シュタウフェンベルク兄弟のお話です。
お兄様たちのドタバタとペルにゃを書きたかったのです←
*attention*
シュタウフェンベルク兄弟のお話です
本家Laurentia!設定のお話です
ほのぼのなお話です
お兄様たちはみんな大きいので…
ペルはお兄さんたちに追いつきたいだろうなと←
そして相談役のクヴィルンハイムさん
とりあえずペルはこういう子です
ほのぼのな兄弟好きです♪
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
いつも通りの穏やかな朝。
高層マンションの、最上階の一室……――
そこではいつも通りのやり取りが、繰り広げられていた。
朝食を終えた兄弟。
彼らはばたばたと登校の支度をしていた。
制服のシャツをちらけてみている、兄たち。
一枚を取った次兄……アレクサンダーはそれを双子の兄の方へ突き出す。
「おい、これはベルトルトのだろ!」
そういいながら自分にシャツを押し付けてくるアレクサンダー。
ベルトルトはいったんそのシャツを受け取ってみてから、小さく息を吐き出す。
そしてそれをアレクサンダーに押し返しつつ、言う。
「違うよアレクサンダーのじゃんか!」
僕のじゃないよ!とベルトルトはいう。
二人は双子で体格もそっくり。
しかも制服も同じと来ている。
わからなくならない方がおかしかった。
そんな双子の様子を見ていた三男……クラウスだったが彼も何か探し物をしている様子。
クラウスは暫し自力で探そうとしてたが、やがて小さく息を吐き出しながら、いった。
「兄さんたち私のシャツ知らないか?」
見当たらないんだが、というクラウス。
彼も、自分のシャツを探していたのである。
「クラウスのシャツは多分これだよ!」
そういいながらベルトルトは一枚のシャツをクラウスに差し出す。
クラウスはそれを受け取り"ありがとう"といった。
しかしその様子を見て、アレクサンダーが声を上げる。
「あっそれ俺のだろ!」
クラウスのじゃないよ!と声を上げるアレクサンダー。
"じゃあ私のは何所にあるんだ"とクラウスは溜息を一つ。
「兄さん……」
ペルは大騒ぎしている兄たちに声をかける。
そんな彼の声に振り向いたアレクサンダーは一枚のシャツを彼に手渡した。
「ペルのはこれだからな」
そういいながら差し出されたのは、小さなシャツ。
三人の兄たちのものよりずっと小さなそのシャツは、間違いなくペルのものだった。
ペルはそれを受け取って"ありがと、アレクサンダー兄さん"と礼を言う。
しかし彼の表情は何処か寂しげなものだった。
そんな弟の様子には気が付かず、相変わらず騒ぎを続けている兄たち。
どれが自分のシャツなのか未だにわかっていない様子だ。
「ああもうわけわかんない!」
そう声を上げるベルトルト。
それを聞いてアレクサンダーも溜め息を吐き出す。
そして、ベルトルトを睨みながら言った。
「名前書いとけよベルトルト!」
そうしないとわかんなくなるだろ!と声を上げるアレクサンダー。
それを聞いて、クラウスも眉を顰めた。
そしてやっと見つけたらしいシャツに袖を通しながら、いった。
「兄さんたち朝からうるさい!」
早く準備しろ!というクラウス。
そんな彼らのやり取りを見つめているペルは既に学校に行く支度をすませている。
シャツもソックスも身に付けた彼はやはり何処か寂しそうな顔をしていて……
しょんぼりした表情の彼。
それに気づかない様子の兄弟はふぅっと息を吐き出すと、双子らしくタイミングを合わせて家の手伝いをしている彼……シュヴァイツァーの方を見て、いった。
「シュヴァイツァー!洗濯物は整理してよ!」
「シュヴァイツァー!洗濯物は整理しろよ!!」
そう声を上げる双子。
その声に"私の所為ですか?!"とシュヴァイツァーは声をあげる。
そんな二人の兄たちの様子を見て、クラウスは呆れたように溜息を吐き出して、いった。
「何でも人のせいにするな!
