赤髪金髪コラボでほのぼのなSSを…
この二人は温度差があるようで何だかんだ仲が良いといいな、と…
こんなノリになりました←おい
*attention*
赤髪金髪コラボSS
ほのぼのです
ライニさんは相手のちょっとした変化にも敏感そうだな、と…
アネットもライニさんのこととなると敏感だろうな、と←おい
温度差ありそうでお互いのこときちんと大事に思いあってる二人を書きたかった…
謎なノリでごめんなさい←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
「いて、痛いって……!
ちょっとは手加減してよラインハルト!」
静かな午後の騎士の棟に響くのは賑やかな悲鳴。
悲鳴と言うか、叫び声というか。
周囲の騎士たちはその声が危機感を煽るものでないからと放っておいている。
大体、こんな声は医療棟から聞こえてくるものだから、
この一般棟から聞こえるのは不思議だな、と思いつつも。
「ほら、暴れないでおとなしくしなさい。
怪我をして帰ってきた貴方が悪いのでしょう」
声の出所は騎士の棟の一室。
金髪の少年はベッドに座っている赤髪の少年の腕に包帯を巻き付けていた。
半分脱げた白い服にも滲んでいる赤色。
包帯を巻かれた腕には一筋の切り傷が走っていた。
刃物でついた傷ではない。
恐らく、魔獣の爪か牙でついた傷だろう。
包帯を巻き付けられている赤髪の少年……
アネットは痛いと抗議している。
「平気だって俺いってるじゃん!
かえって消毒する方が痛いぞ!
こんなの怪我のうちに入らねぇもん!」
悲鳴ににた声をあげている彼の瞳は潤んでいる。
けれど、金髪の少年は知らん顔だ。
「傷の程度の問題ではないでしょう。
悪化したらどうするのですか」
ハイドリヒは冷静にそういって、彼の腕への治療を続ける。
"横暴だー、いじめだー"と騒ぐアネットは無視だ。
傷口を軽く洗い流してから消毒液を吹き掛けてやっただけでこの騒ぎである。
元々"自己治癒力"に頼るという彼にとっては、
傷の痛みよりも治療の痛みの方が上らしかった。
普段ならば草鹿の騎士の仕事のはず。
炎豹の騎士であるアネットの実質的なパートナーは草鹿の騎士、アルのはずで。
しかし、今日はハイドリヒが彼の傷の手当てをしていたのだった。
―― 理由は二つ。
ひとつは傷に最初に気づいたのがハイドリヒだったから。
任務を終えて帰ってくるなりハイドリヒの部屋に来て飛び付いて来たアネット。
いつものように受け止めたハイドリヒだが、すぐに違和感に気付いた。
自分に巻き付けられる腕の力がいつもより少し弱いことに。
彼は状況の分析には長けている。
アネットが手加減などしない事は誰よりよくわかっている。
考えられるのは……
腕に力を入れられない理由があるからだと、すぐに検討をつけた。
そして渋る彼を強引にベッドに座らせて。
上着を脱がせてみれば案の定、という訳である。
アネット曰く、切り傷擦り傷はしょっちゅうだから放っておいていい。
……だそうだが、ハイドリヒとしてみれば"はい、そうですか"とはいかない。
傷が浅くともそれが悪化する事は十分あり得るとよく知っている。
恐らく、医療部隊の騎士にいったとしても同じような言葉がかえってくるだろう。
そして、もうひとつの理由……
それは、ちょっとした独占欲にも似た何かの感情ゆえだった。
無論、アネットがアルやジェイド、メンゲレにたいして抱く感情が、
友情や仲間意識、患者と医者という関係以上のものでないことはわかっている。
わかっているにはいる、が、……
何となく、面白くないのもまた事実だった。
ハイドリヒは滅多に顔には出さないが、
一応アネットのことは大切な相手と思っている。
特別な相手だとも。
だからこそ、世話をしてやりたいという思いも働いたのかもしれない。
ともあれ、騒ぐ彼を宥めつつ丁寧に包帯を巻いてやってから、
ハイドリヒはつかんでいたアネットの腕を離した。
「はい、出来ました。アルさんたちのように器用には出来ていませんが。
全く……怪我をしてくるのも大概にしなさい」
ハイドリヒはアネットをジト目で見つつ、いった。
