御医者様コンビでTwitterお題を診断したらしっくりきすぎて書いてしまいました。
とりあえず、ナハトさんすみません…!
三つで診断が出たのですが、一番最後のはうまく表現できる自信がないので、
とりあえず、最初の二つで書かせていただきたいと思っております。
そんなこんなで、一つ目!
お題は「唇の味」でございました。
*attention*
・白昼夢設定お医者様コラボ(BL注意)
・お題がお題だけに…はい。
・ジェイド視点で書いてみました
・ジェイド、お前本当に少し黙ろう。
・相変わらずの星蘭クオリティ。
・私は何がしたかったんでしょう…
・とりあえず、ナハトさんごめんなさいでした…
そんなクオリティですがOKな方は追記からどうぞー!!
Side ジェイド
―― グロスの味は、苦くて好かない。
そんな会話を耳にしたのは、いつだったでしょう。
仕事がないときに中庭かどこかを歩いていた時に耳にした話、だった気がします。
基本的に、何事にも寛大なこの騎士団。
もちろん"男女交際"も割と自由で。
そういったことに現を抜かしている者ばかりではない、
寧ろ仕事一筋で恋とか愛とか、そういうものに一切興味がない
アレクのような騎士も珍しくはないのですけれど、
やはり街や……下手をすれば城内(まぁ、メイドもいますからね)に、
そういった相手がいる騎士も、いないわけではなくて。
きっと、そんな会話をしていたのも、
そんな騎士の一人だったのだと思うのですけれど。
そういえば以前、アルに
"ふぁーすときすって、レモンの味だって本当ですか?"なんて聞かれて
困ったことがありましたね。
一体どこでそんな話を、と聞けば街で仲良くなった子からきいたとか。
……アルはそう言ったところに疎いので、
たまに平気でそういう話を振ってくるのが少々困りものです。
―― "さぁ……どうでしょうね?"
なんて、笑って誤魔化すしか僕にはできませんでしたが。
***
そんなことをふと思い出したのは、"彼"と仕事をしていた時でした。
僕が我儘を言うから此処で仕事をすることが多い、メンゲレ。
自分の仕事もあるでしょうに、僕の仕事を手伝ってもくれて。
「ジェイドさん、終わりましたよ」
「ありがとうございます。僕も、あと少しですから……いつも、すみません」
申し訳ない、と謝ると暖かな笑顔を向けて、首を振ってくれる、彼。
"僕がしたくてしていることですから"なんて言いながら、微笑むメンゲレは、
まさしく天使らしいといいましょうか。
優しくて、温かい光を持った人物……そんな印象を受ける、笑顔。
そして僕は自分のことより周りのことを、と此処で仕事をしている彼が、愛おしくてしょうがない。
僕も、相当重症ですね。
「こんな所ですかね……少し、休憩しましょうか」
机の上で書類をまとめて、呟く。
ある程度まとまれば、大丈夫。
後は、明日にでも仕上げられるでしょう。
それと同時に、メンゲレに歩み寄って、椅子に座ったままの彼の顔を上向かせる。
そのまま、彼の唇をふさいだ。
「ん……っ」
仕事が終わった時にこうして口づけを交わすのは、もはやいつものこと。
始めたのはいつだったか、何がきっかけだったか。そんなものは、覚えていない。
ただ、あくまでも"仕事中"には触れることの出来ない彼に触れたい、
そんな子供じみた思いでしている行為であることに違いはなくて。
初めは浅く、次第に深く。
僕のそれに一生懸命応えようとしてくれる彼は可愛らしい。
「は……っ」
何度目かのそれで唇を開放してやれば、少し苦しげに息を吸って。
少し潤んだ緑の瞳が美しくて、思わず見惚れる。
そんな自分の思いを誤魔化すつもりで
"相変わらずに顔が赤くなるのですね"、なんて笑ってみれば拗ねたような顔。
若干むくれたままに、メンゲレは言う。
「……ジェイドさんみたいに巧くは、出来ませんよ」
「おや、そうですか?」
巧い、と言われてもわからないのですよね。
何せ、相手は貴方だけ。
他の人間にしたことは、ありませんから。
「……ねぇ、メンゲレ?」
「何……ですか」
彼の柔らかな黒髪を梳きながら、顔を近づけて訊ねてみる。
僕の行動に驚きつつ、メンゲレは僕を見つめ返した。
「ファーストキスって、どんな味だったんでしょうね?」
「え……?」
僕の突拍子もない質問に、メンゲレが驚いて目を見開く。
そのまま何を突然?という顔をして、笑った。
「ジェイドさんは、時々そういうことを仰いますよね」
「この前そんなことを聞かれたので、どうだっただろう、と思いまして」
確かに"らしくない"とは思うのです。
非科学的でどこか空想めいたような、そんな台詞。
メンゲレがおかしそうに笑っている理由は、十分理解しているのですよ。
僕自身、何でこんなことを聞いたのか、よくわかりませんから。
でも、笑っていたメンゲレがふっと目を伏せるのを見て、気づきました。
嗚呼、またこの子は余計なことを考えているなぁ、と。
そんなに僕の発言を不安がらなくてもいいのに。
「……メンゲレ」
名を呼んで、こちらを向かせる。
一度目のそれで若干紅潮した頬を挟んで、もう一度キスをした。
―― 貴方以外にこんなことをした相手は、いないのですよ?
口に出すのは何となく気恥ずかしいので、言いませんが。
そう、僕もどちらかといえばあまり恋愛には興味がない方。
昔はそういうこともあったかもしれませんが、あくまで憧れの域。
子供の恋愛なんて、きっとそんなもので。
でも今は、違う。
"恋"にせよ"愛"にせよ、甘いだけのモノじゃない。
殊更、"僕らのような関係"となると。
だけど、一つ間違いなく言えることは。
―― ここまで、欲しいと思ったことはない。
傍に置いておきたい、と。
それこそ僕から離れられないように閉じ込めてしまいたいと思うほど、
何処までも愛おしい相手。
それが今目の前にいる彼なのだと、公に宣言することはできずとも。
それが事実であり、現実であり、本心である。
それを何より理解しているのは僕なのですから、問題ないですよね?
「ジェイド、さん……?どうか、しましたか?」
顔を離してからも肩を抱いたままの僕に、不思議そうな視線を向けるメンゲレ。
愛らしい僕の天使に、微笑み返して、僕は言う。
「いえ、どうもしませんよ。こうされているのは、嫌ですか?」
僕が訊ねれば、メンゲレはゆっくりと首を振ってくれる。
ですよね、と言ってやれば"離すつもりはない、のでしょう?"と笑ってくれて。
その通り。僕は貴方を離すつもりなんてない。
そして、思ったのですよ。
「……答えなんて、きっと最初から出ていたのでしょうね」
不思議そうな彼の唇に指で触れて、撫でる。
ふっと笑って、"何でもありませんよ"と返答しておきましょう。
口に出して言うのは、あまりに"らしくない"から……――
初めてこうして唇を重ねたときも。
今こうして重ねるときも。
変わらないのですよ、キスの味は。
心を占めるのはただ、"愛おしい"という甘い感情で。
或いは"僕だけの傍に居てほしい"という独占欲でかもしれない。
そうしているときに、感じるのは、貴方の体温だけ。
それが答え、なのではありませんか?
―― 唇の味 ――
(それは無論、"貴方の"味なのでしょう
だから、愛おしく、甘い。僕はそう思うのです)
2012-10-15 19:14