SS書きたい症候群です(そんな病気ないよ)
そして、シリアスかきたくなりました。
結果⇒お医者様コラボでシリアス。
というか、あの……はい。
完全ストーリー無視です。
一種のパロディか何かと、思っていただけたら幸いです;;
*attention*
・メンゲレさんとジェイドの御医者様コラボです
・死ネタです(本編とは一切関係ありません)
・ジェイド視点
・キャラ盛大に崩壊
・流血描写有
・かいてるうちにいろいろごちゃごちゃになった感が…;;
・とりあえず、ナハトさんすみませんでした。
以上がOKの方は追記からどうぞ!
何時も笑顔でいたかったんです。
特に、"大切な人"の前では……
笑っている僕を、覚えていてほしかったから。
最期の最期まで、笑っていたかったけれど……
***
鮮やかな夕焼け空の下。
草鹿の騎士と炎豹の騎士はある任務に赴いていた。
巨大な火竜の討伐任務。
数が多く、一頭一頭の力も強い。
草鹿の騎士たちは炎豹の騎士を守るべく、戦っていました。
そして、"僕"もまた……
「防御に集中しなさい!気を抜いてはいけませんよ!」
声を、投げる。
少し離れたところで戦う、仲間たちに。
普段、セラは任務に赴かない。
基本的には、部下に指示を出すだけ。
しかし、今回の任務はなかなか厳しいもの。
それがわかっていたためか、僕……ジェイドも、任務にきていた。
遠くに散らばる草鹿の防御要員たちを見ながら、的確に指示を出す。
しかし、それで精いっぱいで。
自分の傍に迫る炎に、気づきませんでした。
多少なら大丈夫、と思った時。
襲ってこない熱さ。
いったいどうして?
そう思って目を開けると……
「ジェイドさん、大丈夫ですか……?」
傍に飛んできた火の粉を障壁で防ぎながら、黒髪の天使……
メンゲレが、訊ねてきました。
本当によく気が付く、優しい天使です。
「ありがとうございます。助かりましたよ……メンゲレも、怪我はありませんね?」
「はい、大丈夫です」
今見たところ、酷い怪我も負っていない。
小さな火傷は多少あるものの、それはこの場にいる人間の大半が負っているモノ。
メンゲレの返答に、僕はほっとしました。
「なら、よかった……あまり無理は、しないでくださいね」
メンゲレがすぐに無茶をすることは、僕も知っていますから。
他の人間よりも強い魔力を有する彼。
天使の力を持つ彼が、少しでも無茶をしないように、と心配していたのです。
他の仲間たちを心配するのとはまた違う、
特別な感情を抱いているからこその、想い。
傷つかないでほしい。
傍にいて、ほしい。
そう思うからこそ……
「大丈夫ですよ。気をつけますから」
心配はかけられませんしね、と笑って見せるメンゲレ。
その笑顔に、僕はほっとしました。
この戦場でも、貴方を見ていると落ち着くんですよ。
と、その時。
「ジェイド!メンゲレ!避けろっ!」
不意に、聞こえた声。
油断していたせいでしょうか。
二人で顔を向ければ、焦った顔をするアレクの姿。
それと同時に、紅い大きな竜が鋭い咆哮をあげながら、
二人に突進してきているのが見えました。
「!」
僕も、メンゲレも障壁を張ろうとした。
しかし、もう距離が詰まりすぎていて……
このままでは、間違いなく……
そう思うのと、僕の身体が動くのは同時でした。
隣にいるメンゲレをその場に押し倒しました
それと同時に体を襲った、鋭い痛み。
背中を、貫かれる衝撃と、痛みに息が詰まる。
揺らぎかけた意識。
それをつなぎとめたのは、メンゲレの声で。
「ジェイドさん……!」
自分の下にいる彼を見た。
大きく見開かれた深緑の瞳。
あぁ、僕が深手を負ったことを悟ったのでしょうか。
僕の身体を伝い落ちる血が、メンゲレの白衣を染めていく。
「ごめん、なさい……汚れて、しまいましたね」
そんな呑気なことを言ってる場合じゃない、という顔するメンゲレ。
慌てた様子で、僕の傷に触れる。
きっと、治してくれるつもりなのでしょう。
急所ではないかもしれない。
でも、傷が深いのは事実で。
このまま放っておいたら、間違いなく命を落とす。
医術を学んだことがないものでも、間違いなくそう悟ることができる。
増して、僕やメンゲレなら、それは容易に予想がついて……
「今、治しますから……!」
震える声で、メンゲレは言う。
彼も、医師。
この戦場でジェイドの傷を癒すことは容易にできる。
……はず。
しかし、僕はそれを拒みました。
僕が魔力をはじいたことに気づいたメンゲレは、驚いた顔をする。
そんな彼に、僕は言いました。
「駄目、ですよ」
どうして?という顔をするメンゲレ。
僕は、自分の行動の意味を、説明しました。
「この傷を治すのに魔力を使えば……
そのぶん、防御ができなくなる、でしょう?
