雪狼同僚コンビ&ゲッベルスさん&シュペーアさんのお話です。
このIFパロ設定でだと普段とは違う絡み方が出来て楽しいです…←こら
色々暴走していてすみません←←
*attention*
雪狼同僚コンビ&ゲッベルスさん&シュペーアさんのお話です
IFパロ設定でのお話です
「赤色の光景」のシリーズ(!)です
シリアスなお話です
後追いしようとするゲッベルスさんとシュペーアさんの絡みも書きたくて…←
後半はスターリンさんとフィアのやり取りを書きたかったのですが…
如何せんフィアが反応鈍くてすみませんスターリンさん(おい)
一部フォルスタ入ります?←
これはあくまで「IFパロ」です
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
静かな、自分の部屋。
そこに佇んでいるのは、紫の髪の少年。
長い髪が、窓から吹き込んだ風に揺れる。
彼の手に握られているのは、一丁の拳銃。
それをまじまじと見つめる彼……ゲッベルスの瞳には、強い意志の光が灯っていた。
何かを強く誓ったような、表情。
彼は銃の撃鉄に指をかける。
それを起こすカチッという音が、静かな部屋に響いた。
ゲッベルスはそれをそのまま、自分のこめかみに当てる。
ふ、と息を吐き出して、その引き金を引こうとした、その刹那……――
「ゲッベルス!」
不意に開いたドア。そこから誰かが飛び込んでくる。
ゲッベルスが驚くと同時、その誰かがゲッベルスの腕にとびかかって掴んだ。
バァンッと銃声が響く。
放たれた銃弾はゲッベルスの部屋の壁に突き刺さった。
硝煙の臭いが立ち上る。
ゲッベルスは自分にとびかかってきた相手……シュペーアをぎっと睨んだ。
そして、思い切り叫ぶ。
「離せっ!離せよ、シュペーア、返せっ!」
そう叫びながら、ゲッベルスは必死にもがく。
自分の腕を掴むシュペーアの腕を外そうと。
しかしいくらもがいても、体格差がありすぎた。
幾らもがいても彼の拘束は外れない。
シュペーアはゲッベルスを見つめながら、言う。
「駄目だよゲッベルス、何しようと……っ」
何をしようとしていたかなんて、シュペーアだってわかりきっていた。
彼は、死のうとしたのだ。
自分の上官を追って。それを、シュペーアは止めたのだ。
ゲッベルスは彼の言葉を聞いて顔を歪める。
そして、泣き出しそうな声で叫んだ。
「煩い煩いッ!
総統閣下が亡くなって尚のうのうと生きやがったお前なんかに止められたくないッ!」
その頬には、涙が伝う。
シュペーアはそっと息を吐き出しながら、彼の手にある拳銃をとった。
彼がまた、それを自分に向けないように。
「ゲッベルス……」
「……っ、わかってるだろ、俺の事は……"オリジナル"のことも」
顔を歪めたまま、ゲッベルスは言う。
自分の事はわかっているだろう、と。
シュペーアはそんな彼の言葉を聞いて少し目を伏せた。
そして溜め息混じりに頷く。
「知ってる。だからこそ、止めようと思ったんだよ」
そう。知っている。
彼のオリジナルがどんな最期だったか。
彼を……ヒトラーを失ったとき、ゲッベルスがどんな行動に出るか。
わかっていた。
だからこうして、止めに来たのだ。
シュペーアは小さく息を吐きだす。
そして、まっすぐに彼のことを見つめながら、言った。
「はやまったら、駄目だ」
「はやまってなんかない……
これが、俺の出した結論だ……」
止めるなよ、とゲッベルスは言う。
苦しげに、悲しげに、切なげに……
そして一生懸命にシュペーアがとった拳銃を奪い返そうとした。
しかしシュペーアはそれを高く持ち上げる。
背が低いゲッベルスでは、彼の手まで届かない。
返してよ、と涙声で言うゲッベルスに、シュペーアは首を振って見せた。
「駄目だよ……
君がそんな行動に出ても、総統閣下は喜ばないよ……」
君が後を追ったって、とシュペーアは言う。
ゲッベルスはそんな彼の言葉に首を振った。
「俺の、居場所だったんだよ……総統閣下は……」
彼のことが大好きだった。
だから、彼が居ないこの世界に、どんな生きがいを抱いていれば良いのかが、わからない……――
そういうゲッベルスの頭を、シュペーアは撫でる。
彼を宥めようとするように。
彼の言葉は、理解出来る。
彼が言いたいことも、彼の想いも、わかる。
でも、それを許すわけにはいかない。
「駄目だよ、ゲッベルス……」
シュペーアはそういいながら、泣いている自分の友人を慰めた。
***
一方……――
フィアは自室に引きこもっていた。
それでも、外の話は、様子は、廊下で話すほかの騎士たちの声で、理解出来る。
響いた、銃声。
何事かと思ったが、フィアは部屋を出なかった。
廊下で話していた騎士たちの話を聞く限り……――
ゲッベルスがヒトラーの後を追って死のうとしたらしい。
それを、シュペーアが止めたとか。
そんな話を聞いて、フィアは一層落ち込んでいた。
自分の所為で、色々なものがおかしくなった。
ゲッベルスに死を考えさせるほどの絶望を与え、苦しめた。
彼らにとって一番大切な存在を、死なせてしまったのだ。
自分が、全てをおかしくしてしまった……
守りたくて騎士になった。
でも、誰一人として大切な存在を守れてなどいない。
目を閉じれば、蘇る。
竜の炎に包まれた中で戦ったあの瞬間を。
そして、ヒトラーが竜に殺される瞬間を。
思い出すだけで体が震える。
剣を握ることなど、きっともう出来ないだろう……
それだけで、全てを思い出してしまいそうな気がするのだ。
フィアは、あれから二日ほど、こうしてずっと自分の部屋に引きこもっていた。
誰にも会わず、食事にもいかず……
いい加減にものを食べろとルカに諭された。
何も飲まないで、食べないでいたら死んでしまうと、友人のアルにドア越しに泣きつかれた。
それでもフィアは部屋から出ようとせず、ドアにはしっかりと鍵をかけていた。
王女であるディナやルカならば合鍵を持っているはずだが、
二人とも無理やり入ってこようとはしなかった。
それはおそらく、フィアの想いを気遣ったからで……――
しかし。
不意に、ドアの鍵が鳴る音が聞こえた。
フィアは驚いてベッドの上に体を起こす。
ルカ?
