部下の(中略)コラボのお話です
ナハトさんの素敵な小説でゲープハルトさんがヒムラーさんの侍医で幼馴染みというのを読み…
そういえばルカってそういう子いないな、と…←
*attention*
部下の(中略)コラボのお話です
ほのぼの、だと思います
ナハトさんの素敵な小説「思うことは…」にリンク
ヒムラーさんとゲープハルトさんとは幼馴染みというのを読ませていただいて
ルカには幼馴染みって言える存在っていないな、と思って…
優しくて癒し系なヒムラーさんが愛しいです←
相変わらず妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
静かな部屋のなかで、赤紫の髪の少年は机に向かって仕事をこなしていた。
その近くの床に座って、剣を手入れしていた黒髪の青年……
ルカは顔をあげて、彼の方を見る。
かりかりとペンを動かす音だけが響く室内。
ルカが小さく溜め息を洩らすと、ペンを走らせていた彼……
ヒムラーは顔をルカの方へ向けた。
そして小さく首をかしげて、彼に訊ねる。
「どうかしましたか?ルカさん」
「え、あ、いや……
何にも手伝えなくて何か、悪いなぁと思ってさ……」
ルカはそういって苦笑した。
熱心に仕事をこなしているヒムラーの後ろ姿を見ていてルカが思っていたのはそれ。
彼が位置組織のトップであり、その仕事が大変であることはよく知っている。
けれど、どちらかと言えば実践任務が多いルカは、
正直いって書類仕事があまり得意ではない。
どちらかと言えば、自分の部下に書類の整理を任せてしまうことの方が多い位だ。
だからヒムラーの仕事を手伝ってやりたいと思えども、手伝えない。
それを申し訳ない、と思っているらしい。
ヒムラーはそんなルカの言葉に微笑んで、首を振った。
「大丈夫ですよ、そんなに大変な仕事でもありませんから。
……でも、少し休憩しますかね。大分長く続けていましたし……」
んー、と伸びをして、ヒムラーは小さく息を吐いた。
確かに結構長い時間、彼は机に向かっていた。
疲れもするだろ、といってルカは笑った。
そして、ふと何かを思い出したような顔をする。
「あ、そういえば……この前会った彼奴……ゲープハルト、だっけ?
彼奴お前の幼馴染みなんだっけ」
「え?えぇ。そうなんですよ」
こくり、とヒムラーが頷く。
ルカが話題に出したのはこの間二人でヒムラーの国に帰った時、
出会った彼の侍医だという青年。
ルカが唐突に彼の話題を出してきたことがヒムラーには不思議だったのだが……
「何か、いいな。昔からの友人って」
そういって、ルカは目を細めた。
ヒムラーはそれを見て、幾度か青い瞳を瞬かせる。
「え?」
「あ、いや……この前、その話聞いてからずっと思っててさ」
羨ましいなぁって、といってルカは微笑んだ。
ヒムラーはそれを見て笑みを返すと、ルカに訊ねる。
「ルカさんには、幼馴染みとかいらっしゃらないのですか?」
そういえば聞いたことがなかったな、とヒムラーは思ったのである。
以前彼と一緒に彼の故郷へいったことはあるのだが、
その時にも友人の話はしなかったし……
それ以外にも、そういった話題になることはなかったから。
「え?俺?」
自分の方へ訊ねられるとは思っていなかったのか、ルカが少し驚いた顔をした。
ヒムラーはそんな彼に頷いて見せてから、
"フィアさん、は従妹ですものね?"と首をかしげる。
ルカはこくりと頷いた。
「あぁ、そうだな。
確かにフィアのことは彼奴が赤ん坊の頃から知ってるけど……
友達、か……俺は割りと昔っから騎士団にいるからなぁ……
一応、同期生のシストとかクオンとかアネット、かな?」
「あ、なるほど」
ヒムラーは納得した顔をして頷いた。
ルカが幼い頃から騎士として此処で働いていることは知っている。
歴代で最年少のセラだということも。
「村にいた頃とかには、やはりフィアさんと一緒に?」
「ん……まぁ、それ以外にもちょいちょい遊ぶ奴はいたけど……」
そこで一回ルカは言葉を切った。
そして、小さく溜め息を吐き出しつつ、いう。
「一応出身の村にも子供もいたんだけど……
子供の時の事故?で結構亡くなっててな」
「え……」
ぱちぱち、とヒムラーはまばたきをした。
ルカは遠くを見るような目をした後、呟くような声でいった。
「俺たちの村が竜に襲われたとき。
フィアの両親もその時に亡くなったけど……
あのときに、結構村の子供もやられたんだ。
フィアが生きてたのが奇跡だって言われたくらいにはな」
ルカは珍しい表情をしていた。
いつもは明るくて、滅多に表情を曇らせない彼。
しかし、今は何処か暗い色をそのルビーの瞳に滲ませて、
何処か遠い場所を……或いは、遠い昔を思うような顔をしている。
