信号機トリオ&リナさんのSSです。
Twitterでちらっと聞いたお話が可愛くてついやらせていただいてしまいました…
リナさんのような女性、好きです←おい
*attention*
信号機トリオ&リナさんなSSです
タイトル通りにほのぼのなSSです カナリスさんとリナさん後全員集合的な…
リナさんがアネットにたいしてこう思っててくださったらいいな、と…←
リナさんのような女性に少したじたじな男性陣も可愛いと思います(おい)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
穏やかな冬の日の午後……
黒髪に金の瞳の少年は中庭に出てきていた。
中庭には燦々と陽の光が降り注いでいる。
黒髪の彼……カナリスは綺麗に晴れ渡っている青空を見上げて、
降り注ぐ眩しい陽光に目を細めた。
「今日は少し暖かくて良かったですね」
カナリスは小さな声でそう呟く。
冬になって寒さは大分厳しくなってきているのだけれど、
今日は風もあまりなく、降り注ぐ日光は暖かいため、比較的過ごしやすく感じる。
その"良かった"という言葉は自分にとって良かった、という意味ではない。
頭に浮かべているのは、自分の旧友の姿。
今日は仕事もなくて、珍しく外に出掛けているのだ。
彼に外にいこうと誘いをかけたのは彼の"恋人"である赤髪の少年。
昔は引っ込み思案であまり外との交流もしなかった金髪の彼……ハイドリヒだが、
恋人に誘われて(ねだられて、ともいう)ならば外に出ていくようにもなった。
一緒に買い物にいったのか、食事にでもいったのか……
そんな詳しいところまでは知らないが、多忙な彼の珍しい休日だ。
ゆっくり休んできてくれれば良いのだけれど、と思う。
そんな日にあまりに寒いのでは大変だろう。
だから、暖かくて良かったな、とカナリスは思ったのである。
ごく普通の同年代の人間より幾分過酷な環境に身を置いている彼。
たまには年相応の場所に遊びにいったり、任務のことを考えずに過ごしてほしい。
そう思うのが、昔から彼を知っているカナリスとしての兄心のようなものだった。
***
そんなこんなで出ていった彼らも、暗くなる前には帰るといっていた。
冬の陽は落ちるのが早い。
既に傾きはじめてもいるし、帰ろうと思っている頃だろう。
ちょうど自分の仕事も一区切りついたところで、カナリスも外に出てきたのだ。
もう少ししたら帰ってくるであろう自分の旧友とその恋人の姿を視線で探す。
―― と、その時。
「あら……?」
不意に、後ろで女性の声が聞こえた。
カナリスが驚いて振り向くと、そこには艶やかな金髪に碧眼の美女が立っていた。
この城……ディアロ城にいる女性はこの国の王女であるディナ、
そして特殊ケースではあるが雪狼に所属している亜麻色の髪の騎士くらいだ。
けれどもそのいずれとも異なっていた。
しかしカナリスもその女性のことはよく知っている。
その女性は……ハイドリヒの許嫁であるリナだった。
彼女はたおやかに微笑んで、カナリスにいう。
「貴方も来ていたのね」
「お久しぶりです」
カナリスが騎士の礼をしながらいう。
その様を見て微笑むと、リナは辺りを見渡して、首をかしげていった。
「ライニはいないのね……あの坊やと一緒?」
「坊や……?」
カナリスは一瞬怪訝そうな顔をして……
あぁ、というように頷いた。
そして苦笑混じりに"アネットさんのことですか"という。
リナはにこりと笑って、"そうよ"と頷いた。
彼女の許嫁の少年といつも一緒にいる"坊や"といえば、彼だろう。
カナリスにとっても、そしてハイドリヒにとっても彼は確かに幼く思えるが……
坊や扱いは流石に、と思う。
彼……アネットは一応十九才の騎士である。
幾ら子供っぽい振る舞いをすることが多いとはいえ、
本人の前でそういったら流石に凹むだろう。
けれどカナリスの言葉にリナはふふん、と笑った。
「だって、事実でしょう?
