ナハトさん宅の双子さんとカルセの絡みをやらせていただきたいな、と思って…
書いてしまいました、すみません…!
ラストでお医者様コンビも絡みます←
このほのぼのさ、好きです…←
*attention*
双子さんとカルセのSS
ラストでお医者様コンビーも絡みます
ほのぼのです
カルセは割りと子供好きで扱いがうまいです(笑)
双子さんとメンゲレさんの絡みも好きなので…
相変わらず妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がO.K.というかたは追記からどうぞ!
ディアロ城の中庭……
その木陰で花を摘んでいた金髪の少女はふと顔をあげる。
穏やかな風が吹き抜けて、彼女の長い金の髪を揺らした。
綺麗な瞳が秋の陽に映える。
と、そのとき彼女……ソルティはふとなにかに気づいた。
「あれ?」
「どうしたの、ソルティ?」
声を漏らした片割れに、隣で本を広げていた少年……アントレも顔をあげる。
そして、ソルティが見ている方に視線を投げた。
今日はアントレの講義がなく、二人で過ごす久しぶりの休日だった。
大分夏の日差しも和らいできたからと二人で外にでていたのだった。
本当は父親であるメンゲレとも一緒にいたいところなのだが、彼は多忙な医療部隊の騎士。
講義の仕事がなくとも、普通の医者としての仕事が休みということは多くない。
上司であるジェイドが気を使って休みを増やそうともしていたのだが、
メンゲレ自身がそれを断っていた。
個人的な都合で仕事を蔑ろにしたくはない、
アントレやソルティとも一緒にいられるときに一緒に過ごすから大丈夫だ、と。
アントレやソルティにとっては一緒にいたいというのが本音と言えば本音だが、
アントレは勿論、ソルティもそんな父のまっすぐな姿勢が好きなため、
彼の医師としての仕事もきちんと応援していた。
さて、二人の視線の先にあったのは……
ひとりの、男性の姿。
白衣姿であることを見るに、恐らく医者か科学者だろう。
父のメンゲレが所属する医療部隊草鹿で世話になっている二人は、
医療部隊の人間とはかなり親しい。
顔もほとんど覚えているし、名前を知っているほ仲のよい騎士もいる。
しかし、そんな彼らにとってもそこに佇んでいる男性に見覚えはなかった。
長い淡水色の髪、藍色の瞳。
目尻に泣きぼくろがある、どことなく妖艶な雰囲気の男性。
丸いレンズの眼鏡をかけており、周囲を見渡している彼はいったい誰だろう?
そうした二人の視線に気がついたのか、その男性は二人の方を見た。
そして穏やかに微笑むと、ゆっくり歩み寄ってくる。
二人の視線に合わせるように少し屈むと、彼は口を開いた。
「こんにちは」
「こ、こんにちは」
少しの警戒心を灯しつつアントレは彼に返事を返す。
ソルティは不思議そうにその男性を見上げていた。
「驚かせてしまいましたかね?私はこの騎士団の騎士ではありませんから。
見覚えのない人間がいるな、とみていたのでしょう?」
淡水色の髪の彼はそういって、穏やかに笑った。
自分達の考えを完璧に読まれて、アントレとソルティは顔を見合わせる。
そんな双子を見て、男性はくすくすと笑った。
「随分幼い騎士がいるな、と思いましたが……想像以上にしっかりものですね」
男性はそういうとアントレに微笑みかけた。
笑いかたがジェイドにそっくりだな、とアントレは思う。
と、思い出したように淡水色の髪の彼は自己紹介をした。
「申し遅れました。私はカルセ・オブシェディと申します。
元々は此方で騎士をしておりました。
今は個人で魔獣や薬の研究をしている者です。
決して怪しいものではありませんよ」
アントレはなるほど、という顔をした。
元々此処の騎士だったならば訪ねて来るのはよくあることだし、
