主人公コラボ&クビツェクさん&アルのお話です。
こういうほのぼのな日常なお話もいいな、と思いまして…
*attention*
ダブル親友コラボ(主人公コラボ&アル&クビツェクさん)のお話です
ほのぼのなお話です
本家Laurentia!(学パロ)設定です
冬の日の日常的な…←
親友同士という関係が好きです(笑)
フィアは色んな面でヒトラーさんを気にかけてたりヒトラーさんもフィアをよく理解してたらいいなって…←
本家設定でのクビツェクさんとヒトラーさんの関係がとてもツボで…
どこか甘い雰囲気、素敵です←おい
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
寒空のした響き渡るチャイムの音。
それを聞きながら黒髪の少年はくぁ、と小さく欠伸をした。
一日の授業を乗りきって、軽い気だるさと眠気を感じる。
もう帰るだけなのだから、と思いながら眠い目を擦ってはいたけれど。
今日は彼……ヒトラーの親友であるクビツェクも部活が休みらしく、
授業が終わったら、一緒に帰る約束をしていたのだ。
その帰りがけに何処かに寄り道するのもいいかもしれないね、と話した今朝。
彼とゆっくり話すのも何だか久しぶりな気がして、
ヒトラーはそれが少し楽しみだったりする。
少し早く帰りのSHRが終わった彼はとりあえず先に出て、
校門で彼がくるのを待つことにしたのであった。
***
一月も半ばを過ぎたが、まだ春が遠いことを感じる、冷たい風が吹き抜けていく。
はぁ、と息を吐き出せば白く凍った吐息が空に消えた。
ヒトラーはふるりと体を震わせて、首元に巻いたマフラーに顔を埋める。
吐き出した吐息がマフラーに籠って、少し暖かかった。
ヒトラーはまばらに人が出て来はじめた昇降口の方をみる。
放課のチャイムが鳴ったから、もう少したらくるだろう。
そう思いながら雪でも振りだしそうな灰色の空を見上げた時。
「あれ?ヒトラー?」
不意に聞こえた声にヒトラーは視線を前に戻した。
時折一緒に帰っている亜麻色の髪の少女の姿がそこにはあった。
その隣には彼女とほぼ同じ身長という、
男子生徒にしては小柄な白髪の少年の姿。
ヒトラーは他校の友人たちの姿に幾度かまばたきをして、いった。
「フィア、アル……お前たちも今帰りか?」
ヒトラーの問いかけに小柄な白髪の少年……
アルが無邪気な笑顔を浮かべて、挨拶をした。
「こんにちはっ、ヒトラーさん!」
「あぁ。今日はアルと帰ってきたんだ」
ヒトラーの問いかけに頷きながら、フィアは隣にいる白髪の少年に微笑みかける。
彼……アルも嬉しそうに笑って"今日は委員会も塾もなかったからね!"といった。
そういえば、彼らも、親友同士なのだと以前話していたな、とヒトラーは思いだす。
アルが小柄で子供っぽいために、大人びたフィアと一緒にいると姉弟のようで、
みながらほほえましいやらアルが気の毒やらだな、とヒトラーは思っていたのだけれど。
そんな白髪の彼と普段は一緒に帰るフィアだというけれど、
ヒトラーがクビツェクと別々に帰る時、一人で帰っている彼女と帰り道であって、
一緒に帰ることも時々あった。
ヒトラーがそんなことを考えていると、
ふと何か思い付いたようにフィアは首をかしげ、彼に訊ねた。
「ヒトラー、お前は何をしているんだ?これだけ寒いのに」
「え?あぁ……グストルを待ってるんだ」
「クビツェクを?今日は部活ないんだな、彼」
あぁ、とヒトラーが頷く。
フィアも、クビツェクが音楽科の生徒であり、活動が忙しいことは知っている。
そういう状況だから、ヒトラーが一人で帰っていることもあるのだということも。
フィアは彼の言葉に"そうか"と返して……ふっと、微笑んだ。
そして、呟くような声でいう。
「良かったな」
「え……?」
ヒトラーはフィアの言葉に不思議そうな顔をして瞬きをした。
フィアはそんな彼をみてくすりと笑うと、"クビツェクと一緒に帰れて"という。
「ヒトラー、やっぱりクビツェクと一緒にいるときが楽しそうだから。
あ……私がお前と一緒にいたくないとか、
お前が私と一緒にいるときにつまらなさそうとかそういうのではなくて……」