それともまさかディナ?
そう思うと同時、ドアが開いた。
中に入ってきたのは、ルカでも、ディナでもなかった。
長い浅緑の髪。
琥珀色の瞳。
その姿を見て、フィアは少しだけ驚いた顔をする。
「……スターリン?」
フィアは部屋に入ってきた人物の名前を呼ぶ。
そう、部屋にやってきたのはフィアの仲間である、スターリン。
彼は険しい表情を浮かべて、つかつかとフィアに歩み寄ってきた。
そして……ベッドに座っているフィアに歩み寄ると、思い切りフィアの胸倉をつかんだ。
フィアは驚いて目を見開く。
そうして胸倉をつかまれたことなど、今まで数えるほどしかなかった。
それは主にフィアが女性であることを仲間たちは知っているからで……
瞬きをしつつ、フィアはスターリンに問うた。
「っ、何……」
「テメェそれでも騎士なのか?
騎士なら自分を守る為に散っていった仲間の分もその剣を握ろうとは思わないのかよ!」
鋭い声で、スターリンは言う。
フィアは彼の言葉に一度サファイアの瞳を見開いた後……すぐに目を伏せた。
そんなフィアを見て、スターリンは更に表情を険しくする。
フィアとヒトラーの一件は、無論ヒトラーも良く知っていた。
そしてフィアがそれにどれだけショックを受けたのかも。
そのまま彼が部屋に籠ってしまったことも……――
だから、こうして様子を見に来た。
鍵は、ルカに無理を言って借りた。
彼を元気づけたいのだ、と言って。
事実、その思いはあった。
スターリンにとって、フィアは大切な仲間だったから。
―― フィアはもう、騎士として働けないかもしれない。
鍵を借りた時、ルカはスターリンにそういった。
フィアはもう、騎士という仕事が出来ないかもしれないと。
まさか、そんなはずがない。
スターリンはそう思った。
フィアがどれほど強い想いを抱いて騎士になったかは、スターリンも良く知っていたから。
でも、違った。
フィアは本当に……すっかり、弱くなっていた。
その姿を見ているうちに苛立ちが、そして悔しさが、湧いてきたのだ。
「見損なったのだよ!
そんなに騎士が嫌になったんなら田舎に帰って花嫁修業でも何でもしてろなのだよ!!」
鋭い声で、スターリンは言う。
フィアはその言葉にも視線を上げなかった。
暫し続く沈黙。
その後、スターリンは小さく息を吐き出した。
そして、腰につけた剣を握る。
そのまま真っ直ぐにフィアを見据えて、言った。
「それをも拒むなら俺が介錯してやる。
安心しろ俺は仲間でも首を狩れるしルカの恨みも負う覚悟は出来てるのだよ」
そんなにも、全てを放棄したいなら。
いっそのこと、俺が斬ってやると。
スターリンはそういった。
剣を抜く音が響く。
それでも、フィアは動かない。
スターリンが顔を歪めた、その刹那……
ふわりと部屋の中に風が巻き起こった。
そして、剣を抜いたスターリンの腕を掴む、誰か。
「駄目だよ、書記長様」
聞こえた声にスターリンは驚いて、振り向く。
そこに立っていたのは、フィアに瓜二つな彼の兄……フォル。
スターリンの腕を掴みながら、彼は言った。
「駄目だよ、書記長様。
それじゃあ、フィアを元気づけたいのか追いつめたいのか、わかんない」
でしょう?とフォルは言う。
スターリンは彼の言葉に顔を歪めて、剣をおさめた。
「……フィア」
フォルは、小さく妹の名を呼ぶ。
スターリンも、呼んだ。
しかし、フィアは答えない。
「……止める事なかったのに」
やっとの事で応えたと思えば、そういいつつフィアは机に突っ伏してしまう。
そのまま、"放っておいてくれ"と呟くように言った。
そんなフィアを見て、スターリンは琥珀の瞳を細める。
再び剣を握る手に力を込めたが、フォルにその手を握られた。
駄目だよ、というように首を振る彼を見て、そっと剣から手を離す。
そしてベッドにうつ伏したままのフィアを見つめて、溜め息を吐き出した。
「……そうしてたいならずっとそうしてたら良いのだよ」
弱虫、という言葉は流石に吐けなかった。
彼が弱いわけでないことは、良く分かっている。
スターリンは一度わしゃりとフィアの頭を撫でると、部屋を出て行った。
静かになった部屋。フィアは顔を歪めて、呟く。
「……っ、そうして、気遣ってもらえるような人間では、ないんだよ……スターリン」
そういったフィアは机に突っ伏したまま、涙を零していたのだった。
―― 崩れた日常と叱咤と… ――
(俺の所為で色々なものが壊れてしまった。
そんな俺を気遣う必要なんて、何らないんだよ…)
(仲間だからこそ放っておけなかった。
いつもの勇ましさはどうしたんだ、いつもの力強さはどうしたんだ…?)
2014-7-18 23:40