大佐殿とフィアのお話です。
ちょっと二人にてるというか、関われそうなところがあるなと思って…
フィアは純粋に大佐殿のような騎士に憧れそうです(笑)
*attention*
シュタウフェンベルクさんとフィアのお話です
シリアス?ほのぼの?なお話です
翼竜系の魔獣に因縁がある二人なので…
フィアは大佐殿の話聞いたら驚きそうだなと…←
色々書きたいネタを詰め込んですみません←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
会議書類を抱えて歩く、黒髪隻眼の騎士……シュタウフェンベルク。
彼は自室に向かう途中だった。
今日は部屋に副官を残してきている。
彼は現在仕事の一部、書類の片付けをしてくれているはずだ。
今日はそんなに立て込んだ仕事もない。
書類も大体片付いているし、此処最近ゆっくり休みをとることもできなかったからと、
会議が終わったら何処かに出掛けないかと誘うつもりでいた。
と、そんな道中。
シュタウフェンベルクは一人の少年騎士と会った。
亜麻色の髪。
サファイア色の瞳……
周囲の騎士たちより一回り背が低い少年、フィア。
彼も前方から歩いてくるシュタウフェンベルクに気がつくと、軽く挨拶をした。
そして、書類を抱えている彼を見て、いう。
「シュタウフェンベルクは会議に出ていたのか。
ヘフテンは、一緒じゃないんだな」
フィアはそういいながらよくシュタウフェンベルクの隣にいる彼の副官、
ヘフテンの姿を探した。
片腕を悪くしているシュタウフェンベルクには不便なことも多く、
よくヘフテンがサポートしていることをフィアもよく知っている。
彼の問いかけに、シュタウフェンベルクは小さく頷きながら答えた。
「あぁ。会議は基本的には私だけのことが多いな……
ヘフテンは控え室で待っているか、部屋で仕事をしていてくれることが多い」
今日は後者だ、と彼はいう。
フィアはそれを聞いて、納得したように何度か頷いた。
「そうなのか。大変だな」
俺はあまり会議というものには参加しないから、といってフィアは小さく笑った。
まだヴァーチェである彼は、あまり会議といったものに参加することはないらしい。
この国……イリュジアの騎士でそうした会議をするのは、大体セラだ。
そして彼はスッと表情を引き締める。
その変化に、シュタウフェンベルクは少し驚いたような顔をした。
そして、どうかしたのかというように首をかしげる。
そんな彼を見つめたフィアは、暫し迷うように視線を伏せた後、
じっとシュタウフェンベルクの顔を見つめながら、問いかけた。
「前々から、気になっていたんだが……
お前の、その……目とか、腕とか……
どうして、そうなったのだろうと」
片腕、片眼を失っているシュタウフェンベルク。
そのままでいたって普通に騎士の仕事を続けている彼。
フィアは遠目に彼の姿を見つつ、いつも気になっていたのだという。
彼はどうして、そのような姿になったのか。
また……どうしてそのまま、騎士の仕事を続けられているのだろうか、と。
そんなフィアの問いかけに、シュタウフェンベルクは二度三度瞬きをした。
それから、軽く片眼を覆う眼帯に触れつつ、いった。
「あぁ……なんのことはない。任務中の怪我だ」
こういった仕事ならばよくある話だろう、とシュタウフェンベルクはいう。
もっとも、彼は今でこそ戦いの最前線で戦うといった騎士ではないが……
「任務中の……」
フィアは彼の言葉を繰り返した。
確かに、騎士という仕事は過酷だ。
魔獣相手の戦いで怪我をすることはフィアも多々ある。
けれどもっぱらそれは軽い切り傷や擦り傷くらいなもの。
シュタウフェンベルクのような重傷を負うことは、そうそうない。
これ以上追求するのも失礼だろうかというフィアの思いを汲んだのか、
シュタウフェンベルクはそっと付け足すようにいった。
「竜……というか、そういった類いの生き物と戦ったときにな。
この大陸での話ではないが」
