久々にシュタウフェンベルク四兄弟でのお話です。
別段これといったネタはなかったのですが…
シリアスからのほのぼのがやりたかったのでした←
*attention*
シュタウフェンベルク四兄弟のお話です
本家Laurentia!(学パロ)設定でのお話です
ほのぼのなお話です
前半軽くシリアス?
寂しがりやのペル
何だかんだ兄弟で一緒に居る図が好きです←
甘やかしてあげてくださいお兄様たち
ちょっと短め
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
夕暮れに染まる部屋。
マンションの、一室……
食器を片付けていた少年……ベルトルトはふと顔をあげた。
そして、驚いた声を上げる。
「あ、夕飯の買い出しいかないと……」
もうこんな時間か、とベルトルトは呟く。
それを聞いて、クラウスも顔をあげる。
"本当だな"と呟きながら、弟に声をかけようとした。
いつもならば一緒に買い物に出かける。
片手を失っているクラウスは一人では買い物に行けないが、
ずっと兄だけに任せ切りというのもなんだか申し訳なくて、
いつも一緒に行くようにしていた。
最近は、ペルもだったのだが……
「ペル……あ、寝てる」
クラウスは小さく呟くように言う。
先程まで隣で本を読んでいたペル。
いつの間にか眠ってしまっているようだった。
クラウスはそんな彼を優しく撫でる。
しかしそれでも、彼は目を覚まさない。
そんな彼の様子を見て、クラウスは目を細めた。
「気持ちよさそうに寝てるな」
「無理に起こすのもなんだよね。
すぐに帰ってこれるし……」
ベルトルトはそういう。
現在アレクサンダーは委員会で学校に残っているため不在。
クラウスも、少し買わなければならないモノがあるために、
買い物に一緒に行こうと思っていたのだけれど……
「そうだな。さっといって、帰ってこよう」
クラウスはそういった。
この状態のペルを叩き起こすのも可哀想だし、ともすればアレクサンダーが帰ってくる。
きちんと鍵は閉めていくし、今までもそうしてペルに留守番をさせたことはある。
恐らく、大丈夫だろう。
買い物にはそんなに時間はかからないし……
クラウスとベルトルトはそういって、静かに家を出ていった。
***
それから、少しして。
「んん……」
ぱち、とペルの目が開いた。
ゆっくりと瞬く、漆黒の瞳。
彼は寝入っていたソファから体を起こして、周囲を見渡した。
「……兄さん……?」
小さく、兄達を呼ぶ。
自分が本を読んでいた時にはいたはずの、二人の兄。
その気配を感じない。
「クラウス兄さん……?」
声をかけながら彼は立ち上がる。
そして周囲を見渡した。
キッチン。
彼ら自身の部屋。
外に行きかけて、足を止める。
鍵が、かかっている。
そういう時には一人で出掛けてはいけないと言われている。
「……何処……?」
ペルは不安げな声で呟く。
そしてぎゅっと服を握りしめた。
「何処に、いっちゃった、の……?」
彼は不安げな声を洩らす。
小さな声。
じわり、と涙が滲む。
呼吸が速くなって、息苦しさに彼はその場に座り込んだ。
「……何処……?」
震える声。
苦しげな、声。
一人になるのが、怖かった。
昔はこれが当たり前だったのに……――
一人きりで自分の部屋に居るのが当たり前だった。
学校から帰れば、いつも一人……
しかし今は違う。
大体いつも、自分の傍にはクラウスやベルトルト、アレクサンダーの姿があった。
一人きりになる時間の方が少なかったのだ。
だから、だろう。
一人きりになるのが、怖い。
息苦しささえ感じた。
捨てられた、なんてことは思わないけれど……
独りきりにされるのが苦しくて、怖くて……――
「っふ、ぅう……」
小さく声を洩らすペル。
彼は薄暗くなり始めた部屋で一人蹲っていた。
嫌だ。
おいていかないで。
独りにしないで……
そんなことを、呟きながら……――
と、その時。
ガチャ、とドアが開く音がした。
ペルははっとしたように顔をあげる。
部屋の中に入ってくる三つの影。
それは、買い物から帰ってきたクラウスとベルトルト、
そして学校から帰ってきたアレクサンダーだった。
「あれ、ペル起き……」
部屋に入ってきたクラウスは、目を覚ました様子のペルを見て目を見開く。
言葉が途中で途切れた理由。
それは、ペルが飛びついてきたからで……
「ぺ、ペル?」
「っ、クラウス、兄さ……っ」
ぎゅううっと彼にしがみ付く、ペルの細い腕。
小さな、手。
震える華奢な体……
そんな彼を見て、兄達は少し驚いた顔をした。
しかしすぐに、その原因に気が付く。
「ペル……怖かったの?」
ベルトルトはペルに問いかける。
一人で取り残されたのが怖かったのか、と。
ペルはその言葉に小さく頷く。
「ひとり、なった、かと……っ」
啜り泣きながらそういう彼。
クラウスは暫し驚いたように固まっていたが、やがて眉を下げた。
そして優しく彼の頭を撫でてやった。
「すまなかった、ペル……
すぐに帰ってくるから大丈夫だろうと思ったんだ」
そういうクラウス。
ペルはふるふると首を振る。
「ごめ、なさ……
我儘、いって、ごめんなさい……」
そう詫びる、ペル。
クラウスはそんな彼の頭を優しく撫でてやった。
「我儘じゃないぞ……
私たちがお前を置いて行ってしまったのが悪い。
次は、ちゃんと起こすようにするからな」
そんなクラウスの言葉に、ペルは何度も頷く。
ぎゅうと縋る手から力が抜けることはなかった。
「ペルに不安な思いさせちゃったお詫びしないとね……
今日はペルが好きな夕飯にしてあげる」
何がいいかなぁ?と言いながら、ベルトルトもそっと彼の頭を撫でる。
ペルはそんな彼の言葉と優しい手に顔をあげると、
クラウスから離れて、ぎゅっとベルトルトに抱き着いた。
「二人にだけか?ペル」
からかうようにアレクサンダーがいうと、ペルはぱたぱたと彼の方にもいく。
そしてほっとしたように息を吐き出した。
「……みんな、居る……」
そのことに、酷くほっとした。
そして兄達の姿を見て目を細める。
もう独りには、なりたくない。
彼らとずっと、一緒に居たい。
そんな想いを抱きながら、彼はもう一度、クラウスにぎゅっと抱き付いたのだった。
―― Lonely Lonely … ――
(兄さんたちが僕を拾ってくれたから
だから僕は今とても幸せで、嬉しいんだよ)
(一人ぼっちはもういやだから。
だから、お願い、ずっと傍に居てね…?)
2015-2-16 22:14