彼の言葉にアネットはむくれたような顔をする。
わかった、という返事はない。
ハイドリヒはひとつ溜め息を漏らすと、
反省の色がない彼の腕を軽くひっぱたいた。
ごく軽くだが、驚いたのかアネットは声をあげた。
「痛!?何すんだよ、ラインハルト……!」
「返事をしなさい返事を。
……毎度毎度治療する草鹿の騎士にも言われているでしょうに」
そういって見せたが、その実……心配するのは自分もだったりする。
―― 心配だから、といってやれば少しはおとなしくなるだろうか。
そう思いつつ、ハイドリヒはまっすぐにアネットを見据える。
アネットはハイドリヒの言葉を聞いて、苦笑を漏らした。
恐らく、図星なのだろう。
「主にアルに言われるなー……」
アネットはそういいながら遠い目をする。
ハイドリヒはそんな彼の様子に思わず溜め息だ。
もっとも、彼の性質であり個性でもあるのだから、
どうにかしろと言われたってどうしようもないのだろうけれど。
でもさ、とアネットは弁解するようにいった。
ガーネットレッドの瞳でハイドリヒを見据えると、少し眉を下げていう。
「無茶すんなってんなら、ラインハルトもだからな?」
「……何故そこに私が出てくるんですか」
ハイドリヒは顔をしかめつついう 。
毎度任務に行く度に怪我をして帰ってくる貴方と一緒にしないでください。
そういうように。
アネットは"怪我のこともあるけどさー"といって、
ハイドリヒの頬を軽く摘まんだ。
白い頬を摘まむ、日に焼けたアネットの指先。
唐突な彼の行動にハイドリヒは一瞬フリーズ。
すぐに顔を真っ赤にして、叫ぶようにいった。
「は、離しなさい……!」
「ラインハルトの場合怪我もだけど体壊すんじゃないかって俺は不安だな」
俺よかよっぽど仕事も多いんだろうし、とアネットは言う。
そして、やや心配そうな顔をしつつ、いった。
「……具合悪い?ちょっと顔色悪くないか?」
「え……」
アネットの言葉を聞いて、ハイドリヒは少し驚いた顔をした。
確かに、今日は少々体が怠いな、とは思っていた。
季節の変わり目だし、最近は仕事が詰まっていて多忙だったこともあって、
疲れが溜まっているのだろうな、と自分では思っていたのだけれど……
アネットがそれに気づくとは思っていなくて。
ハイドリヒの反応からそれが図星であったことを悟ったのか、
アネットは"ほら見ろ!"といった。
「俺の観察力なめんなよ!
ラインハルト変に器用だから全部自分でなんとかしちゃうんだもん……!
休めるときに休まないとダメだって」
アネットはそういって頬を膨らませると……
ハイドリヒに手当てしてもらったばかりの腕を伸ばして、ハイドリヒを抱き寄せた。
そのまま、二人揃ってベッドに転がる。
白いベッドに転がるや否や、ハイドリヒはアネットに言う。
「っ、アネットさん、なにするんですか……」
「昼寝。ちょっと寝るだけでも違うんじゃねぇの?」
「そんな場合では……」
寝てる暇があれば書類を片付ける、というハイドリヒを見て顔をしかめると、
アネットはハイドリヒを抱く腕に力を込めた。
これでもう、逃げられない。
「ダメ。ラインハルトと昼寝する。ラインハルトも昼寝する」
お休み、とやや強引に言うアネット。
ハイドリヒは体を捩って逃れようとするが、無駄であることはわかっている。
アネットは"おとなしく寝ろよー"といって苦笑した。
そしてつん、とハイドリヒの額を軽くこづいた。
「ラインハルトが俺のこと心配してくれるのと同じように、
俺だってラインハルトのこと心配してんだからな?」
その点ちゃんとわかっとけよ、といってアネットは笑う。
ハイドリヒは暫しきれいな青の瞳でアネットを見つめていたが……
やがて、諦めたように溜め息を吐いた。
そして、"少し休憩するだけですからね"という。
アネットはその返答に満足したように頷くと、ハイドリヒの金髪をそっと撫でた。
―― それは相手が君だから ――
(怪我をしていることに気づくのも…)
(体調が優れないことに気づくのも…)
(それはお前(貴方)のことだからで、
お前(貴方)が心配だからで…)