口がうまくない彼女は少し迷った顔をすると、今度はヒトラーが笑う。
そして"大丈夫だ"といった。
「ちゃんと、フィアが言いたいことはわかっているから……」
彼女が時々酷く口下手であることも、
少し言い方がきつかったりしても相手を思いやっていることも、よく知っていた。
ヒトラーもフィアのことを、大切な友人だと思っている。
フラグメントである自分にたいし、普通の友人同様に接してくれる彼女。
クビツェクを心配させたくないあまりに溜め込んでしまう、
自分の悩みや苦しさを受け止めてくれる人でもあり、
自分達フラグメントの境遇を思って泣いてくれる人でもある。
けれど、ヒトラーがフィアにたいして抱く友情と、
クビツェクにたいして抱く友情とはやはり少し違う。
―― 特別な、存在だから。
きっと、フィアにとってアルがそうであるように。
ヒトラーにとっては、クビツェクは特別な存在で。
……否、少しその関係性は異なっているのかもしれないけれど。
「ヒトラーさんはクビツェクさんと本当に仲がよろしいですものね!」
そういって、白髪の少年は無邪気に笑う。
ヒトラーは"そう見えるか?"と首をかしげる。
「あぁ。傍からみていてもヒトラーとクビツェクの仲のよさはよくわかるよ」
フィアは頷くと、思い出したように時計をみた。
そして"そろそろいかないと"と呟く。
そんな彼女の様子にヒトラーは不思議そうな顔をして首をかしげた。
「あれ、用事があるのか?」
「あぁ。今日はバイトがあってな」
"アルとゆっくり出来なくて残念だけど"と言いつつ、フィアはアルの方をみる。
アルは微笑んで"また今度ゆっくりしよ?"と彼の親友にいった。
フィアはヒトラーの方を向き直って、いう。
「じゃあ、私たちはそろそろいくよ。
ヒトラー、寒いのだから暫くクビツェクが帰ってこなかったら室内に戻れよ。
風邪も流行っているのだから……」
「……相変わらずフィアは、私のことをどう思っているんだ」
ヒトラーは自分を気遣う、まるで姉か親のような発言に、苦笑を漏らす。
フィアはふっと笑って、"大切な友人だと思っているよ"という。
「あ、また私のバイト先にも遊びに来てくれ。
……今度は、服を着せて手伝わせるなんてことにならないようにするから」
"少しならサービスも出来るかもしれないしな"といって、フィアは軽くウインクをした。
彼女にしては珍しい、少しおどけた調子の様子に、
ヒトラーは少し驚いたようにまばたきをした。
そして、ふっと笑って、うなずく。
「あぁ……また、行かせてもらう」
「じゃあな、ヒトラー」
「さようなら、ヒトラーさん!」
人懐っこく手を振るアルと、軽く手をあげて見せるフィアにヒトラーも笑みを返した。
遠ざかっていく小さな背中を二つ見送っていれば……
「アドルフ!」
ぽん、と後ろから肩を叩かれた。
振り向けば、そこにはヒトラーの大切な親友、クビツェクの姿があって。
彼は少し済まなそうな顔をして、ヒトラーにいった。
「ごめんね、少し遅くなっちゃって……」
「いや、大丈夫だ」
ゆっくり首を振ると、ヒトラーは穏やかに微笑む。
それを見て、幾度か瞬きをした後、クビツェクはふわっと笑って首をかしげた。
「何かいいことあった?アドルフ」
「え……あぁ……うん」
ぱ、とヒトラーの頬が少し赤くなった。
いいことがあった、というよりは……今さっきのフィアとの会話から、
こうしてクビツェクと一緒に帰れることが幸せだな、と思ったのだけれど……
それをあっさり口に出来るほど、ヒトラーは饒舌ではない。
「え、何かはっきりしないなぁ?」
「い、いいから!帰ろう、グストル!」
顔を赤くしたままに、ヒトラーはクビツェクにそういう。
そんな彼を見て楽しそうに笑いつつ、クビツェクは頷いて、
"そうだね、寄り道がてら帰ろうか"といったのだった。
―― Special… ――
(かけがえのない友人と過ごす時間は何気ない時間さえも幸せで
そうして共に過ごせる時間があることはとても幸福なことだと今更のように思う)
(私にとってもお前は大切な友人だから
お前が笑う姿を見られることは私にとっても嬉しいことなんだよ)