無彩色極彩色コラボのSSです。
こういうほのぼのちっくなお話もいいかな、と…
普段他人に弱味を晒さないような人が特定の相手にだけは無防備なのが、好きなのです←おい
*attention*
無彩色極彩色コラボのSSです
ほのぼのなお話です
朝に弱いノアを探しに来るフランコさんの話をやってみたくて…←
ノアは基本他者警戒しまくりですがフランコさんには無防備であってほしいと言う妄想←おい
フランコさんの無邪気さがいとおしいです…
ノアが何を呟いていたかは恐らく予想通りだと思います…←
相変わらず妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
乾いた下草を踏む、ひとつの影。
長い赤色の髪を背に揺らして、小柄な少年は森の道をいく。
生い茂った木々で日の光は遮られていて、
もう既に昼前だと言うのに森のなかは薄暗い。
そんな道を歩いていく赤髪の少年……フランコはふうっと息を吐き出した。
「たぶん、此処におると思うんやけど……」
小さく呟きながら、彼は持ってきた時計を見る。
まだ少し、時間は早い。
午前から彼……ノアールが部屋に来てくれることは珍しいのだけれど、
フランコとしてはせっかく自分が一日休みなため、一緒にいたいと思うわけで。
たぶん、彼は此処にいるだろう。
夜、フランコが眠るまで傍にいたのちに、
彼はいつも此処の森の奥にある廃墟に帰っているというから。
いなかったらいなかったで、おとなしくかえって待っていればいい。
そんな思いでこうして此処へ来たのはよいのだけれど……
「お、思いの外暗いなぁ……またノアールに怒られるやろか」
てっきり、まだ明るい時間だからもう少し明るいと思っていた、とフランコは呟く。
以前一人で此処に入ってきたときには、ノアールに叱られたりもした。
また怒られてしまうかもしれないけれど……
それでも、いかないで待つのもつまらんしな、と呟いて、
きょろきょろと周囲を見渡しつつ、フランコはゆっくりと歩いていく。
初めて入った時には迷ったのだが、どうにか彼がいるであろう廃墟に辿り着いた。
よかった、と息を吐きながら……
フランコはゆっくりとその廃墟に足を踏み入れた。
彼の魔力は特殊だ。
部屋のなかにいれば、大体わかる。
フランコはそう思いつつ、ゆっくりと廃墟のなかを歩いていく。
廃墟、といっても案外綺麗に片付けられている。
一人で手は回らないと見えて、所々埃が積もっている場所もあるが、
ものが散らばっていたり硝子が割れていたり、はない。
几帳面な性格の彼らしいな、と思ってフランコが小さく笑ったとき。
慣れた魔力を感じて、フランコは足を止めた。
「お、此処か?」
フランコはそういうと、ひとつの部屋のドアをそっと叩いた。
気配はこの奥から確かに感じるのだけれど……
ドアをノックしても、返事はない。
「あれ?ノアール……?」
フランコは声をかけながら、そっとドアノブを捻った。
そして、ゆっくりドアを開けて……返事がなかった理由を理解した。
ベッドに眠る、黒髪の彼。
静かな寝息だけが部屋に響いていた。
「まだ寝てるんかい」
寝坊やなぁ、とフランコは苦笑した。
まぁ、彼もフランコ同様に夜遅くまで起きていたわけだし、
遅くまで眠っているのは納得と言えば納得だ。
「ノアールー?」
フランコが小さく名前を呼ぶが、彼は返事をしない。
完全に寝入っているらしいし、彼が部屋に入ってきたのにも気づいていないらしい。
布団を抱えて眠っている彼は、まるで子供のようだ。
いつもの大人びている様子のノアールとは違う。
少し無防備な表情の彼を見て、フランコは"俺のこと子供扱い出来んやん"と笑う。
そしてこんなにもぐっすり寝ている彼をたたき起こすのも気が引ける、と思って、
フランコは溜め息を吐き出した。
城までの行き来だって簡単ではないだろうし……
眠っているのを起こされるのは、フランコもあまり好きではない。
彼が起きるまで、待っていようか。
そう思いつつ、とりあえず暫くノアールが起きるまで待っていることにした。
ぐるりと部屋を見渡す。
明かりのついていない部屋だが、どうにか目は闇になれてきていて、見える。
余計なもののない、質素な部屋だが、至るところにおいてある家具は、高そうだ。
そして目立つのは、テーブルの上にあるチェス盤。
ノアールはチェスが好きだっていってたな、と思いながらそれから視線をはずす。
他に面白そうなものはないしな……
そう思いつつ、フランコがもう一度ぐるりと部屋を見渡したとき。
「ん……?これ……」
フランコは床に落ちていたものを拾い上げた。
