赤髪金髪コラボで死ねたなSSです。
素敵な台詞聞いてある意味深夜テンションな星蘭がやらかしましたすみません…←
*attention*
赤髪金髪コラボのSSです。
シリアス基死ねたです
アネットとライニさんの絡みはほとんどない化も…
ツイッターで聞いた素敵な台詞を利用したかった…
のですが撃沈した感じ満載ですみません;;
もう受け入れざるを得ないな、ってなってる姿も素敵かな、と←こら
どうしてこうなった…
ぐだぐだになってしまってすみませんな妄想クオリティ
ライニさん、本当にごめんなさい…!
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKと言うかたは追記からどうぞ!
静かな、森の奥の屋敷の一室。
そこで金髪の少年は座り込んでいた。
「はぁ、はぁ……」
すっかり上がった呼吸はなかなか収まらない。
呼吸が上がっているのは走り続けていたせいか、
それとも……この現状の、極度の緊張状態のせいか。
その両方だろう、とハイドリヒは冷静に判断していた。
遠くで聞こえる喧騒は、自分を探し回る"敵"の怒声だとわかっていた。
あの様子ならばまだ暫くは、大丈夫だろうか。
否、見つかるのも、もう時間の問題だろう。
ハイドリヒの手元にあるのは、弾丸の入っていない拳銃が一丁。
彼の愛剣は逃げる途中で奪われてしまった。
魔力はもうほとんど残っていない。
次に攻撃を受けたら、もう防ぐ術がない。
そう判断するとハイドリヒは溜め息を吐いて、天井を仰いだ。
「笑えませんね……」
かつて自分が潰した組織に報復されるとは、と彼は呟く。
トップを潰して終わりにしたつもりでも、
終わりにならない組織というのは、案外ある。
今回が、そのケースだった。
***
ハイドリヒが赴いたのは、とある屋敷で催されたパーティでの護衛任務だった。
依頼者が誰であるかを聞かなかったためわからなかったのだが……
それは、巧妙に仕掛けられた罠だったのだ。
「かかったな、金髪の野獣さんよ……」
屋敷に入ったハイドリヒはすぐさま周囲の人間に武器を向けられた。
冷たい声がハイドリヒの"あだ名"を呼ぶ。
その瞬間、ハイドリヒはすべてを悟った。
―― "嵌められた"と。
「貴方たちは一体……」
「忘れたか。俺たちは……――」
聞いた名前には覚えがあった。
恐らく任務で粛清した組織の人間の関係者だろう。
いちいちそんなものすべて記憶してなどおけない。
ハイドリヒは淡白にそれをあしらった。
「容赦なく俺たちの同胞を殺めたお前を、俺たちは許さない」
リーダー各の男はそういって、攻撃を命じた。
―― "殺せ"と。
今までならば、"利用価値"があるから殺すな、という指示がほとんどだったが、
あの男の目的はひとつ……
かつてハイドリヒに殺められた人間の、敵討ちだ。
そして巻き起こった銃撃戦。
無論、ハイドリヒも応戦した。
武器は持っている。
相手が拳銃使いである以上剣は不利だと諦めて、自分も拳銃で応戦した。
しかし、すぐに弾は尽きる。
元々拳銃をメインで使うことばかりではない。
魔術を使って応戦するも、同じ。
彼の魔力は特殊で周囲の人間を地面に伏せさせるには最適だが、
連発すれば体力を使い果たす。
「っ、数が多すぎる……」
流石のハイドリヒにも焦りのいろがにじんだ。
多勢に無勢。圧倒的に不利だ。
ギリギリまで戦って、戦うすべを失ったハイドリヒは逃げた。
何処か攻撃を受けないところにとりあえず隠れて、
作戦を立て直さなければ、と思ったが故の行動だったのだが……
「逃げても無駄だ!貴様はこの屋敷から出られんぞ!
逃がさない……残忍な殺人者を、俺たちは許さない!」
ごく僅かに残った魔力で応戦しつつ逃げるハイドリヒの背中に投げられたのは、
そんな言葉と、勝ち誇ったような高笑いだった。
***
ハイドリヒは空になった拳銃を握りしめた。
今の銃撃戦で、どれくらいの人間を殺しただろう。
防衛しつつ相手にも撃ち返していたから幾らかは当たっていただろう。
僅かに、恐怖を感じた。
一体何に対する恐怖かはわからなかった。
他者を殺めたことに対するものか?
