*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋-完結・前編-』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の完結・前編です⇒
story.25:『相対する時』
『槐-エンジュ-計画』の大方の材料が整った後、僕たちは真紀が経営する飲食店の場所の地図を載せて、ハガキやメール内容の作成を始めた。
"槐"となる彼らを集めるために、事前にすれ違い様に彼らと接触し、メールやハガキが届いたらすぐに行動してもらうようにマインドコントロールを懸けて…。
その作成は、やはり僕とアートロこと、伊藤諒紀。そして遠山敦敏の3人で行った。
福崎:「……………。」
アートロ:「……福崎くん、どうかした?」
ハガキを見つめたまま動かなくなった僕に、アートロが声を掛けてきた。
僕はハッと我に返ってからも、ハガキに書かれた名前を見て、ふと呟いた。
福崎:「…直弥くん。彼の母親は、僕たちの推測では夫である直弥くんの父親を殺害してる」
僕がそう呟くと、遠山くんがこう言ってきた。
遠山:「槐の中では唯一、殺人鬼の血を継いだ子ですね…」
アートロ:「この子が殺人を犯したら、先ず他の槐より立場が悪いよねぇ…」
アートロはそう言うと、テーブルの上に置かれた写真から直弥を見つめながら言った。
アートロ:「この子は恐らく、父親を殺した女と母親は別に考えている。…しかも、母親は次の獲物に狙いを定めた……」
アートロは、口にした。
アートロ:「"七条"という男性に、ね……」
福崎:「だから直弥くんを第7の槐に据えた……んだけど……」
僕がそう言葉を途切れそうになると、アートロはこう言った。
アートロ:「理想が正しければ、第7の槐事件の時には水嶋さんが助けてくれるよ。」
遠山:「そうですね!
それにこちら側でも、直弥くんの行動をよく注意を払って見ていれば、彼を殺人鬼にしない方法だって見付かりますよ」
遠山くんは続けて、こう言った。
遠山:「催眠術は万能ではないと思いますし、"槐"の中では抗おうとする子も出てくるかもしれませんしね。」
福崎:「……それ言われちゃうと、痛いな。色んな意味で…」
アートロ:「最悪な場合の時の僕たちだから。…最初から何もかも上手くいくとは思ってないよ」
アートロはそう言うと、マグカップのコーヒーを飲んでからこう言った。
アートロ:「他の"協力者"の彼らだって、頃合いを見計らったら何をするか分からないしね…」
福崎:「じゃあ、裏切り者には死を与えようか」
僕があまりにも淡々と言ったから、遠山くんの顔が強張った。
アートロは、クスクスと笑いながら言った。
アートロ:「さすが、この計画の主催者様……いや、"ご主人様"。……なーんちゃって☆」
福崎:「伊藤くん。君の素顔が時々分からなくなる時があるよ…」
僕たちは、自分の手の上に乗せる"槐たち"や"協力者"のことをそんなふうに考えていた。
そう…僕の計画に参加してくれるなら、槐ゲームを盛り上げてくれるなら、別に人殺しをしなくてもいい。
水嶋さんや石塚を手の上で転がすことが出来るなら、僕の念願を達成する手伝いをしてくれるなら、どうだっていいんだ------------…。
メールやハガキを送ったタイミングで、真紀と里沙を呼び出し、開放感ある飲食店を真っ黒なカーテンで締め切り、協力者たちにも槐たちが一同を対する場に立ち合わせた。
里沙と真紀には、受付で槐たちの気を引く役目を与えた。
3時間後の昼過ぎには、ほとんどの槐が出揃った。
一番最後に元五条こと、西原悠一が恐る恐る入ってきた。
全員、里沙と真紀に気を取られているうちに後ろから殴って気を失いさせた。
そして一条から順番に椅子に座らせて後は、水嶋さんもよく知る"彼"に連れられて八条大夢くんが揃えば、いつでも始められた。
槐たち全員が揃ったのを確認した僕は、顔に身に付けていた猫の仮面を外した。
アートロがちょっと驚いた。
アートロ:「あれっ?外しちゃうの〜?」
福崎:「うん。槐たちにはすぐに主催者が誰かを見抜いてもらわなきゃね」
僕はふと、視線を自分の後ろにあるカーテンの方に向けた。
準備、万端したようだ。
福崎:「じゃあ、槐たちを起こそう!」
僕はそう声を上げると、すぐに指を鳴らした。
すると、次々と槐たちは意識を取り戻して辺りを見渡す。
直弥:「ここはどこ…?」
直弥くんの一言で、槐たちが警戒を始めた頃合いに僕は彼らの名前を呼んだ。
福崎:「一条"真幸"。」
真幸:「えっ…!?」
偽名である"美王"ではなく、本名で呼ばれた真幸くんは、予想以上に驚愕していた。
福崎:「二条武長。」
武長:「…………。」
武長くんは、至って冷静だった。
福崎:「三条一貴。」
一貴:「っ…!?」
一貴くんは……怯えていたね。
福崎:「四条勇人。」
勇人:「何で、俺の名前……」
勇人くんは、さすがに動揺していたね。
そして彼や武長くん、隆志くん辺りは確信したんじゃないかな?
僕が口にしている名前は、間違いないということに。
福崎:「西原悠一。」
悠一:「…っ……」
福崎:「六条薫。」
薫:「はい……そうです……」
嫌な予感を察した悠一くんと薫くんは、それぞれ頷いてくれたり、返事をしてくれた。
福崎:「"七条"直弥。」
直弥:「え…?」
僕は敢えて、直弥くんの名前をそう呼んだ。
だって近い将来、彼は必ず"七条"になる可能性が高いことは、僕がよく分かっていたから。
福崎:「矢神拓斗。」
拓斗:「はい……」
素直に返事をする拓斗。
福崎:「九条秋生。」
秋生:「だったら、何だよ?」
攻撃的な言葉をぶつける秋生くん。
福崎:「そして、十条隆志。」
隆志:「……………。」
隆志くんは、疑い目でこちらをじっと見つめていた。それは他の槐たちも。
これから何が始まるのか、警戒しながら黙って僕の次の言葉を待っていたのだ。
------------To be Continued...