それは、大きな黒い羽で。
烏のものにしては大きい。
そして、その羽は美しい。
暫しそれを撫でた後、フランコはひとつの答えに至った。
「……ノアールの、かな」
フランコはそう呟いて、小さく笑った。
一度しか見たことがないけれど、ノアールはある意味特殊種族。
否、操り人形という生き物である時点で特殊ではあるのだが……
ノアールは、悪魔の魔力を有している。
そして、それを完全解放すると悪魔、堕天使の姿をとることが出来るのだ。
初めて見たときには驚いたし、正直少し怯えもした。
しかし、慣れればそんな恐怖は消える。
ただ、格好いいといって彼に抱きつき、
慌てたように引き剥がされたのを今もフランコは覚えていた。
時折魔力を解放しないと不調を起こすというから、
恐らく魔力を解放して……その時に落ちたものだろう。
そう思いつつ、フランコはその羽をポケットにいれた。
***
―― それから、暫くして。
さて、とフランコは小さく溜め息を吐き出した。
これだけ部屋も暗いのだから、納得と言えば納得だが……もうすぐ昼だ。
そろそろ、いつもならばフランコの部屋に来てくれる時間である。
眠り続ける彼の肩を揺らして、フランコは声をかけた。
「そろそろ起きぃや……ノアール」
「ん……」
小さく声を洩らして、ぱち、とノアールが目を開けた。
暫し寝ぼけたように黒い瞳が泳ぎ……
はっとした顔をして、がばっと体を起こした。
フランコは"いきなり起きるなや!"と驚いた声をあげる。
「っ、何だ……な、何でお前が此処にいる!?」
珍しく動揺した表情を浮かべたノアールを見て、フランコはおかしそうに笑った。
そして彼の白い頬をつつきつつ、言う。
「寝坊やで、ノアール。
俺、朝から仕事なかったから、迎えにきたんや」
「……危ないからやめろといったのに」
全く、といいながらノアールは軽く髪をかき上げる。
少し乱れた黒髪が、何だか珍しい。
フランコはくすりと笑うと、少しからかうような口調でいった。
「ノアールがぐっすり寝てんの、久しぶりに見たわぁ……」
「……俺だって、まさか人がいる状態で眠り続けるとは思っていなかった」
ノアールはそういいながらぷいとそっぽを向く。
その頬は赤く染まっているようだった。
フランコはぱちぱちとまばたきをして、ノアールに問いかけた。
「え、それって……俺だったから気にならんかった、ってこと?」
「……そうなんじゃないか。
誰が来てもこう寝入ってしまっていたのでは、洒落にならない」
はぁ、と溜め息を吐き出して、ノアールはベッドから降りた。
そしてぐいっと伸びをして、フランコの方を見る。
「いこう。こんな薄暗い部屋にいるのも、なんだろう」
「あ、暗いって自覚はあるんや?」
「……明るいのは、苦手なんだ」
ノアールは小さくそう答える。
少し決まり悪そうな、表情。
そうなん?と首をかしげるフランコに、ノアールは頷いた。
「環境が環境だからか、明るいのが苦手なんだ……
暫くすれば慣れるが、いきなり明るい場所だと頭が痛くなる」
「へぇ……初めて聞いた」
フランコはそう呟くように言う。
そして、ふっと笑った。
ノアールが自分のことをこうして話してくれるのが嬉しいのだ。
以前までは、自分のことをフランコに話そうとしてくれなかった彼。
しかし、最近は自分から色々話してくれる……
心を許してくれているのだろうな、と思うとそれは嬉しくて。
フランコはにっと笑いつつ、ノアールにいった。
「せやったら、ノアールが部屋で寝とる時はカーテン閉めといてやらなあかんな」
「お前の部屋で夜に寝ることなんてそうそうないと思うけどな」
「えー……つまらんー……
たまには泊まってってくれてもえぇやん……」
ぶうぅ、と頬を膨らませるフランコを見て、ノアールは少し視線を逃がした。
そして、小さく溜め息を吐きつつ、"……ておく"と呟く。
フランコはきょとん、とした。
「へ?」
「っ、いいから、いくぞ」
ノアールはフランコの手を握る。
少し驚いた彼の顔を見て、ノアールはいった。
「いくぞ……迎えに、来てくれたんだろう……
どうせなら、このまま街に出て買い物でもしてから、帰るか」
「!うん!」
ぱぁっと嬉しそうに笑って、フランコはノアールの手を握る。
ノアールはその手を離さないように握りながら、ゆっくりと廃墟を出ていった。
―― Open your mind… ――
(少しずつ、少しずつ、近づいていく関係
そうして、弱さや過去の傷も見せてくれるのは俺も嬉しいんや)
(きっとそれは、相手がお前だからだと俺も理解している
多少気を抜いてもいられるのは傍にいるのがお前だからで…)