですが…
完全にネタ切れスランプ中だから仕方ないですね!
ともあれ、追記からお話デス♪
「はぁあ……暑い……」
フィアは小さく息を吐き出しながら食堂のドアを開ける。
炎天下、任務をこなしてきたものだから、体が熱く火照っている。
室内は氷属性の魔力が少しではあるが使われていて、屋外のような酷い暑さはなかった。
「ルカへ報告……まぁいいか、あとで……」
フィアにしては珍しい怠惰な発言。
はぁ、と息を吐き出す彼は相当疲れている様子で、食堂の何処に座ったものか、と視線を泳がせた。
そして、"あ"と小さく声を上げる。
食堂の一角にあったのは、見慣れた黒髪の青年の姿。
あぁ何だ、ちょうど良かった。
そう思いながら、フィアは彼……ルカの方へ、歩み寄っていった。
「ルカ」
「ん、フィア?お帰り」
ルカは顔を上げて、フィアに笑いかける。
汗一つかいていないその顔に何だかイラッときて、フィアはそんな彼の頭を一度殴った。
「痛!?」
「……すまない、何かイラッとした」
「イラッとした、でいきなり殴られても困るんだが!」
ルカはそう声を上げる。
しかしさして怒った様子なく小さく息を吐き出して、"まったくもう……"と小さく呟いた。
そしてルカはフィアに首を傾げる。
「報告だろ?」
「あぁ。お前が此処にいて助かった」
そういってフィアは小さく息を吐く。
それを聞いてルカは溜息まじりに言った。
「その口ぶりだと、俺が此処にいなかったら後回しにするつもりだったな」
珍しい、といいながらルカは口元にあるストローを咥えた。
グラスに入っているのはフロートのようだった。
フィアはそれを少し意外そうに見る。
「珍しいな、お前がブラック以外を飲んでいるのは」
フィアが驚いた顔をしながらそういう。
それを聞いて、ルカはフロートのアイスクリームを掬いつつ、小さく笑って、答えた。
「たまには俺も甘い物欲しくなんだよ。
疲れてるしな……」
最近仕事多いんだよ、と言いながら彼はフロートの上に乗ったさくらんぼを口に咥えた。
そんな彼の様子がいつもの彼と少し違って見えて、フィアは苦笑を漏らす。
「お前がさくらんぼなんか食ってるの見るのは、何だか笑えるな」
「なんでだよ」
ルカはフィアの反応に苦笑しつつ、さくらんぼのヘタをぷちりととった。
そしてとったヘタを見ながら、ルカは笑いながら、フィアの方を見た。
「なぁ、フィア、知ってるか?」
ルカはそういいながら首を傾げる。
フィアは怪訝そうに眉を寄せながら、"何を?"とルカに問いかえす。
するとルカはさくらんぼのヘタをくるくると回しながら、いった。
「さくらんぼのヘタ、口の中で上手く結べるヤツってキスが上手いらしいぞ」
「……それで?」
フィアはルカの言葉に対して興味を示す様子はない。
それを見て何かに火がついたのか、ルカは口の中にそのヘタを入れた。
そして暫しもごもごと口を動かしてから、それを出す。
「俺得意だぞ?」
そういいながら彼が置いたのは、綺麗にむすばれたさくらんぼのヘタだった。
フィアは暫くそれをぽかんと眺めていたが、やがてきゅっと眉を寄せた。
そして視線をルカに向ける。
……軽蔑の籠った視線を。
「……うわ」
彼が漏らしたのはそんな声。
言葉とさえ言えないその発声にルカは目を丸くし、それから思わず声を上げた。
「うわ、って何だよその反応!?」
「……キスが上手いアピールされても」
そういいながらフィアはじとりとした視線をルカに向ける。
ルカもいたたまれなくなったのか顔を赤くして、視線を揺らしつつ叫ぶ。
「だぁああっ、ちょっとした豆知識だろ!?それにお前が全然興味示さないから……っ」
ちょっとからかうだけのつもりだったのだ。
ちょっとした豆知識を披露して、どうせフィアのことだから動揺するなりするだろうと思って言ってみたのに……
こんな反応されるとは予想外過ぎて、言ったことを完全に後悔する。
フィアはそんな彼を見て小さく鼻を鳴らす。
そして、顔を赤くして騒いでいる従兄にいった。
「やって自分で恥ずかしくなるくらいなら最初からするな。
あと口に入れたものを出すな、汚い」
そういいながら、フィアはメイドが持ってきてくれた水を口に含む。
ルカはそんな彼の反応に盛大な溜め息を吐き出した。
「あぁもう、ほんとにお前って奴は可愛げというものが……っ」
そういいながらフィアの方を見て……あれ、と思う。
フィアの頬は、うっすら赤くなっていた。
それを見て、ルカはに、と笑みを浮かべる。
「……フィア、お前も一応照れてたんだな」
ルカがそういうと、フィアはばっと顔をあげる。
そして顔を真っ赤に染めながら、反抗した。
「なっ、何を言い出すかと思ったら……っ」
「ははは、事実だろ、頬赤いぞ」
ルカはそういいつつ彼の頬をつつく。
するとフィアに思いきり手をはたかれた。
そしてフィアはじとりとした視線をルカに向ける。
相変わらずに、頬を赤く染めたまま。
「……いきなりキスが云々と言われて、平然としていられるはずがないだろう。破廉恥だ」
「破廉恥って、お前な」
くっくっとルカは笑う。
そしてポンポンとフィアの頭を撫でながら、いった。
「まぁからかっただけだから、んな顔するなよ」
そういいながらルカは残っていたフロートを吸い込んで、グラスを手にした。
このままここでフィアをからかってもいいが、そうすると恐らくそのうち本気の蹴りを食らう。
それは、ルカとしても避けたいところだった。
そのためには、フィアが照れて固まっているうちに逃げるに限る。
そそくさと、ある程度距離を空けた、その時。
「……っこのエロ統率官ー!!」
後ろからフィアの叫び声が後ろから聞こえる。
あぁとんでもない誤解を招きそうだ。
そう思いながら、ルカは頭を抱えたのだった。
―― Cherry and…? ――
(確かに俺もからかい過ぎたとは思ったけれど…
とんでもないことを叫ぶんじゃねぇよ!?)
(余計なことを言うのが悪いんだ、馬鹿統率官。
ただでさえ暑いのにもっと暑くなっただろうが!)