赤髪金髪コラボのお話です。
好きだと堂々宣言するアネットと内心では思ってても表面化できないライニさんとの対比を書きたくて…←
*attention*
赤髪金髪コラボのお話です。
ほのぼの時々ちょろっとシリアス&若干深夜テンション。
基本いろんなことをすぐに口に出すアネットと
表面化はしないけれど色々考えてるライニさんとの対比を書きたくて…←おい
アネットは堂々周囲にも宣言しちゃうタイプです(笑)
そんな彼の所業に照れたり怒ったりしつつ内心少し嬉しいとライニさんが思って下ってたらな、と…←何
何気に依存しあってるCPって素敵だと思います(こら)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
長い金髪を靡かせ、ハイドリヒは食堂に向かっていた。
昼を過ぎた時間。
そろそろ、任務に出ていた"彼"も戻ってくる頃だろう……
自分もこのあと夕方までは仕事もない。
だから、久しぶりに一緒に外に出てみようか……
そう誘おうと思って、ハイドリヒはこうして出てきたのである。
しかし、食堂までいくより先、中庭に面した廊下に差し掛かったところで、
聞きなれた声が耳に入ってきた。
「あー、やっとラインハルトのとこいけるー!」
普通に喋っているつもりなのだろうが、少し大きな声。
はしゃいだような、子供っぽい声色。
それを聞くと、ハイドリヒは足を止めて、少し身を戻した。
案の定、彼も戻ってきた頃か……
そう思いつつハイドリヒが彼の方へいかず、反射的に身を隠した理由はひとつ。
アネットの隣には同じ部隊の仲間であろう騎士たちの姿があったからだ。
表立ってアネットと交際していることを公表したくないとハイドリヒは思っていた。
自分のことをよく思っていない騎士が多くいることも知っている。
そういった不評のなかにアネットを巻き込みたくない……そんな思いから。
部屋に戻るか、此処にいるか……そう迷っていると、
アネットと一緒にいる騎士たちとアネットとの会話の声が聞こえた。
「アネットとハイドリヒってほんと対照的だよなぁ……」
まず聞こえたのはそんな声。
アネットとハイドリヒが親しくしていることは、
食堂等で見かけていればまずわかるだろう。
その関係が"どこまで"と見られているかは不明だが。
そんな最初の少年の言葉に続けて、もうひとつの声がいう。
「お前好きなの明るいタイプの奴だっていってただろ?」
なぁアネット、と呼び掛ける声にアネットは"あぁ、まぁ、な"と曖昧に返す。
ハイドリヒは思わずそのまま、彼らの会話を立ち聞きしていた。
彼らはそこに足を止めたまま話しているのか、
食堂の方へ向かう気配も、ハイドリヒの方へ来る気配も感じない。
そんなことをハイドリヒが考えていれば、最初に声を発した少年がいった。
「どっちかっていえばそれも真逆じゃね?
あの人あんまり表情変えねぇし……傍から見てるとちっと怖ぇよ」
「仕事がすっげー出来るってのは聞いてるし、ほら、あんだけ綺麗な人だから……
何つーの?違う次元の人っぽくね?」
その分怖いよな、といって顔を見合わせて笑う、仲間たち。
別に、軽蔑した口調ではない。
けれど、やはり少し遠巻きにしたような……そんな、声色。
まぁそうだろうな、とハイドリヒは内心思っていた。
敬われはしても、親しまれはしない。
昔からずっとそうだったから、一人にも慣れていた。
こういった反応が普通だと、以前なら割りきれていたけれど……
今は少しだけ、胸が痛む。
友人たちの言葉に、"彼"は何て返すだろう……
その答えが聞きたいような聞きたくないような、複雑な心境のままに、
ハイドリヒがそこに佇んでいれば……
「ラインハルトは笑うよ」
あっけらかんとした声が聞こえた。
アネットの声。
あっさりとそう言ってのけたアネットの声に、
周囲にいた騎士たちは少し間を空けてから、いった。
「んなとこ、見たこと……」
「お前らが見たことねぇだけだよ!」
アネットは少し強い口調でいう。
彼の口調に圧倒されたか、アネットの仲間たちは口をつぐんだようだった。
アネットはふぅ、と息を吐き出してから、いう。
「怖くなんかない。すごく優しいし、暖かい人だよ。
一緒にいると、すごく安心するんだ!」
「そうかー?俺たちには到底そうは思えねぇけど……」
訝しげな声色。
しかしそれが誰の声かなんて、もうハイドリヒには関係がなかった。
"彼"の声ではないから。
アネットはそんなことをいった少年たちを笑う。
そして、笑ったままにいった。
「別にわかってほしいなんて思わねーよ。
ラインハルトが冷たい人だとか誤解さえしなきゃいい。
彼奴のこと傷つけなきゃ、それでいい……
ラインハルトが笑ってるの、一番近くで見られんの俺だけの特権だからな!」
俺だけの、を強調したのがハイドリヒにもよくわかった。
ほかの誰にもとられない……
そんな独占欲を滲ませたその声色に、ほかの少年二人も笑ったようだった。
苦笑混じりに、一人がいう。
