本日三月七日はうちのアネットがお世話になっているライニさんのお誕生日!
ということでお祝い小説書いてきてしまいました…!
いつも通りなノリですみません;;
お誕生日おめでとうございますライニさん!
*attention*
赤髪金髪コラボのお話です。
ほのぼのなお話です。
ライニさんのお誕生日小説です。
サプライズ好きなアネットです(笑)
何だかんだでらぶらぶな二人だったらいいな、と…←
ライニさんお誕生日おめでとうございます!
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
降り注ぐ朝日。
その眩さに金髪の少年は目を開けた。
青い瞳に射し入る朝日。
金髪の彼……ハイドリヒはそれに目を細めてから、体を起こした。
いつも通りの朝。
ハイドリヒは比較的起きるのが早い方で、
まだ城は静まり返っているようだった。
ベッドから降りて、洗面台の前に立つ。
少しだけ寝乱れていた金の髪をそっと漉いて整え、制服もきちんと着た。
そして装飾品を付けたところで……室内に気配を感じた。
敵の気配ではない。
寧ろ、慣れ親しんだ"彼"の魔力、気配だ。
何故この部屋にいるのかは果て無く不明だが……
そう思いつつ、ハイドリヒはその気配の方を振り向こうともせずに、
溜息を一つ吐いてから言った。
「アネットさん。何でこんな朝早くから私の部屋にいるのですか」
呼びかけに、その相手は答えない。
怪訝そうな顔をして、ハイドリヒはふり向いた。
隠れるのが苦手なアネットがそうそう上手く隠れられるとは思わないのだけれど、
振り向いたそこに彼の姿はない。
気配も、魔力も……少し、薄れているように感じた。
ハイドリヒは思わずあれ、と声を漏らす。
気のせい?
そう感じただけだった?
寝ぼけているのだろうか?
否、そんなはずは……
そう思ったとき。
「ラインハルト!」
「わ……っ?!」
不意に後ろから抱き付かれた。
その声も、呼び方も、腕の力や温かさも、
確かに今ハイドリヒが探していた彼……アネットのものだ。
首だけで振り返ってみれば、やはり自分に抱き付いている、赤髪の少年。
驚いているハイドリヒの顔を見て、彼は嬉しそうに笑っていた。
「へへ、びっくりした?」
「……少し。何処に隠れていたんですか?」
ハイドリヒは素直にそう答えた。
悔しいが、驚いた。
彼はいったいどこに潜んでいたというのだろう?
そんなハイドリヒの反応に、アネットは嬉しそうに笑っていた。
「姿消してたんだよー」
そういってアネットは得意げに笑う。
彼の言葉にハイドリヒは怪訝そうな顔をした。
アネットは完全に戦闘派の騎士。
戦いに使う攻撃魔術は得意でも、
姿を消す消身術や魔力を隠す魔力は使えないはずで……
それなのに姿を消していた?
それも、気配に敏いハイドリヒでさえも、
少しその感覚に自信がなくなるほどに上手く姿を消していたというのか?
そんな疑問を湛えたハイドリヒの表情に気が付いたのだろう。
アネットはに、と笑って、ハイドリヒの頬にキスをした。
そして、ハイドリヒにその答えを言う。
「アンバー様に貰った薬のおかげだよ」
「アンバーさんに……?」
なるほど。
納得は、した。
研究好きでそういった薬を作るのが趣味だという彼の手にかかれば、
確かに一時魔力や姿を消すことは可能だろう。
アンバーの薬は基本的に効果がすぐに出るし、抜群に効く。
でも、正直いって……
それは褒められた行為ではない。
ハイドリヒは少し顔を顰めつつ、言った。
「何の疑いもなしにその薬を飲んだのですか……」
「へ?え、あぁ、うん」
アネットはハイドリヒの問いかけに首を傾げつつ、頷いた。
何が悪いんだ?というように。
ハイドリヒはそんな彼に小さく溜息を吐き出すと、いった。
「……貴方らしいですけれど、もう少し人を疑った方が良いですよ」
ハイドリヒはそういった。
その言葉にアネットは少しむくれた顔をする。
「見知らぬ人ならともかく、アンバー様は俺たちの仲間だぞ?」
「それはわかっていますよ。
でも……仲間の姿に変身してそういったことをしようとする人間が、
この世界にいないわけではありません。
安易に貰ったものを口にしてはいけませんよ」
ハイドリヒはアネットにそう言った。
それは、ハイドリヒが常々気を付けていることだった。
諜報部という職業上、いろいろと危ない橋もわたる。
安全だとわからない間はそこに出されている食事や飲み物を口にしようとはしない。
アネットは他人を疑うことを知らず何でも鵜呑みにしてしまうから……
ハイドリヒとしては、それが不安でならなかった。
もしもそれがアンバーを装った敵だったら。
毒を飲まされて殺される恐れだってある。
まぁ、もっとも……
正面勝負しかしないアネットがそういった形で、
命をねらわれる可能性は限りなく低いとは思うけれど。
それでも、心配するのは当然だろう。
ハイドリヒにとってアネットは、大切な恋人なのだから。
アネットにも、その思いは何となく通じたのだろう。
嬉しそうに笑って、"わかった"と頷く。
そんな彼の様子、表情にハイドリヒもほっとした顔をしたが……
すぐに、再び怪訝そうな顔をする。
わざわざそうしてアンバーの力を借りてまで、
彼は姿を消して自分の部屋に来ていた。
それはいったい何でなのか。
未だその謎は解けていない。
ハイドリヒは自分に抱き付いているアネットを引きはがしてから、彼に訊ねた。
「しかし、何故わざわざそんなことをしてまで此処に?
