先程の「Friend and…」の続き的な、フォル東小説です。
こういうデートちっくな雰囲気もかわいくて好きです←おい
*attention*
フォル東SSです
ほのぼのなデートネタちっくな小説です←
以前ちらっと話したようなネタが使ってみたくて…(ぇ)
フォルとフィアは和解したんだかしてないんだか、な感じなので…
東条さん、フォルが無茶をいってすみませんでした←
相変わらずの妄想クオリティです
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
広がる、よく晴れた空の下。
からりと乾いた冬風が吹き抜けていく。
そんな町のなかを歩いていくのは二つの影。
辺りを興味深そうに見渡している亜麻色の髪の少年と、
そんな彼が迷子にならないように見守っている、黒髪の少年。
一通り周囲を見渡した亜麻色の髪の彼……
フォルは満面の笑みで後ろを振り向き、いった。
「異国の騎士様とゆっくり二人で街回るのは久しぶりだね!」
フォルは上機嫌でそう声をかける。
東条は穏やかに微笑んで頷いた。
遡ること数十分、任務を終えた東条は彼が仕えている人物……
皇尊の気遣いでこうしてフォルと出掛けてくるように言われ、
東条はこうして街に出てきているのだった。
無論フォルは大喜び。
一人でぼんやりと座ったままにいることは彼にとって相当退屈だったと見えて、
外にいこうと東条が声をかけると子供のようにはしゃぎながら東条に抱きついた。
そんなこんなで。
二人で街を散策しているのだった。
以前にこうして外に出てきたときには、東条が帝陛下のことばかりを話して、
途中でフォルを拗ねさせてしまったりもした。
流石にそろそろ彼の扱いも覚えてきたらしく、
今回はそんなこともなく、二人で様々な店をみて回っていた。
民芸品を売っている店や、この国の書物を売っている書店、
その他にも色々とフォルには興味深い観光となっているらしい。
町中を歩き回りながらサファイアの瞳を輝かせるフォル。
そんな彼をみながら、東条は訊ねた。
「フォル殿はこの国が好きか?」
「うん。僕、元々色んな国の文化に興味あるもの。
殊更、君の国の文化は僕からしたら未知のものだしねぇ…」
確かに、大陸育ちのフォルにとっては此処……皇御国の文化は特別なものだろう。
言葉や文学、食品や衣料品、その他諸々……
フォルが知らなかったことはたくさんある。
理解出来ないところは東条に説明してもらって、興味深そうに聞いていた。
「もっと色々教えてくれる?異国の騎士様」
「ふふ、私で教えられることならば何でも教えようぞ」
東条はそういって、藤色の瞳を細めた。
フォルはそれを見てうれしそうに笑う。
東条は東条で、そうしてフォルに色々説明したり話をしていて、
フォルが案外お洒落好きだったり、アンティーク好きだったりすることを知った。
堕天使……基天使がそういったものが好きなのか、
あるいはフォルがそういう正確なのか。
確かに一度か二度足を踏み入れた彼が元々住んでいたという建物にも、
綺麗な装飾の施された鏡やクロゼットがあった。
東条がそんなことを思い出していたその時。
びゅうっと冷たい風が吹いてフォルは肩を震わせた。
彼は氷属性魔術使いだと言うのに寒さに弱い。
「さ、寒……っ」
「フォル殿は本当に寒さに弱いのだな……」
東条は苦笑していった。
フォルの寒さへの弱さは彼もよく知っていたが、此処までとは。
大丈夫か、と問いかけるとフォルは肩を竦めて笑う。
「いやぁ……寒かった。もう少し厚着してくればよかったかな」
「あとで何か防寒具を買うと良いぞ。気に入ったものがあると良いが……」
東条がそういったとき。
不意にフォルが足を止めた。
そのまま何かをみて目を丸くする。
「あ……」
フォルが足を止めたのは一軒の店だった。
綺麗な装飾品が並んでいる、所謂土産物屋のようなもの。
フォルが目を止めそうなものがあるような店には見えなかったのだが……
東条は不思議そうな顔をしつつ、フォルに訊ねた。
「何か気に入ったものがあったのか?」
「ん……これ、フィアに似合いそうだなって思って」
フォルはそういいながら棚に並んでいた商品の一つに手を伸ばした。
蒼い石のはまった髪飾り。
その石の色はフィアの瞳の色によくにている。
東条はフォルがそんなことを口にしたことに少し驚いた。
少なくともフィアはフォルを嫌っていたし、
フォルもフィアのことを何とも思っていないと思っていた。
でも、今の彼の表情や言動をみていると……
ごく普通の、妹を思う兄にしか見えない。
まぁそれは、きっとよい傾向なのだろう。
いがみ合っていていつか戦う姿をみることになるよりは、その方がいい。
そう思いつつ、東条は目を細めた。
「確かに、フィア殿によく似合いそうだな」
「綺麗な色だよね。……でも、みたことない形だね。
ヘアピンともカチューシャとも違うし……何て言うの、これ」