「はいはい……
ほんっとお前はよくなついてるよなぁ、あの人に」
「お前があそこまで懐くの、アレク様くらいだったろ」
「へへん、ラインハルトは別格だからな!」
そんな得意気なアネットの声を背に聞きながら、
ハイドリヒは元来た道を引き返していた。
悲しかったのではない。
居たたまれなくなったのでもない。
逆に、嬉しかった。
けれどその分……
否、それ以上に照れ臭くて。
このままアネットと顔をあわせることができそうもなかったのである。
「全く、あの人は……!」
自室に戻り、椅子に腰かけて、ハイドリヒは息を吐き出しながらそう呟く。
白い頬は真っ赤に染まり、照れというよりは寧ろ怒ったような顔にすら見えたが……
それでも、その内心は確かに喜んでいて……――
***
ハイドリヒが自分の部屋に戻ってから数分後……
ノックもなしにドアが開いた。
その犯人はハイドリヒもよくよく知っている。
椅子に腰かけたままのハイドリヒの方に、彼……アネットは駆け寄ってきた。
「ラインハルトー!」
ただいま!と子供のようにいいながら、
アネットは振り向きかけたハイドリヒを絵方面からぎゅっと抱き締める。
まだ頬の熱が引かないハイドリヒはそんな彼の体を軽く押し返しつつ、
やや早口で彼にいった。
「……おかえりなさい、任務お疲れさまでした」
押し返されたアネットは一瞬不服そうな顔をしたが、
ハイドリヒの顔を見てすぐに、やや心配そうな表情を浮かべる。
そしてそっと、ハイドリヒの頬に触れた。
暖かい彼の掌を感じて、ハイドリヒは青い瞳を見開く。
「どうしたんだよ、ラインハルト。ちょっと顔赤くね?」
そういいながら、アネットは顔を近づけて、覗き込むようにしてくる。
ハイドリヒは暫しフリーズしていたが、やがて少し視線を伏せた。
「!何でもありませんよ……近いです」
そういいながら、アネットの視線を躱そうとするハイドリヒ。
そんな彼の態度に、アネットは一層心配そうな顔をしていた。
「どうしたんだ?熱でもあるのか?」
大丈夫?と心配そうな声をあげつつ、
アネットは押し返されてもめげずにハイドリヒの額に、頬に触れる。
「熱はない、けど……何かあった?」
「…………」
さっきの貴方たちの話を聞いていた、何て言えなくてハイドリヒは黙ったまま。
アネットはそれを肯定の返事ととったのか、
そっとハイドリヒの体を抱き寄せた。
不器用に背を擦るその手を感じ、ハイドリヒはひとつ息を吐く。
「……もう」
ハイドリヒは小さく呟いた。
アネットはその声に"へ?"と間の抜けた声をあげる。
ハイドリヒはアネットに抱き締められたまま、呟くようにいった。
「……やめてくださいよ」
全部彼の所為だ、と思う。
無表情を、無感情を装えなくなったのも、孤独に耐えられなくなったのも、
全部全部、彼の所為だと。
でも、それでも……
そんな彼を嫌いになるなんてことだけは絶対になくて、
どんどん愛しくなるだけで……それでまた、弱くなる。
そうして、彼に依存していって、寄りかかって、
その末に彼を壊してしまうことだけが怖かった。
だから、やめてと思わず口にしていた。
これ以上、依存させないで、と。
でも、その言葉はきっと真意ではない。
本当は……――
しかしアネットはそんな彼の言葉を正面から捉え、慌ててハイドリヒの体を離した。
そして焦ったような顔をして、いう。
「俺、またラインハルトに何かしちゃったのか……?」
「違いますよ……」
「じゃあ、なんで……?」
不安げに、アネットはそういう。
ハイドリヒは暫しそんな彼を見つめていたが……
ぐい、とアネットの服の胸元を掴んで、引っ張った。
そして、やや強引にキスをする。
自分からすることなんて殆どなかった。
彼の方から額や頬にしてくることこそあれど。
だからほら、彼は固まっている。
思考停止している彼の姿を見て、ハイドリヒは目を細めていた。
少し長く口づけた後、ハイドリヒはアネットを解放した。
呼吸の仕方を忘れていたようで荒く息を吐く彼を見つめ、
ハイドリヒは甘い吐息をひとつ吐き出す。
「……鈍感」
ぼそり、とそういったハイドリヒをアネットは見つめ返した。
少し潤んでいる青い瞳。
何処か挑戦的な表情にも見えて……
アネットは悪戯に笑うと仕返しと言わんばかりにハイドリヒの唇を塞いだ。
少し長いキスを返してから、はぁ、と息を吐き出したハイドリヒを見つめ、いう。
「だったら、わかるように伝えてくれ」
俺はいつもそうしてる、といってアネットは再びハイドリヒに口づける。
そのキスに応じつつ、ハイドリヒはそっとアネットの背中に腕を回して、
彼が苦しいと感じるのではないかと思うほどに強く、抱き寄せた。
―― Take the responsibility ――
(離したくない、離れたくない。一人が怖い。
こんなことを思うようになったのも全部全部貴方の所為だから)
(表情には出さない。出せないけれど、感じて。
私をこんなに弱くした責任をとって、なんていったら貴方はどうするでしょうね)