大型の、翼を持った魔獣。
それの攻撃によって、シュタウフェンベルクは重傷を負った。
片目を失い、片腕を持っていかれた
。その時のことは、今でもくっきりと覚えている。
そんな彼の言葉に、フィアは驚いたように、大きくサファイアの瞳を見開
いた。そして、少し掠れたような声で、呟く。
「!そう、だったのか……」
彼の反応はただ驚いたにしては、少しオーバーだ。
どうしたのだろう、と思って首をかしげつつ、
シュタウフェンベルクはフィアに問いかけた。
「?どうかしたのか?」
彼の問いかけにフィアははっとした顔をした。
あんなに、動揺するとは思わなかった。
でも、予想よりもずっと、その状況がイメージできたから……驚いたのだ。
フィアはゆっくりと首を振ると、シュタウフェンベルクに答えた。
「いや……俺も、竜には少し因縁があるから」
そういいつつ目を伏せる、フィア。
シュタウフェンベルクは無言でそんな彼を見つめる。
フィアはふっと息を吐き出すと、遠い昔を思い出すような顔をして、いった。
「俺がまだ幼かった頃に、村が竜に襲撃された。
その時にたくさんの人間が死んだ。
……俺の両親も、な」
その言葉に今度はシュタウフェンベルクが驚いた顔をした。
驚くと同時に、理解する。
どうしてフィアが自分の話を聞いてあんなにも驚いた顔をしたのか。
「……なるほど」
その所為なのだな、とシュタウフェンベルクは呟く。
フィアは恐らく自分の体験と、シュタウフェンベルクの話都を重ねたのだろう。
狂暴な魔獣の攻撃。
それによる負傷と、自分の家族の死とを……――
と、フィアが不意に笑った。
ふわりと、柔らかく……でもどこか悲しげな笑みを浮かべて、
彼はシュタウフェンベルクにいった。
「でも俺とお前とでは、大違いだな」
「え?」
彼の言葉にシュタウフェンベルクは幾度かまばたきをする。
違う?
なにが?
否、それは当然色々と違うところはあるだろうけれど……――
そう思いつつ戸惑いの声をあげたシュタウフェンベルクを見つめ、
ふわっと微笑むと、フィアはいった。
「勇ましく戦ったお前と、ただ怯えて隠れていることしか出来なかった俺と。
……俺にも、あのときお前のような勇気があったなら、と思うよ」
似ていると思った。
でも、色々と異なっていた。
魔獣に立ち向かい勇ましく戦ったシュタウフェンベルクと、
戦う力がなくて戸棚のなかでずっと隠れていた自分とはずいぶん違うなとフィアはいう。
その当時のシュタウフェンベルクのように戦う勇気が自分にもあったなら、とも。
そんなフィアの言葉を聞いて、シュタウフェンベルクは、
少し迷うような顔をすると、彼を励ますつもりで、いった。
「……今は、十分勇ましいんじゃないか?」
勇ましい男装騎士。
それがシュタウフェンベルクのなかでのフィアの印象だった。
どんな任務にも怯まず立ち向かう姿は、十分に勇ましい。
"当時の彼"が求めた強さは、きっと……もう手に入っている。
シュタウフェンベルクがそういうと、フィアはふわりと笑った。
「どうだか……そうだと良いがな。
もう、誰も失いたくはない……大切な人間と、一緒にいたいからな」
だから、強くなりたかった。
今少しでも強くなれているのなら嬉しい。
そういった後、フィアはふと時計を見た。
そしてシュタウフェンベルクにすまなそうにいう。
「すまない、引き留めてしまったな」
「え?あぁ、いや……構わない」
シュタウフェンベルクがそう答えると、
フィアは少しほっとしたように笑った後、"じゃあまた"といって去っていく。
今日は、今から任務があるらしい。
遠ざかっていく華奢な背中を見つめて目を細めた後、
シュタウフェンベルクも自室に向かう。
今日は一日、自分の副官と一緒に過ごすために。
―― I wish… ――
(あの頃の自分に、お前のような強さがあれば。
そう願うけれど今さらだから、俺は今からの強さを求める)
(大切な人と一緒にいたいから、か。
そのためには私ももっと強くならなくてはいけないな…)