久々のショタコラボのお話です。
とはいえ今回はお初?のサロット・サルさんと。
ポル・ポトさんの別人格です(^q^)
*attention*
ショタコラボのお話です。
ほのぼのなお話です。
アルとポル・ポトの別人格サロット・サルさんのお話です。
きょとんとしつつすぐに適応するアル
ポル・ポトさんより表情豊か?なサロット・サルさん
アルはどちらも大切にするとおもいます(笑)
キャラがふわふわですみません;
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
穏やかな日の光が降り注ぐ、冬の午後。
ふわふわとした白髪の少年……アルはディアロ城の中庭に出てきていた。
柔らかな日射し。
今日は少し寒さも和らいで、穏やかな気候だ。
暖かい日射しを浴びながら、アルは黄色の瞳を細めた。
アルは真冬の生まれ。
寒さには比較的強く、こんな時期に外にいるのも平気だ。
むしろ少し冷たい空気と暖かな日射しの二つが心地よくて、
仕事の休憩がてらこうして外に出てきたのだった。
ふと、中庭の隅に目が行く。
そこに、小さな影がひとつあった。
アルはそれを見て目を瞬かせる。
小さな後ろ姿。
見慣れた制服。
久しぶりに見る、遠国の友人……
アルはそれを見て少し笑うと、彼の方へ歩みだしていく。
そして、その小さな背中にぽん、と手を置いた。
「ポル・ポトさん、こんにちは!」
アルは笑顔を浮かべ、彼の名前を呼ぶ。
すると、彼は驚いたように振り向いて、アルを見た。
その表情にアルも少し驚く。
目の前にいる少年……ポル・ポトが表情を変えることは珍しい。
それが驚きであっても。
そうして驚いた顔をしたのち、ポル・ポトは瞬きをして、小さく首をかしげた。
そして、アルに訊ねる。
「誰……?」
「へ?」
彼の問いかけにアルはきょとんとした。
まばたきを繰り返してから、彼は少し困惑したように問いかける。
「え、ポル・ポトさん……」
「?僕、サロット・サル……」
少し怪訝そうな顔をして、目の前の黒髪の少年は答える。
それを聞いて、アルは目を丸くした。
何となく、直感的に理解した。
彼は、"ポル・ポトではない"と。
だから、アルはにこりと微笑む。
そして、サロット・サルだと名乗った少年に手を差し出しつつ、言った。
「ごめんなさい、僕の友達に良く似ていて……
僕はアル、アル・リフォードと言います」
よろしく、とアルは微笑む。
サロット・サルはぱちぱちと目を瞬かせてから、
少しはにかんだように微笑み、アルの手を握った。
「アル、君……よろしく」
やはり、ポル・ポトとは反応が違う。
アルはそう思った。
彼がよく知っているこの少年は、アルのことを警戒することはなくとも、
こんなになつっこく振る舞うことはないし、笑みを浮かべたりもしない。
同じ見た目。
でも違う性格。
―― 別人格。
その言葉が頭に浮かんだ。
そうした人間を見るのは、決してはじめてではない。
そうしたときにどう振る舞えばいいかも。
彼……サロット・サルを"ポル・ポト"として扱えば、
恐らく眼前の彼は混乱するだろう。
先程の反応を見る限り、サロット・サルのなかに"ポル・ポト"としての記憶はないようだから。
それなら、とアルは思った。
彼のことは彼のこととして扱えばよい、と。
「サロット・サルさんは、此処で何をしてたんですか?」
アルは彼の傍にしゃがみつつ、問いかけた。
それを聞いて、サロット・サルはすっと地面の一角を指さす。
そして、少し笑みつつ、いった。
「花が、咲いてた……」
それ見てた。
サロット・サルはそう答える。
アルは彼の指さす先を見た。
そこには確かに小さな花が咲いている。
それを見て、アルは黄色の瞳を細めた。
そしてサロット・サルにいう。
「本当ですね。
よく見つけましたね、こんな小さい花なのに……」
そう。
サロット・サルが見つけた花は、本当に小さな花で。
