話題:オフ会
現在、15時を過ぎたところである。私はカレーの残りを炒めているところだ。
先日、何やらつっこみどころが多い夢を見た気がする。カレーがハヤシライスになったりしたり、友達が次元爆弾になったりした。
私はつっこみを我慢し、特にこれといって変態らしい事はしなかった。チョコバナナを渡されたり、告白されたりとかいう事も特になかった。
そのつっこみどころが満載だった夢の影響か、このカレーライスが少し目を離しているうちにハヤシライスになってしまうとかいう負の感情に支配された。
従って、私はずっとカレーを怯えながらかき混ぜている。カレーの神様は私を陥れようとしているに違いはなかった。
「今夜はどうも眠れそうにはないなぁ」
私はそう呟きハハハ、と笑った。
しゃぶしゃぶが食べたくなったので、今日は夜中にしゃぶしゃぶする事にした。しゃぶる事にした。
先日、
Leoくんと大須で遊んだ。つまり、オフ会というやつだ。
あまりに暇過ぎて私の家のゴミ箱のジロウ君を孕ませてしまいそうだったので僕から誘ったのだが、私は実は濡れたチワワみたくびくびくしていた。
私はLeoくんの容姿は知らない。要因はそこにあると思われた。
びくびくしすぎて、私は家で震えてしまっていた。
なにやら震えが収まらない事に違和感を覚えて窓の外をのぞいたら、ダイソンの掃除機を隣人が抱えていた。
ダイソンなら仕方がないと思ったので、私は溜息を吐いて自宅から出た。
服が吸引されて裸になってしまったが、そのまま駅まで歩いた。堂々と歩いた。
道行く人々は何やら怪訝な表情をして私を見ていた。奇異の物を見る目だった。
原因は私にはちょっとわからなかったので、「ちょっとダイソンにやられまして」といった感じの表情をした。
通り掛かった女の子が、私のにやにやした顔を見て悲鳴を上げた。
そんなこんなで私は大須駅に着いて挙動を不信にし、ウロウロしていた。私の中身は複雑に絡み合っていた。Leoくんが実は女の人だったらどうしようとか、Leoくんが実は私の友達で、「どっきりカメラ」とかいう看板を持ちつつクソ憎たらしい笑顔をしてきたらどうしようとか、LeoくんがDQNだったらどうしようとか、Leoくんがパン屋だったらカレーパンを作って貰うべきなんだろうかとか、様々な思惑が私の内部を錯綜していた。
普通に会えたとしても、何かにつけて怒られそうな気がしたので、雑貨屋さんでくさりかたびらを買う事にした。
私が「くさりかたびらを一着ください」と言ったら、雑貨屋のおばあちゃんは目を白黒させながら、私に向かって「無いよ」と言った。
私は武器屋にいくべきだったんだ、と激しい自己嫌悪に陥った。
エクスカリバーならあるかも知れないと思って雑貨屋を見渡したが、あったのは何かお洒落なオブジェだけだった。
手ぶらではLeoくんに襲われた時に抵抗できないので、私はそのこじゃれたオブジェを買う事にした。
店から出て、道端にあった『やくそう』も毟ってLeoくんに会いにいった。
Leoくんと会うのには大層な時間がかかった。お互い顔も知らないからだ。
だから、それはそれは骨が折れる作業だった。やがて鎖骨が二本とも折れた。痛かった。
こんな事では自殺オフ会にも参加できない。私は『やくそう』をもぐもぐしながらそう思った。やがて『やくそう』のおかげで骨折がなおった。
ところが二歩歩いたらあばら骨が粉々に砕け散った。その粉々っぷりたるや、告白してフラれた夜、布団に入った時に感じる寂しさにもひけをとらないと思った。
Leoくんとは結局15分くらいかかって合流した。その15分には前述の大スペクタクルハードボイルドドラマがあったのだが、語らない事にした。すると恥骨が折れた。
Leoくんの外見は、極めて普通だった。指もちゃんと全部揃っていたし、温泉で入浴を断られる事もなさそうだった。
私はほっとして胸を撫で下ろした。撫で下ろした拍子に背骨が爆発した。三回爆発した。
びっくりした。
Leoくんとは、服屋や雑貨屋を回ったりした。くさりかたびらはどこにも置いていなかった。
Leoくんは、シャツとか雑貨とかを買っていた。私はLeoくんと離れ、服屋のデーブ・スペクター似の店員さんにくさりかたびらを置いている店を聞いた。怪訝な表情をされた。
そのうち時間が経過したので、僕らは解散した。
Leoくんは優しい人だった。
僕は大いに爆発した。