あとペルはさっきからどうしたんだ」
そういいながらクラウスはペルの方を見る。
彼の指摘通り、ペルはしょんぼした様子で俯きっぱなしなのだ。
その理由がわからず困惑している様子である。
「なんでもない……」
ペルはそういいながらぷいとそっぽを向く。
そして自分自身の体を見た。
中学三年生といえば、一応成長期……も終わっているはずで。
本当ならもっと背は高くなって、体格だって良くなっているはず、なのに。
彼の身長は小学生の頃に止まったまま。
体重だって増えないし、筋肉量だって変わらない。
声だって幼い頃のままだ。
それに対して……
三人の兄はそろって背が高い。
初めて出会った時からクラウスでさえもペルからすればとんでもない長身だと思ったのにその兄である双子は更に背が高くて……
「……はぁ」
遠い。
そう思わざるを得なかった。
届かないなぁ、と。
そんなことを口に出せば、兄たちはそろって焦って大きくなることないというだろうが、ペルからしたら複雑だ。
出来る事なら兄たちに追いつきたい。
そして、彼らを驚かせたいとさえ、思っていた。
「ペル?」
声をかけられてはっとした。
視線をそちらへ向けると、どうやら支度を終わらせたらしい双子の兄たちが見ていた。
「どうしたペル?」
「そろそろ家でないと間に合わないよ?」
「それは兄さんたちの所為だけどな」
やれやれ、と溜息を吐き出すクラウス。
ペルはそんな兄たちの声に"わかったよ"と返して、鞄を持ったのだった。
***
そんな、放課後。
少し早く学校を終えたペルは兄たちの学校に向かった。
そうして校門で待っていると……
「おや、貴方は」
聞こえた声に顔を上げる。
そこには兄たちの友人である少年……クヴィルンハイムがいた。
ペルは丁度いいと思いながら"ねぇメルツ……"と声をかける。
自分よりずっと年上の彼をそう呼ぶのに少々躊躇いはあるが……
彼では"クヴィルンハイム"という彼のファミリーネームの発音が難しい。
ついでに言うなら、兄たちが皆そう呼ぶから、という理由でペルもそう呼ぶようになっていた。
ペルの呼びかけにクヴィルンハイムは"なんですか?"と問い返す。
ペルはそんな彼を見つめながら、彼に問うた。
「どうしたら、大きくなれる?」
「え?」
かなり抽象的な問いかけにクヴィルンハイムは少し困ったような顔をする。
ペルは少し考えるような顔をしつつ、言った。
「大きくなりたい……兄さんたちを、驚かしたいの」
ペルはある程度の事情を話した。
今朝の出来事。
自分が考えたこと。
兄たちとの体格差や、大人っぽさの違い……
「クラウス兄さんは、弟なのに大人っぽい……何で、かなって」
それを聞いてある程度事情を理解したクヴィルンハイムは少し考え込む。
それから彼は、言った。
「大人っぽくなりたい、ですか……
クラウスはわりと小さい頃から大人びてましたからねぇ……
お兄さんがいるのも大きいと思いますよ?」
そういうクヴィルンハイム。
ペルはそれを聞いて小さく首を傾げつつ、言った。
「お兄ちゃん居ると、大人っぽくなるの……?」
今一つピンと来ていない様子だ。
クヴィルンハイムは彼の言葉に苦笑しつつ、いった。
「あんまり離れてるとあれですが、彼らみたく2つ差だとどうしてもお兄さんに追いつけ追い越せと頑張ったりするものですからねぇ……
あと僕みたいにお兄さんと同級生と友達になったりすることも多いですから」
クラウスは昔から、自分たちと親しかった。
休み時間にも兄の教室に来るような子だったから……
おそらくそれも関係しているのだろう、とクヴィルンハイムは言う。
ペルはそれを聞いて"ふぅん"と声を漏らした。
それから、少しだけ悩むような顔をして、いう。
「じゃあ、僕もメルツたちと仲良くしてたら、大人っぽく、なれる?」
「うーん、それはどうですかね」
明確な答えはあげられない。
クヴィルンハイムがそういうとペルは少ししょんぼりした顔をした。
「まぁ、悩まなくても大丈夫ですよ」
そういってクヴィルンハイムは微笑んでやる。
その時ちょうど"ペル!"とベルトルトの声が聞こえた。
ペルはそんな彼に手を振ってから、クヴィルンハイムにぺこりと礼をして歩いていく。
そんな彼の姿を見送って、クヴィルンハイムは目を細める。
"兄弟大好きなのは全員そろってなのですねぇ"と呟きながら。
―― 追いつきたいの。 ――
(だって兄さんたちはみんな"大人"だから。
僕だって、年はそんなに変わらないのに…)
(追いつきたい、追いつきたい。
そう願う、幼い少年…)