「そらはちゃん」
そらはちゃん、あのね……はい!これ!
そう言って差し出されたのは小さな青葉。
ハートが四つくっついた幸せのしるし。
「そらはちゃんに、プレゼント!」
誕生日おめでとう!
土に塗れながらもふにゃりとはにかんだ笑顔が眩しかったのを、私は覚えている。
*
「ごめん!先帰ってて!」
最近の彼はずっとこの調子だ。
いつもなら私達と一緒に帰るのに、ここ最近は何をしているのか帰りが遅い。
それに付け加えて帰ってきた彼の姿はといえば、少し土に汚れている。
一体何をしているのか訊ねれば慌てて「な、なんでもないよ!」と首を振る。
山本も獄寺も理由がわからず首を傾げるばかりだった。
リボーンだけは、何か知っているみたいだったけど。
「…あれ?」
その日の帰り道。
私は空き地で見慣れた背中を目にした。
その人は地面に膝をついて何か懸命に探しているような仕草をして首を左右に動かしている。
私は首を傾げてそれを眺める。
「気になるか?」
ふと下を見ればリボーンの姿。その視線は空き地の中の彼に向けられている。
彼は静かに言った。
「ヤツのちっぽけなプライドの為にも、今は声を掛けてやるな」
「…珍しいね。リボーンが人を気遣うなんて」
「オレは優しいぞ。女にはな」
くるりと踵を返すリボーン。
首を傾げていれば「帰るぞ」と声を掛けられ私は漸く歩き出す。
振り返った背中はやっぱり懸命に何かを探していた。