まだ竜は多い……それに、正直……
他の草鹿の騎士、は……まだ力が、弱いですから……
貴方のように、ちゃんと戦える力があるものが、力を無駄にしてはいけません……」
そう、それだけ。
僕は、自分自身でわかっていますから……
今、メンゲレに治療してもらったところで、生きていられるかどうかが怪しいこと。
傷が深すぎて、もはや痛みさえ感じない……
そんな僕を治療するには、相当の魔力を要するでしょう。
そうしたことで彼に負担をかけるのならば……
僕を、癒す必要はないのです。
「無駄、なんかじゃないです……!」
貴方を救うことは無駄じゃない。
だから、治療を拒まないで。
泣きだしそうな顔をして、メンゲレが言う。
そういっている間にも、竜は僕らの方へ迫ってくる。
恐らく、僕の血の匂いを嗅ぎつけているのでしょう。
「もういいですから。離れて、ください。怪我をしたものを、獣は執拗に狙うのですから……」
ここにいるだけでも危険です、と告げました。
それでも彼は、首を振る。
その深緑の瞳が、涙で潤んでいく。
弱虫ですね、メンゲレ。
「もう……いいと、言っているのに」
わかって、いるでしょう?
この状況で、傷の治療を拒む僕の命を助けるすべはない。
……"助けてほしい"という思いがなければ、救うことはできない、と。
僕自身が拒むなら、彼の言うとおりにはなれるのが"騎士として"賢明な行動でしょう。
今までも、何度も伝えた話。
助けるすべがなくなった仲間を見つめることは、戦場では無駄。
生きているものを救うために戦わなければならない。
今まで何度も、そう伝えてきたのに……
本当に、我儘ですね、メンゲレ。
「ジェイド、さん……お願い、ですから……っ」
懇願するように、メンゲレが僕にすがる。
そんなことしてる場合じゃないでしょう?
ほら、今も。
必死に炎豹の騎士が僕たちを庇ってくれている。
まだまだ竜はたくさんいるんですから、貴方も、戦いに……
―― あぁ、違う。
それだけじゃない。
僕が、僕から離れてほしいと、思うのは……
「お願い、ですから……離れて、ください。僕から……」
―― 僕が、思っているから。
「……ねぇ、メンゲレ……僕が笑っていられるうちに、離れてください……」
そう、それだけ。
僕が、笑っていられる今のうちに、僕から離れてほしいのです。
「僕、の……笑顔、だけを」
憶えていてほしい。
だから、僕が笑っていられる間に。
離れて。そのまま、僕の笑顔だけが貴方の心に残ればいい。
……このまま、貴方がここにいたら……
―― 笑顔では、いられなくなってしまう、から。
「……ね?」
最期の、我儘。
聞いてくださいよ、メンゲレ。
でも、頑なに首を振る僕の"恋人"は、僕を抱き上げて。
暖かい腕。
優しい、腕。
―― ……!
もう、声も聞こえない。
でも、わかりますよ。
"嫌だ"と、泣いてくれるんですね。
……本当に、我儘で、愚かで……優しい天使です。
重いでしょう。
それに、汚れてしまいますよ。
僕は、抱きしめられるよりも抱きしめる方が好きなのだから。
……立場逆でしょう、なんて。
そんな軽口をたたきたかったけれど、意識が揺らいでいく。
大好きだった彼の黒髪も。
涙で揺らいでいる深緑の瞳も。
霞んで、消えていく。
「……ごめん、なさい」
謝ることしか、できなくなってしまった。
もっと、笑っていたかった。
最期まで、最期、まで……
でも、それは出来そうにないです。
さっき、貴方を庇った時は
死ぬことに対する恐怖も未練もなかったのに。
いざ、そうなってしまうと……
酷く、よくばりになってしまうのですね、人は。
もっと、生きていたかった。
笑っていたかった。
抱きしめることも、キスすることも。
傍で見守ることさえも、もうできなくなってしまう。
そう思うと、ただただ、切なくて。
こんなことを伝えたら、それは彼の負担になると知っている。
だけど、伝えずにはいられなかった。
「……愛して、ますよ」
もう、お別れとわかっています。
だけど、今だけは……
笑って、いたいです。
―― 僕は、うまく笑えていましたか……?
もう一度だけ、優しい天使に告げる。
"愛してる"
最期の最期のその瞬間まで。
貴方の腕の中にいられたこと。
それが、とてもうれしかったです。
―― ありがとう。
僕の声は、聞こえましたか。
聞こえていなくても、構わない。
だけど、どうか。
―― 僕の笑顔だけを、憶えていて。 ――
(どうせなら貴方の記憶の中で、笑っていたいんです)