大佐殿とカルセのお話です。
保健室での二人の会話を書きたくて…
ほのぼのになりました←
*attention*
大佐殿とカルセのお話です
本家Laurentia!設定のお話です
ほのぼのなお話です
大佐殿とカルセでのんびりと
カルセは結構心配性です
リラックスしきってる美人さん可愛いと思うのです(^q^)
この二人のほのぼのも好きです←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
強い夏の陽射しが降り注ぐ、梅雨の晴れ間の一日……
「じゃあ、私は保健室に行くから……」
隻眼の少年……シュタウフェンベルクは隣の席に居る金髪の少年……ヘフテンに声をかけた。
それを聞いてヘフテンはにこりと微笑んで、頷く。
「わかりました。暑いですからねぇ……」
ちゃんと涼しい所にいてください、とシュタウフェンベルクに言うヘフテン。
彼は体操着の裾をズボンの中に入れた。
今から、体育の授業。
しかしシュタウフェンベルクはそれに参加することが出来ない。
それ故に見学の扱いになるのだが……
如何せん、今日は暑すぎて、外で見学をするには少々辛い。
だから、彼は今日は保健室で休んでいることにしたのだった。
今日は合同授業。
保健室にいるのは、良く見知った養護教諭……カルセだ。
彼のところに行けば退屈もしないし、ゆっくり出来る。
そう思いながら、シュタウフェンベルクは保健室に向かう。
がらりとドアを開けると、淡い青の髪の男性……カルセが振り向いた。
「おや、シュタウフェンベルク。どうかしましたか?」
そう首を傾げるカルセ。
やや心配そうなその顔に、シュタウフェンベルクは慌てて、言う。
「いや、体調が悪いわけではないんだ……
今から体育だから、此処で休ませてもらえればと……」
シュタウフェンベルクがそう説明すると、カルセは瞬きをした。
それからふわっと笑って、いった。
「そうでしたか、それなら良かったです」
どうぞ、といいながらカルセはベッドサイドのカーテンを開いた。
シュタウフェンベルクは彼に"ありがとうございます"といって、ベッドに腰掛けた。
冷房の効いた保健室。
ほかの生徒たちが炎天下体育の授業を受けているのに自分がこんな所に居るのは少々気が引けたけれど……
ヘフテン曰く、"大佐が同じ所で座ったままでいる方が嫌です"といっていた。
それをカルセにいうと、彼もヘフテンと同じ表情をした。
そしてシュタウフェンベルクの頭にぽん、と手を置きながら優しく微笑んで、いった。
「それは私も同感ですね。
貴方に無理をしてほしくはないです」
そういいながら、カルセはシュタウフェンベルクを優しく撫でた。
恋人であるヘフテンや弟であるペルを撫でることはあれど、誰かに撫でられることなどほぼない彼。
……少し照れくさい。
と、カルセがすっと頬を撫でた。
少しひやりとした手に触れられて、シュタウフェンベルクは少し驚いたような顔をした。
カルセはそんな彼を見てくすり、と笑う。
「今日は顔色もいいし、大丈夫そうですね」
「え?」
シュタウフェンベルクはきょとんとした顔をした。
カルセは彼を見て藍色の瞳を細めつつ、いった。
「暑い日が続いてますし……熱中症に気を付けなさいね?」
ちゃんと水分とって、とカルセは言う。
それを聞いてシュタウフェンベルクは幾度か瞬きをした後、苦笑を漏らした。
「私はそんなに頼りなく見えるか……?」
シュタウフェンベルクの問いかけに、カルセは小さく笑う。
そしてぽん、と彼の頭に手を置きながら、いった。
「頼りないというよりは……心配なのですよ」
カルセはそういいながら微笑む。
シュタウフェンベルクはお世辞にも体が強いとは言えない。
カルセもそれを知っているから、彼のことを心配しているのだった。
熱中症を起こしてはいないか。
体調を崩してはいないか。
ちゃんと食事はとれているか、なんて。
シュタウフェンベルクはそういうカルセに、少し視線を揺らす。