否……これから起きるであろう事態に怯えてのものか。
「アネットさん……」
拳銃を握りしめながらハイドリヒが無意識に紡いだのは、
いつでも自分の傍にいてくれた彼の名前だった。
明るく笑う、太陽のような彼。
こうして人を殺めたあとも。
望まぬ行為の中で敵の情報を探ったあとも。
縋る先があった。
優しく抱き締めて、慰めてくれる人がいた。
それは罪じゃない、と慰めてくれる彼がいた。
お前は悪くない、と。
「あぁ、これは……その代償、ですかね」
ハイドリヒは小さく呟いた。
何も求めてはいけないと知っていた。
優しさも、温もりも、……愛情も。
けれど、彼はそれを惜しみ無く与えてくれた。
きっと、それが最大の罪だった、とハイドリヒは呟く。
「だから、こんな私には罰が下るはず……」
ハイドリヒはそう呟いて自嘲気味に笑った。
そうだ。
これは、罰なのだ。
彼の優しさに甘えすぎた自分に対する、罰なのだと。
優しさに縋り過ぎた。
いつも助けてもらっていた。
その優しさを素直に受け入れられずに彼を傷つけたことも何度もあった。
それでも自分を手放さない彼にやはり甘えた……
その報いがこれであるとするのなら。
一番助かりたいときになんの助けも起こらないのは……
―― 当然の、結果かもしれない。
ハイドリヒがそんなことを思って目を閉じた、その時。
「最期の祈りは、済んだかね?」
冷たい声が聞こえた。
ハイドリヒは目を開ける。
いつのまにか開いていたドア。
目の前にたつ、自分を憎んでいるらしい男の姿……――
―― ああ、見つかった。
ハイドリヒは悟る。
大きな屋敷とはいえ、室数は限られている。
魔術で出口は封じたといっていたから、一つ一つ見ていけば見つかると、
最初から踏んでいたのだろう。
カチャ、と無機質な音と同時に胸元に銃が突きつけられた。
ハイドリヒは動かなかった。
防ぐことも、もうしない。
……否、出来なかった。
こんな至近距離での銃撃を防げるだけの障壁を張るだけの魔力は、
もう、残っていない。
「―― ……ほら」
今、罰が下る。
ハイドリヒはそう呟いて、小さく笑った。
―― 刹那、乾いた銃声が響く。
ハイドリヒはわかっていた。
もう、おしまい。
鬼ごっこには負けた、と。
武器を持たない彼に、反撃の術はない。
翼をもがれた鳥はもう、空には羽ばたけない。
"これが正義だ"といった、相手の男の高笑いが聞こえた。
遠ざかっていく敵の足音を聞きながら、ハイドリヒはその場に崩れた。
冷たい、冷たい、静かな部屋。
自分の乾いた呼吸が聞こえるような部屋だ。
微かに綻んだ口元に紅が伝う。
屋敷内が静かになったことは、ハイドリヒも感じていた。
恐らく、皆逃げたのだろう。あまり大人数ではなかった。
あれくらいの人数ならばこの短時間に逃げることも可能なはずだ。
―― 一番最期は、一人だ。
敵も味方もいない。
誰もいない、一人きりの空間。
これでよかったかもしれないとハイドリヒは思おうとした。
これで、彼の悲しい顔は見ないで済む。
そう思う時点で自分は狡いのだろうな、とそう思ってハイドリヒはまた笑った。
遠くなり始めた意識。
ハイドリヒはそれに抗わずに目を閉じる。
その時だった。
「……――っ!」
声が、聞こえた気がした。
聞きなれた、"彼"の声が。
―― ラインハルト!
嗚呼。
どうして。どうして、どうして……
貴方は、最期まで。
そうおもう。
「アネット……さん……?」
うっすら開いた碧い目。
ぼやけた視界のなかで、駆け寄ってくる彼の姿が見えた。
ああ、彼にはいつも任務の場所を告げていた。
帰りが遅くなったら迎えにいくからな、と彼はいつでもいっていた。
だから、彼は来てくれたのだろう。
ハイドリヒは今さらのようにそんなことを思い出す。
言わなければよかった、と思った。
ほら、今目の前で彼は泣いている。
ごめんなさい、そういいたかったけれど……
もう意識を保つだけの力はハイドリヒには残っていなくて。
***
アネットがかけより、ハイドリヒを抱き上げた時にはすでに遅かった。
華奢な彼の体は少しずつ温もりを失っていく。
「ラインハルト、ラインハルト!」
何度呼んでも彼は返事をしない。
赤髪の少年……アネットは、ハイドリヒに口づけた。
おとぎ話のようにそうすれば、彼は目を冷ましてくれるかもしれない。
そう、信じているかのように。
しかし、そんな奇跡は起きない。
所詮、"おとぎ話"は"おとぎ話"でしかない。
「っ、やだ……やだよ、ラインハルト……っ!」
冷えていくハイドリヒの体を抱き締めた時。
彼のポケットから、なにかが落ちた。
アネットはそれを拾い上げる。
見慣れない文字での、メモだった。
―― This is justice
これが自分達の正義だ、というハイドリヒを殺めた人間からのメッセージだった。
ハイドリヒが死んだのは、正義の結果だと。
虐殺者が辿る運命はこれなのだと。
そういう意味合いだろうか。
アネットはそれをぐしゃりと握り潰す。
「……何が正義だ……ふざけんな!」
アネットは吠えるようにいった。
ぼろぼろと大粒の涙が落ちて、ハイドリヒの頬に伝う。
ハイドリヒ自身が流した涙と混じって、雫は落ちていった。
―― Guilty ――
(言葉になんて出来なかった。貴方がどれ程大切な存在だったか。
それを伝えられなかったのもきっと、私の罪で)
(言葉じゃなくてもわかってた。わかってたから大丈夫。
だけどどうか、言葉で聞かせて。ねぇ、お願い…目を開けてよ)