「あ、え……ご、ごめんなさい……」
ヒムラーはしょぼんとして俯いてしまった。
友人の話をしていただけなのに、自分が彼に話をふったから、
彼に嫌なことを、辛いことを思い出させてしまった。
申し訳なさに顔が上がらない。
ルカは唐突に謝ったヒムラーに少し驚いた顔をして、そちらを見た。
そして俯いている彼に慌てたようにいう。
「き、気にすんなよ、ハインリヒ。
お前が謝ることじゃないし、お前が気にすることでもないし……
昔のことだし、俺はどっちかっていうと当事者じゃないっていうか……」
ルカは一生懸命にヒムラーをフォローしようとするが、
罪悪感でか顔をあげないヒムラーは俯いて唇を噛んだままだ。
他人思いで優しい彼は、ルカが傷ついたと思っているのだろう。
ルカはいったいどうしたものか、と少し考えた後に、
彼を励ますように明るい口調でいった。
「俺の両親は、無事だったしさ……
村で仲良かった友達とか居たわけでもないから……
フィアとかに比べれば、そこまでキツい思いはしてねぇんだよ。
騎士としてちょっと、不甲斐ないなって思っただけだからさ」
「う……でも、……」
ごめんなさい、とヒムラーは小さく俯いたままに呟いた。
ルカはそんな彼を見て小さく溜め息を吐き出す。
あまり口がうまい方でないルカはこういう時に相手を慰める方法もよくわからない。
暫し悩んだ末に、ルカは小さく溜め息を吐き出して……ヒムラーの方を見た。
「あー、もう!」
そのまま、ルカはむにっとヒムラーの頬を摘まんだ。
唐突なルカの行動にヒムラーは驚いた顔をする。
ぱちぱち、と青い瞳を瞬かせる。
「む……ふぇ……?」
「いいかハインリヒ、俺は落ち込んでない。
まぁ、昔はちょっと落ち込んだけど、今はそんなに気にしてないし、
今のお前の言葉で気を悪くもしてない。
OK?理解?」
ルカはじっとヒムラーを見つめる。
頷くまで離さない、と声が聞こえてきそうな表情だった。
ヒムラーは間近で見つめてくるルビーの瞳をただただ見つめ返した。
「ふ、ふぁい……」
こくこく、とヒムラーが頷くと、ルカはにっと笑った。
よし、といってルカはヒムラーの頬を離す。
ヒムラーは頬を擦りつつ、ルカのルビー色の瞳を見つめた。
「むぅ……ルカさん、強引ですよ……」
「悪い悪い。痛かったか?」
「そこまでではないですけど……」
もう、と言いつつ少しずれた眼鏡を直して、ヒムラーは思う。
確かに、先程の言葉は本当だろう。
それはルカが冷たいからとか、そういうのではなくて……
ただ、もうすでに乗り越えたこと、ということか。
ルカらしいな、と思いつつヒムラーが彼を見つめていると、
ルカはに、と笑って、ヒムラーの赤紫の頭をぽんぽんと叩いた。
「まぁ、あの一件で一層騎士としての自覚っていうの?
そういうのが芽生えたって点で、俺としては感謝してるわけだからさ。
だから、気にすんな。な?」
「はい……」
こくん、と頷く彼を見て、ルカは目を細める。
―― 本当に優しいな、こいつは。
パートナーとして、そう思う。
少し抜けていて、一組織のトップというには頼りないような印象も受けるかもしれない。
戦闘があまり得意でなかったり、動植物を愛でる方が好きな、
騎士としては変わり者と言われそうな気質の彼ではあるが……
とてもよく気がつく性格だし、何より他人に優しい。
弱者にとても親切で、仲間や友人思いで……
とても良い相手とパートナーが組めたな、と思う。
……守りたい、と思う。
もう一度だけ彼の頭を撫でると、ルカはいった。
「よし……じゃあ、ちょっと休憩がてら食堂いこうぜ。
コーヒーなり紅茶飲みつつ休もう?」
「そうですね」
いつも通りの笑顔を見せるルカにヒムラーも微笑み返して、席を立つ。
ルカは部屋のドアを開けつつ、小さく笑った。
「守りたいもの、な……」
「ふぇ?」
ルカの呟きが聞こえなかったと見えて、ヒムラーはきょとんとした顔をする。
ルカは笑顔のままに首を振った。
「ううん、何でもないよ……ほら、いこうぜ。こけんなよ?」
「こっ、転びませんよっ、なにもないんですから!」
心外だ!というように頬を膨らませる彼に、ルカはくくっと笑って、
その膨らましたほっぺたを軽くつついて、いう。
「何もないところでこけるのがハインリヒだから心配してるんだろうが。
ほら、こけないように手引いてってやるよ」
「し、失礼な!……わ!?」
いっている傍から躓く彼に小さく笑って、ルカはヒムラーの手を握る。
そして少し強い力で彼の手を握った。
―― 優しい人 ――
(優しくて暖かい、大切なパートナー
かけがえのない大切なパートナーであるお前をしっかり守れる騎士になりたいと願う)
(明るく笑って、励ましてくれる彼。
その優しさに、暖かさに、僕も報いていけるでしょうか)