そしてふっと表情を緩めた。
昔から、兄たちには心配をかけてばかりだった。
けれど、兄以外の人間にこうして心配されるのは、あまりなかったし……
なんというか、照れくさくて、少し恥ずかしい。
けれど、嬉しくもあった。
「それは……ありがとう、でいいのか……?」
シュタウフェンベルクは首を傾げた。
カルセはくすくすと笑いながら、"どういたしまして"といった。
そして一度彼から離れる。
「お茶、淹れてきますね。
ほかの生徒たちには内緒ですよ?」
そういいながらカルセは悪戯っぽく笑い、人差し指を唇の前に立てる。
その仕草は何だか良く似合っていて、シュタウフェンベルクは蒼の瞳を細めた。
カルセは少し変わった教師、だと思う。
贔屓している、というのとは少し違うような気がするけれど、一人一人の生徒をとても気にかけている。
そうして気にかけている生徒の一人が、シュタウフェンベルクだった。
彼が遊びに来ると良くこうしてお茶を淹れてくれる。
それだけでなく色々話を聞いてくれたりもするし、シュタウフェンベルクにとっては良い理解者だった。
「はい、どうぞ」
カルセは声をかけながら、シュタウフェンベルクにティーカップを出した。
ありがとうございます、と彼が礼を言うのと同時、カルセはクッキーの乗った皿を彼の前に置く。
「え?」
きょとんとするシュタウフェンベルク。
彼を見てカルセはふわりと微笑んだ。
そして、しっと唇に指を当てつつ、言う。
「美味しいクッキーをもらったのでね。
どうせならばお茶請けもあった方が良いでしょう?
……なんて、他の先生たちにバレたら叱られてしまいますね」
カルセはそういって苦笑した。
シュタウフェンベルクはいいのかな、というような表情を浮かべる。
遠慮している様子の彼を見て目を細めると、カルセは指先でクッキーを一枚摘まんだ。
そしてそれを彼の口元に近づける。
「ん……」
反射的に口を開いて、齧ってしまった。
あ、という顔をする彼を見てカルセは藍色の瞳を細めて、いった。
「美味しいですか?」
「え、あ……はい」
小さく頷くシュタウフェンベルク。
それを見てカルセはよかった、と笑った。
そして自分も一枚クッキーを口に運ぶ。
……自分に気負わせないためだろう。
そう思いながらシュタウフェンベルクは笑った。
とりあえず、彼の好意を受け取るしかない。
そう思いながら、シュタウフェンベルクはティーカップを傾けた。
美味しい。
彼が淹れてくれる紅茶を飲むと、落ち着く。
それは、いつもの事だった。
安心できる。
何かあったときにも彼がこうしてお茶を淹れて慰めてくれるから……そうだろう。
そう思いながら、シュタウフェンベルクは目を細める。
温かいお茶と、甘いクッキー。
効き過ぎない程度の冷房。
カルセは体を冷やさないように、と肩にブランケットをかけてくれた。
穏やかな空気が心地よい。
そう思いながらシュタウフェンベルクはふっと息を吐き出す。
カルセもずっと話しかけていては疲れるかな、と思ったのか書類の仕事に戻った。
カリカリとペンが走る音だけが響く、静かな部屋……
―― 何だか、眠くなってきた……
ちょうど心地よい雰囲気。
それ故にか、眠気を感じる。
シュタウフェンベルクはティーカップをテーブルに置いて、横になった。
少しして、仕事が一段落したカルセはふぅ、と息を吐き出した。
そして視線をベッドに向けて……ふわり、と微笑む。
柔らかい白のベッドの上。
シュタウフェンベルクが静かに寝息をたてていた。
「おやおや、寝てしまいましたか」
そういいながらカルセは微笑んで、シュタウフェンベルクの体にタオルケットをかけてやる。
そして穏やかに眠る彼の髪を一度撫でてから、仕事に戻ったのだった。
―― 気にかけてくれる人 ――
(恋人とも、家族とも違う。
けれど、私のことを気にかけてくれる人…)
(ちょっとした贔屓目も、許してください。
彼のような子は、放っておけないのですよ)