「簪、だな。皇御国の女性は時にこれで髪を結うのだ」
「へぇ……」
ああして、といって傍においてあったモデルを示す東条。
綺麗に纏めあげられた髪に、フォルが持っているのと同じ装飾具がついている。
それを見てフォルは納得した顔をして頷いた。
「へぇ……なるほど。髪長くないと無理だね」
あの子の髪じゃ留められないけどね、といってフォルは笑う。
確かに、フィアの髪はフォル同様に短い。
東条はフィアの容姿を思い出しつついった。
「しかし、持っているだけでもと買う女性もいるかもしれぬな……」
「それはたしかにそうかもね。飾っておいても綺麗。
ああ見えて、あの子こういうもの好きだからなぁ……
自分じゃ絶対口に出さないけどね」
そういいながらフォルは簪を棚に戻した。
東条はそれを見て不思議そうな顔をする。
彼の反応をみているとそれを買うのかな、と思ったのだ。
買い物が出来る程度にはフォルもお金を持ってきていたし、
きちんとそれをこちらの国の通貨に換えてもいた。
「買わぬのか?」
「ん……だって、買っても無意味だもん。
僕からだっていって、あの子が受けとると思う?」
フォルはそういって苦笑する。
確かに、フィアはフォルからのプレゼントなど受け取らないだろう。
和解したとしても、彼が犯した罪は消えない。
そのまま微笑むと、フォルは別の棚に視線を向けた。
「あ、でもこっちのは書記長様に買って帰ろうかな。
書記長様も使ってくれるかどうか別として」
"どう思う?"とそういいながらフォルは琥珀のはまった髪飾りを手にとった。
それは確かにスターリンの瞳の色と同じで、よく似合いそうだ。
……恐らく女性用だと言うことを除けば。
「スターリン殿に確かに似合いそうであるな……」
「ふふ、そうだよねぇ……お土産に買っていこうかな」
フォルはそういいつつ"もう少し此処みていってもいい?"と東条に訊ねる。
無論断る理由もないため、東条は穏やかに微笑んで、
フォルの土産選びを手伝ったのだった。
***
その店での買い物を終えて外に出たとき、フォルは東条に声をかけた。
「ねぇ、異国の騎士様」
「?どうしたのだ、フォル殿」
少しかしこまったような雰囲気のフォル。
東条はきょとんとして首をかしげた。
フォルはちょっと待ってね、といいながら自分が手に持っている袋に手をいれた。
彼の手には、ひとつの袋。
先程話していた、スターリンに買って帰るといっていた髪飾りが入っているはず。
その袋から何かを取り出すと、それを東条に渡す。
それの中に透けて見えたのは……
「これ……最初にフォル殿がみていた……」
そう。
フォルが最初にみていた、蒼い石の簪だ。
結局彼はこれを買っていたらしい。
フォルは東条に微笑みかけつつ、いった。
「これ、君からフィアに渡してあげてくれない?」
「え?」
何故、というのは聞かなくてもわかる。
先程彼が説明していた通りだ。
フォルは微笑みつつ、東条に言う。
「君からの土産だって言えば、言い訳には十分だろう?
あの子、君のこと慕ってるからちゃんと受けとると思うし」
「……それは、構わぬが……」
それでいいのだろうか、と思わないこともないが……
まぁこれが今の彼らには限界だろう。
フィアは確かにこういったものを受け取ったら喜ぶだろうし。
東条はフォルに笑みを返して、頷いた。
そして彼から受け取った包みを揺らす。
「……わかった。今度そちらにいったときに渡そう」
「ふふ、ありがとう……
じゃあ、お礼に異国の騎士様にはこれ、貸してあげる」
そういいながらフォルは東条の前髪に何かを結んだ。
唐突な動きに東条は身動きがとれなかった。
「フォル殿……?」
何を?と東条は首をかしげる。
フォルはポケットから鏡を取り出して、それを彼に見せた。
それに映った自分の姿をみて、東条は藤色の瞳を見開く。
そして、フォルをみた。
フォルは嬉しそうに笑いながらいった。
「僕のリボンだよ。
僕が影猫のトップだって名乗ってた頃に持ってたやつ」
貸してあげるね、とそういってフォルは微笑んだ。
彼は、器用に東条の短い髪にリボンを結んだらしい。
東条の黒髪に揺れる、黒いリボン。
それに片手で触れて、東条は苦笑した。
「私にこれは似合わぬだろう……」
「そんなことないない、よく似合うよ、可愛い」
ほどいちゃダメだからね、などと無謀をいって、フォルは東条の手を握る。
ひやりと冷たい掌を感じて少し驚いた顔をした。
フォルは苦笑混じりに、彼に強請る。
「流石にちょっと寒いから、何処か暖かいところに入らない?」
「ふふ、そうだな……甘味処にでもいってみよう」
そういいつつ東条は微笑む。
彼らの手には、小さな髪飾りが入った袋が揺れていた。
―― Accessory ――
(揺れる髪に結ばれた黒いリボン
僕らがかつて使った仲間の証はとても可愛らしく映って)
(堕天使が選んだ土産を彼の思い人はどんな表情で受けとるのか少し楽しみであったり。
そして私が素直でない兄妹の架け橋になれれば良いが…)