それに、私からすれば貴方も坊やよ?」
「……そうですか」
カナリスはそういって苦笑した。
女性ならではの余裕なのか、何なのか。
確かに、有能で部下にもさくさく指示を出すようなカナリスの旧友ハイドリヒも、
リナの前ではずいぶんたじたじとなっていることが多い。
アネットは勿論、自分を子供扱いするのにも納得だな、と思った。
ともあれ、まだリナの質問に答えていない。
カナリスは小さくうなずいて、事情を説明した。
「そうですよ、ライニはアネットさんと出掛けていて……」
「あら、そうだったの?
顔を見に来ようと思って、此処を訪ねて来たのだけれど……」
「でも、暗くなる前には帰るといっていましたから、たぶんそろそろ……――」
その時ちょうど、遠くから"ヴィル!"と聞きなれた、明るい声が聞こえた。
カナリスとリナは一緒にその声の方へ振り向いた。
大きく手を振っている赤髪の少年と、その少し後ろから歩いてくる金髪の少年。
カナリスが小さく手をあげて返すと、赤髪の彼……
アネットがハイドリヒの手をつかんで、走り出した。
ハイドリヒはそれにやや驚きつつ、一緒に走ってくる。
二人の前まで来ると、アネットは少しだけ上がった息を整えつつ、
二人に笑顔を向けて、いった。
「ヴィル仕事終わったか?それに、リナ様も来てたんすかね」
こんちは、とアネットは軽くお辞儀をして、人懐っこく笑う。
一方のハイドリヒはアネットのそんな態度を見て、
全く相変わらずだな、という顔をしつつリナに丁寧な騎士の礼をしていた。
リナはそんな二人の様子を見てくすくすと笑うと、
"二人とも、お元気そうね?"という。
カナリスはハイドリヒから手を離したアネットを見て、
溜め息をひとつ吐きつつ、彼にいう。
「アネットさん、貴方は敬語も相変わらずなのですね……」
アネットが敬語を使うのが下手なことは知っていたが、
女性相手に、しかも貴族階級の女性にこの敬語でいいのか、と思う。
騎士たるもの、せめて女性相手にくらいはまともな敬語を使えるべきだろう。
しかしアネットはカナリスの指摘に頬を膨らませた。
そして、むくれたような、拗ねたような口調でいう。
「だってどうしゃべればいいかわかんねぇもん」
「どう、って……それ、基礎教養などでやりませんでした?」
「やったかも知れねぇけど……
俺、そういうのしょうに合わねぇんだもん……」
しょうにあうあわない、の問題ではない気がする。
そう思いつつ、カナリスは溜め息を漏らす。
そんなことだから"坊や"扱いされるんですよ、という言葉は口には出さなかったが、
ハイドリヒと話しているリナが小さく笑いながら此方を見ているのには気づいていた。
そんな会話のことなど知らないアネットは
何かを思い出したような顔をして声をあげた。
「あ、そうそう。街に出てった時に美味しそうなお菓子あったから買ったんだ!
リナ様も一緒にどうっすか?
ちょうどお茶の時間だし……今なら食堂もそこまで混んでないっしょ」
「まぁ、よろしいの?
それなら折角だしご一緒させていただこうかしら?」
宜しい?とハイドリヒとカナリスにもリナは問いかける。
二人も勿論、と頷いた。
ハイドリヒがエスコートする形になったとき、
アネットは少し不機嫌そうな顔をしていたが、
それをリナとハイドリヒの前でしなかっただけ上等だ。
二人と少し距離が空いた時にまぁ仕方ないでしょう、とカナリスが宥めたが、
あとから多分ハイドリヒに甘えるのだろうな、と思う。
「じゃあ、俺先にいってセッティングしてくるから!」
そういってさっさと駆け出すアネット。
その姿を見てふ、と笑みを漏らすとカナリスは後ろを歩く二人に視線を向けた。
―― Calm time ――
(冬のある日の穏やかな時間
友人たちと過ごす穏やかなティータイム)
(子供っぽいと思うけれど
彼のその子供っぽさもきっと誰かの救いなのでしょう)