アネットさん、朝は苦手でしょうに……」
「あ、すっかり忘れてた!」
アネットは目をまん丸く見開いて、そう声をあげた。
此処に来た目的を忘れるとは……アネットらしい。
ハイドリヒがそう思って溜息を吐き出すと同時……
再びアネットがギュッと抱き付いてきた。
今度は正面から。
ハイドリヒは再び驚きで目を見開く。
「な……っ」
「誕生日おめでと、ラインハルト!」
少し顔を離して、アネットはハイドリヒにそういった。
満面の笑み。
明るい声。
ハイドリヒはその言葉に瞬きをして、壁のカレンダーに目をやる。
三月七日。
そう、今日はハイドリヒの誕生日だった。
フラグメントである彼は、"ラインハルト・ハイドリヒ"のオリジナルと
全く同じ誕生日なのだ。
アネットはそれをきちんと覚えていて、こうして祝いに来たらしい。
それもわざわざ、朝からハイドリヒの部屋に侵入してきてまで。
「……ありがとう、ございます」
「へへ、びっくりした?」
「わざわざこうして朝から部屋に来てまで言いに来たことにびっくりしました」
ハイドリヒがそういうとアネットは唇を尖らせた。
そしてちらとドアの方を見つつ、呟くように言う。
「ラインハルトに一番最初に誕生日おめでとって言いたかったんだよ。
他にも言いたい奴いっぱいいるだろうから……
俺が一番最初に言いたかったんだ」
アネットはそういって、微笑んだ。
そのまま、ハイドリヒの美しい金髪を優しく撫でつける。
その手つきの、声の優しさに、ハイドリヒは幾度も青い瞳を瞬かせた。
そして少し目を伏せると、"ありがとうございます"と、もう一度呟くように言う。
こうして、祝いに来てくれたことが純粋にうれしかった。
オリジナルの罪を背負うフラグメントの誕生日を祝うことは決して良しとはされない。
でも、それでも……
彼は、関係ないと言ってくれるのだろう。
そんなアネットの性格を、ハイドリヒもよく知っている。
アネットは小さく首をかしげて、いう。
「迷惑じゃなかった?」
「……私はいつもこれくらいの時間には起きていますから」
平気です、と答えるとアネットはほっとしたように微笑んだ。
「よかったぁ……ふぁあ……」
大きな欠伸をするアネットを見て、ハイドリヒは苦笑をもらした。
眠くなるのも、まぁ当然であろう。
普段ならアネットはまだ爆睡している時間帯だ。
ハイドリヒは軽くアネットの頭を撫でてやった。
「眠いのならば、部屋に戻って寝なおしたらどうですか?」
少しなら眠れるだろう、とハイドリヒはいうが、アネットは首を振った。
そして、ハイドリヒににかっと笑いかけてみせる。
そして、ハイドリヒに微笑みながら、いう。
「せっかくこうやって朝からラインハルトと一緒にいられるんだから、一緒に居たい。
今から、剣術の練習とか行くんだろ?」
「えぇ、そうするつもりですが……」
「俺も一緒に居ていい?」
せっかくだから、とアネットはいう。
誕生日である彼を一番に祝い、一番近くに一番長くいたい……
そんな思いを滲ませた彼の言葉に、ハイドリヒはこくりと頷いた。
アネットは嬉しそうに笑って、ギュッとハイドリヒに抱き付く。
そしてもう一度彼の耳元で"誕生日おめでとう、ラインハルト"という。
そして、一度見つめあうと、そっと唇を重ねたのだった。
―― 誰よりも近く、誰よりも長く… ――
(一番傍に一番長く一緒に居たいんだ。せっかくこうして出会えたんだから
誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう……)
(明るく、優しく、無邪気な彼からの祝いの言葉。
あまり表情には出せなかったけれど、確かにうれしいと心から感じていて…)