少しでも雪が降れば埋もれてしまいそうな、少し踏んだら潰れてしまうような花。
それを見て、アルは微笑む。
サロット・サルはその言葉に頷いた。
小さな指先で花を揺らしながら、言う。
「見て、って聞こえたから……
綺麗に咲いたの、見てほしいって」
その言葉にアルは目を丸くする。
それからふっと笑った。
―― ああ、なるほど。
それは、ポル・ポトと同じなのか、と思う。
ポル・ポトも植物の声が聞こえるといっていた。
どうやら、サロット・サルも同じらしい。
穏やかな表情で花弁を揺らしている。
「そうなんですか。
お花さんも、せっかく綺麗に咲いたなら見てほしいですよね」
サロット・サルさんが来てくれて嬉しかったと思いますよ、とアルはいう。
その言葉に彼は嬉しそうに、照れ臭そうにはにかんだ。
「そう、だね」
そう言ってくれてる。
そういいながら彼が花に視線を戻したとき。
きゅう、と小さく彼の腹がなった。
どうやら、おなかが空いているらしい。
アルは彼のようすにふわりと微笑む。
何だか少し、懐かしいような感じになって。
確か、ポル・ポトとはじめて話したときもそうだった。
もっとも、彼は今目の前にいるサロット・サルのように顔を赤くもしなかったし、
恥ずかしそうな表情を浮かべることもなかったけれど。
「お腹すきました?
食堂にいって、なにか用意してもらいましょうか……
林檎は、好きですか?」
ふと思い付いて、アルは彼に問いかける。
それを聞いて、サロット・サルは驚いたように目を丸くした。
そして、不思議そうにアルにいう。
「好き、だけど……
どうして、わかったの……?」
そう思うのは当然だ。
サロット・サルにとってアルは初対面の人間。
彼が自分の好物を知っていたとなると、驚くだろう。
アルは彼の反応にふわりと笑うと、悪戯っぽくウィンクをして、いった。
「ふふ、どうしてですかね?
何となく、そう思ったんですよ」
そう言って微笑むと、アルは彼の彼の手をそっと握った。
驚いた顔をする彼の手を引いて、歩き出す。
「行きましょう?
そろそろ食堂も空いてくる頃ですし……
この前剥いてもらった林檎、すごく美味しかったですよ!」
にこにこと笑顔でそういうアル。
サロット・サルは彼の言葉にぱちぱちと瞬きをして、
嬉しそうにこくりと頷いたのだった。
***
そして、二人は食堂にいった。
そこで用意してもらった林檎を食べる。
もくもくと林檎をかじる彼の表情はやはりポル・ポトと同じだけれど、
何処か雰囲気が違うのは、やはりポル・ポトとサロット・サルが別人格だからだろう。
アルはそう思いつつ林檎をかじる彼を見つめる。
そして目を細めていた。
大切な友人。
彼と一緒に食事をとるのは、楽しい。
それに、同一人物でも性格がまるで違うからか、別の人間と話しているような気分で、
まるで友達が二人に増えたような気さえする。
「ねぇ、サロット・サルさ……」
アルは彼に声をかけた。
そしておや、という顔をする。
サロット・サルはこくりこくりと居眠りをしていた。
手に持った林檎がころりと転げる。
「サロット・サルさん?」
アルが声をかけると彼は目を開ける。
しかしやはり眠そうだ。
彼を見てくすりと笑うと、アルはいった。
「少し休憩しますか?」
僕の部屋で、とアルはいう。
こしこしと目を擦りつつ、サロット・サルは頷く。
アルはそんな彼をつれて部屋に戻ると、ベッドに彼を寝かせた。
すぐに寝息をたてる彼。
その無防備で無垢な雰囲気にアルは微笑む。
「可愛いなぁ……」
何となく、庇護欲。
アルはそう思いつつくすりと笑った。
そして優しく彼の頭を撫でてやる。
少しくすぐったそうに首をすくめる彼を見て、
アルは穏やかに微笑んでいたのだった。
―― ふたりの、ともだち ――
(同じ姿で、違う性格。
少し驚きもしたけれど、どちらも大切なともだち)
(目を覚ましたときは、どちらの彼かな?
そう思いながら僕は彼の黒髪をなでる)