アントレやソルティが顔を知らなくとも当然だ。
「僕はアントレ・レクテューレともうします。此方は僕の妹のソルティ」
アントレは自分と妹の紹介をする。
兄弟ですか、というカルセにうなずいて。
「こんにちは、カルセさん」
ソルティは持ち前の明るい笑顔で彼に挨拶する。
無邪気に微笑むソルティを見て、カルセは目を細める。
「仲が良いのですねぇ。私は一人っ子だったので少々羨ましいです」
そういうカルセにアントレの緊張も緩む。
敬語口調ではあるが、気さくな雰囲気は彼もよく知っている彼にやはりにていた。
と、カルセは二人に訊ねた。
「あなた方も此処の騎士、ですか?」
「いえ、僕たちはお父様と一緒に……」
「お父様?」
カルセと名乗った彼が怪訝そうな顔をしたとき。
「先生?」
聞こえた声はソルティとアントレにとっても聞き覚えのあるもの。
カルセは顔をあげるとその声の主に微笑みかけた。
「おや、ちょうどよかった。
貴方を探していたのですよ、ジェイド。
メンゲレも、お久しぶりですねぇ」
カルセが声をかけているのは、草鹿の統率官、ジェイド。
そして、アントレとソルティの父親であるメンゲレで。
「父上様!」
ぴょん、とソルティはメンゲレに飛び付いた。
それを抱き止めてメンゲレは微笑む。
アントレも本を抱えると妹の傍に歩み寄った。
メンゲレは双子を抱き止めたまま、軽く会釈をしてカルセに挨拶した。
「こんにちは、カルセさん」
「お父様、とは貴方のことだったのですか、メンゲレ」
カルセは不思議そうな顔をして呟く。
メンゲレは微かに笑むと、"えぇ"と頷いて、
自分の傍に立つ二人の頭をそっと撫でた。
愛しげな視線。
嬉しそうに笑う二人の子供。
特殊ケース、ということは察しの良いカルセにもわかったのだろう。
なるほど、という顔をして頷いてから、
"また近況と一緒に詳しく教えてくださいな"といった。
「それで、先生はいったい何故イリュジアに……?」
ジェイドはカルセにそう訊ねた。
彼はもうイリュジアの騎士ではない。
彼が此処に来るときは大抵何らかの用事があったときだ。
カルセはジェイドの問いかけにあっさりと答えた。
「陛下にお届け物がありましてね。
それのついでに可愛い教え子の顔でも見に行こうかと」
そういいながらカルセはジェイドの長い髪を優しく撫でた。
ジェイドは頬を赤く染めてその手から逃れる。
「せ、先生……もう僕も子供ではないのですから」
アントレやソルティの前でそんな扱いをされて恥ずかしかったのだろう。
カルセも恐らくそれがわかっていてやっている。
くすくす、と笑いながら彼はからかうようにいった。
「おやおや。
私にとってはアントレ君やソルティ様とさして変わらぬように思えますけれどねぇ」
「な……!」
カルセの言葉に更に顔を赤くするジェイド。
メンゲレはそれを見て微笑ましげに笑っていた。
「お父様、カルセさんと知り合いだったの?」
アントレはメンゲレを見ながら訊ねる。
先程彼は"久しぶり"といっていたから。
メンゲレは微笑むと小さく頷いた。
「えぇ。まだSSにいた頃のパーティで一度お会いしていました。
此方(イリュジア)に来てから再会して、ジェイドさんの先生だと知りましたが」
"思わぬ再会でしたよ"とメンゲレはいった。
ソルティも"そうなんだ"といいつつ、未だにジェイドをからかっているカルセを見る。
そうして外で誰かに出会い再会する、という経験が幼い二人にはまだない。
いつか、父やほかの騎士たちのように世界を広げてみたいなと二人は思ったのだった。
―― 世界を広げよう ――
(騎士団内だけが世界ではないから)
(まだまだ世間知らずなあたしたちだけれど
いつかもっといろんなものを見てみたいの)