*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋-完結・後編-』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の完結・後編です⇒
story.14:『復讐理由』
第6の槐こと、六条薫の裁判が行われた。
事件当時、精神的な理由から視覚に障害を持ち、被害者を殺害後、六角恵梨香を身代わりに短期間、外の世界で自由の身となり、ラストターゲットだった六角を勤めていた会社で殺害した薫は、至って冷静な面持ちで、検察官や弁護士の話を聞いていた。
薫の罪が読み上げられた後、検察官が薫に問い掛けた。
検察官:「被告人。貴方は事件当時、視覚に障害を持っていたことは事実ですか?」
検察官の質問に対して、証言台に立っていた薫は淡々と応えた。
薫:「はい、事実です。まったく見えませんでした」
薫がそう応えると、検察官は次の質問をした。
検察官:「では当然、1人で事件現場へ行き、被害者を殺害することは出来ませんね。どうやって犯行を実行しましたか?」
検察官がそう問い掛けると、薫は動じずに淡々と応えた。
薫:「鳥の仮面の男こと、城之内凛太が協力者でした。
佐々木カケルの時、彼のケータイから『槐-エンジュ-同盟』のサイトに書き込みを代わりにしてくれたのも城之内凛太です。」
薫はそう言うと、質問を聞くことが面倒になったのか、自分からすべてを話し始めた。
薫:「城之内凛太が最初に僕の前に現れたのは、僕が六角恵梨香に襲われる前でした。僕は視覚がまったく見えなかったので、聴覚の記憶しかありませんが、間違いなく城之内凛太だったと思います」
検察官:「な、なるほど…」
検察官が納得したところで、薫は話の続きをした。
薫:「僕は視覚が見えなかった上、ケータイを持っていなかったので、ターゲット予告は必ず会社に電話がありました。
田原社長がいる前で応じることもあったので、その時はお蕎麦屋さんの間違い電話と偽りました」
裁判官:「田原社長に申し訳ない気持ちはありますか?そのような嘘を付いていて…」
薫:「………。」
薫の話が一区切り付いたタイミングで、裁判官がそう問い掛けると、薫は少し考えてから応えた。
薫:「申し訳ない気持ちはありませんでした。アイツらを殺すことの方が強かったので。
……でも今、考えてみると、田原社長には僕のせいで、"また"辛い思いをさせました。」
裁判官:「"また"…とは?」
薫の言葉に、裁判官が気になって問い掛けると、薫は応えた。
薫:「1つは、六角恵梨香にストーカー被害に遭っていた時に心配を掛けたこと。……もう1つは、田原社長の一人息子の田原誠さんのことです」
裁判官:「田原誠さん…。事故で亡くなっていますよね?
聞いた話では、被告人の復讐理由でもあるとか…。どうして復讐理由になったのか、教えてもらえませんか?」
薫:「…………。」
裁判官の質問に、薫は一瞬黙り込む。何か思い詰めるような顔をしたと思ったら、またすぐに真顔に戻って、話を始めた。
薫:「…佐々木カケルと矢代佑が、僕を階段から突き飛ばした際、誠さんが僕を助けるために一緒に階段から落ちました……」
検察官:「なぜ、2人は被告人を突き飛ばしたんですか?」
検察官がそう質問すると、薫は強張った顔で質問に応えた。
薫:「佐々木カケルが、六角恵梨香に好意を持っていて…。
誠さんに付きまとっていたので、駆け付けたら……」
裁判官:「突き飛ばされたんですか?」
薫:「はい…。……突き飛ばされた僕のせいで、誠さんが命を落としました。あの2人がすぐに救急車を呼んでくれたら、誠さんは今でも元気に生きていたのに…っ」
薫はそう言うと、手を握り締めて悔しげな表情を浮かべる。
薫はすぐにハッと我に返ると、俯いたまま言ってきた。
薫:「もう良いですよね。
僕の復讐理由は理解して頂けたかと思います。…槐事件当時の話しに戻しましょう」
薫がそう言って、勝手に話を変えようとしたその時だった。
弁護士:「待ってください」
薫の担当弁護士が手を挙げて、こう言ってきた。
弁護士:「その過去の事故について、弁護側は急遽、証人を召喚したいと思います。」
裁判官:「許可します。
被告人は一旦、証言台から退場してください」
薫:「……………。」
裁判官の指示で、薫は弁護士の前の椅子に警察官と共に座った。
それを確認すると、裁判官は弁護士に問い掛けた。
裁判官:「弁護人。証言台に召喚する証人を呼んでください」
弁護士:「はい」
弁護士はそう返事をした後、観客席に座っていた"ある人物"を呼んだ。
弁護士:「六条渚さん、証言台へどうぞ」
薫:「…っ!?」
弁護士が口にした名前に、薫は明らかな動揺の表情を浮かべた。
そして、証人の六条渚は無言のまま静かに証言台に立ったのであった。
------------To be Continued...