ナハトさんの可愛らしいイラストをみて触発されました雪狼メンバーでのお話です。
珍しくちゃんとシスも居ます(笑)
スターリンさんは元々あまりこういう光景に笑ったりするタチ出はなかっただろうなという妄想の結果でした←おい
*attention*
雪狼メンバーのお話です
ほのぼの時々ギャグ目なお話です
兄弟喧嘩(?)をかますフィアとルカに笑うスターリンさんとシストを書きたくて…←
もはや雪狼名物となりつつある感じの統率官いじり←おい
拗ねるルカと部下たちの絡みが割りと好きです(笑)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
賑やかな午後の騎士の棟。
その一角にある、様々な種類の任務をこなす雪狼の騎士の部屋が並ぶ場所……
その一室の前に、浅緑の髪の少年はたっていた。
こなしてきた魔獣討伐の任務。
その報告のために彼、スターリンは統率官であるルカの部屋に来たのである。
ドアをノックしようとした彼だったが……その手が止まる。
部屋のなかが何だか、騒がしい?
なんだろう、いったいなにをしているのだろう?
そう思って首をかしげながら、スターリンは軽くノックした。
そして、室内に声をかける。
「ルカ?入っていいか……?」
というか大丈夫か?とスターリンは問いかける。
室内の騒がしさが尋常ではない。
何やら叫び声が聞こえる。
大丈夫だろうか?
「スターリンか、入っていいぞ」
そういう声が返ってきたが、それはルカの声ではない。
くっくっと小さな笑いを滲ませた、同僚……シストの声だった。
彼も此処に来ていたのか。
でもどうしてルカの部屋なのに彼が返事を?
そう思いつつ、スターリンはドアを開けた。
その瞬間。
びゅんっと何かが飛んできた。
スターリンは慌ててそれを避ける。
「わ!?」
飛んできたのは恐らく、枕。
いったいどうしたことかと思って視線を室内に向けて……
スターリンは納得したような顔をして、苦笑をもらした。
室内にいたのは返事をしたシストと、この部屋の主であるルカ、
そして彼の従弟でありシストのパートナーであるフィアがいた。
そして今枕を投げたのは恐らく、フィア。
彼は部屋に入ってきたスターリンをみて大きく目を見開いている。
そして恐らく彼が枕を投げたであろう相手……
ルカは、ドアから少し外れた場所にたっている。
「なんだ、兄弟喧嘩……」
正式に言えば兄弟ではないけれど、そんなようなものだ。
驚いて損したのだよ、とスターリンはいう。
フィアはそんな彼の声に顔をしかめた。
そして溜め息混じりにいう。
「スターリンか……兄弟ではないぞ、俺たちは」
「似たようなものなのだよ……で?原因は?」
どうせまたルカがフィアを怒らせたんだろ、とスターリンはいう。
フィアは彼の言葉に小さく肩を竦めてから、ルカをちらとみた。
「さあてどうだか……どうだったかなルカ統率官?」
フィアは意地悪い口調でルカにそう問いかける。
ルカは彼の言葉に首を竦めた。
「俺のせいじゃねぇだろ、別に……」
あれはただの向こうの勘違いで、とルカはごにょごにょという。
それを聞いたフィアが再び近くにあったものを手に振り上げる。
今度は枕ではなく、恐らくルカが書類を仕上げるために使っていたであろう辞書。
万が一そんなもの投げられては敵わないため、
スターリンは慌ててシストの方へ逃げた。
そして彼の方をみて、首をかしげる。
「ちょっと状況が掴めねぇんだけど……
いったい何があったんだ?」
俺にもわかるように説明してくれ、とスターリンはいった。
シストはそれを聞いてくっくっと笑いながら、いう。
「さっきまで俺とフィアとで任務にいってたんだけどさ……
そんときに、依頼者にやたら絡まれたんだよ、フィア。
打ち合わせがてら食事にいかないかとか、休みの日はいつかとか」
男にな、とシストはいう。
スターリンはあぁ、というように頷いてフィアの方をみた。
フィアは男性に絡まれるのが得意ではない。
というのは、仲間と話すようにではなく、"女として"見られるのが苦手なのだ。
そんな彼が男に女として絡まれた……
大方その原因がルカにあったか何かして、こういう喧嘩になっているのだろう。
「説明不足だ!俺が男だとちゃんと説明したかルカ?!
会うなり"聞いていた通り可愛らしい子だな"なんて言われたんだぞ!?」
説明してたらあんなことにはなってない!とフィアはいう。
ルカは彼の言葉に慌てて反論した。
「説明したよ!女みたいに可愛いけど男ですよ、って!
お嬢さんの護衛にはちょうどいいだろうって!
したところで相手がお前を女と思い込んでりゃどうにもならねぇだろ!」
「その説明のしかたが問題だ!」
フィアは顔を真っ赤にしてルカに噛みついている。
シストはスターリンに"さんざん自分は男だと弁解した挙げ句に、
逃げ帰ってきたんだ"と耳打ちした。
スターリンはそれを聞いて苦笑する。
恐らくフィアにはある意味で地獄だっただろうな、と。
ルカは自分に噛みついてくるフィアに怒鳴り返した。
「それ以前、自分の娘と同じような年齢の女に興味を持つ相手の方が問題だろう!
何で俺が当たられなきゃならないんだよ!?」
「依頼者に当たれるか馬鹿者!
サンドバッグにちょうどいいんだよ貴様は!」
身内だし!と身も蓋もないことを叫ぶフィア。
それを聞いてシストとスターリンは思わず吹き出した。
「おいおい……
事実だろうがいうなよフィア……」
「フィア、本心が出てるのだよ」
「お前らも容赦ねぇな!」
俺に味方はいねぇのかよ、とルカは項垂れる。
いつものことなのだよ、とスターリンはいった。
ルカは彼の言葉に更に深く項垂れる。
フィアはそんな彼をみてふんと鼻を鳴らした。
「お前の説明不足が招いた事態だ」
「はいはい、俺が悪ぅございましたよ」
ルカはすっかり拗ねモードだ。
シストはそんな彼とぷいっとそっぽを向いているフィアをみて楽しそうに笑っている。
こういうやり取りは雪狼内ではよくあるやり取りだ。
見ていて面白いというのもある。
スターリンもくっくっと笑いつつルカの肩を叩いた。
ジト目を向けるルカをみて小さく笑みつつ、スターリンはいった。
「まぁ元気出すのだよ。これ、書類な」
任務完了なのだよ、とスターリンはいう。
ルカは彼の言葉に溜め息を漏らして、いった。
「仕事して気紛らわせろってか?ほんと容赦ねぇな……」
「俺なりの思いやりなのだよ」
受け取っとけ、とスターリンは笑う。
そして部屋を出がてらフィアの頭を撫でていう。
「フィアもあんまりルカを虐めたら駄目なのだよ」
可哀想だから、とスターリンはいう。
フィアはそれを聞いてまぁそれもそうか、といって頷いた。
自分のいうことはさっぱり聞かない癖に同僚の言葉は聞く彼に、
ルカはますます落ち込んだようすを見せた。
シストはそれを見て楽しそうに笑う。
そんないつも通りのやり取りを見つつ、スターリンは楽しそうな表情を浮かべていたのだった。
―― いつものこと、いつもの場所 ――
(あぁ、想像しただろうか?
こんな風に笑う自分自身を…)
(でもこの場所が、この空間が、見慣れたこのやり取りが、
この場所にいるということが、嫌いでも心地悪くもないのだよ)