*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋-完結・前編-』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の完結・前編です⇒
story.6:『翌日』
翌日の学校の昼休み------------山村若菜は、弁当箱を持って廊下を出ると、すぐに不良生徒が目の前に現れた。
不良:「オイ!山村、弁当持ってどこへ行く気だよ!」
不良生徒はそう言って、若菜の頭を叩いた。
若菜:「っ…」
不良:「隠れても無駄だぜ?」
不良:「分かってるよな。
お前にはどこにも居場所なんてないんだよ!」
不良生徒は冷たい言葉を若菜に振ってきた。
若菜はビクッと体を震わせながら、ちらりと目線をある少女に向けた。
遠藤:「ふふっ」
遠藤実千香は、同じクラスの女子たちと共にこちらを嘲笑った。
よく分からない……だけど、今、自分の目の前にいる不良生徒たちは遠藤の味方なのだ。
若菜:「うっ…」
若菜は泣きそうになりながら、その場から逃げることも出来ずに立ち尽くす。
教室にまだいた担任は、見てみぬふりで助けてくれない。
若菜:(福崎くんっ…)
若菜が心の中でそう名前を呼んだ時、不良生徒が若菜に再び手を挙げようとした------------その時だった。
パシッ
不良生徒:「なっ!?」
突然後ろから手首を掴まれ、不良生徒が振り向くと、そこには若菜を助けに来た福崎善がいた。
福崎:「ずっと見てたけどさ。
やっぱり女の子に手を挙げる男って、カッコ悪いよね」
不良:「くっ…」
福崎が現れると、不良生徒は大人しくなり、若菜を囲っていた不良生徒はそそくさと散っていった。
遠藤:「っ!」
福崎:「……………。」
不良生徒たちが居なくなった後、福崎は遠藤の方を見て睨むと、こう口にした。
福崎:「……本当に、イジメはダメだよね」
遠藤:「そ、そうだね…っ」
遠藤はそう応えてから、ハッとする。…今のは、自分に向けられた言葉だったのか。
遠藤が、そう思っていた時。
福崎:「ね、先生?」
福崎は教室でイジメを見てみぬふりをしていた若菜の担任教師に笑みを浮かべて言う。
担任教師は焦ったように、福崎の意見に賛同していた。
福崎善とは、成績優秀・スポーツ万能・名家柄という抜け目のない立場で、学校でも一目置かれる存在。
教員は、福崎に逆らえない。
福崎は再び遠藤を睨んでから、若菜の方へ近付いて話し掛けた。
福崎:「若菜…」
若菜:「福崎くん…」
若菜は瞳を潤ませながら言った。
若菜:「助けてくれて、ありがとう……」
若菜のその言葉、上目遣いに福崎は一瞬ときめいてしまうが、すぐに我に返ると言った。
福崎:「これから昼ごはんだよね。食堂で一緒に食べようよ」
福崎は優しい笑顔でお誘いすると、若菜は頷いた。
若菜:「うん!喜んで」
若菜が久しぶりに笑顔を見せ、福崎は心が暖まった。
これで周囲の反応がどうなるか分からないが、福崎にはこれだけは分かっていた。
福崎:(僕は若菜の味方だ。
世界で、いちばん……)
福崎はそう思いながら、若菜と並んで食堂へ歩き出した。
そんな福崎と若菜の様子を、遠藤は悔しげな表情で見つめていたのだった。
--------------------------…
その翌日の15時が回った頃------------警察署の生活安全課には、パソコン作業に励む水嶋がいた。
水嶋:「〜〜〜っ…」
機械系が苦手な水嶋が険しい顔でパソコンと対峙していると、後ろから声が飛んでくる。
舘巻:「おーおー。相変わらず、恐い顔してんなァ」
水嶋:「舘巻さん……」
水嶋の教育係りで先輩の舘巻哲也がそう声を掛けると、水嶋はパソコンのキーボードを打つ手を一旦止めて、口を尖らせた。
水嶋:「俺、苦手なんですよ。
…けど、もうすぐで資料作成が終わるので、それまでは頑張るっスよ」
舘巻:「そうしてくれ」
舘巻はそう言ってから、持っていたペットボトルのお茶のフタを開けて、一口飲んだ。
その間、水嶋がどうにかパソコン作業を進めていると、舘巻は作成中の捜査資料を見て言った。
舘巻:「……あの時のコンビニの万引き事件って、犯人は高校生だったんだよな。」
水嶋:「あ、はい」
水嶋はそう返事をしてから、思い出した。
それは、一昨日の夜。
福崎善からの相談を受けて、阿岐名葉月と別れてから管轄地域のコンビニ店から通報があった。
万引きをして外を飛び出した男子高校生を店長が捕まえて、事務室へ連れて行ったのだ。
犯人の男子高校生は、福崎と若菜と同じ高校に通っており、親もすぐに呼ばれたが、万引きをしたはっきりとした理由を述べず、ただ自分が悪いんだと責めて、男子高校生は必死に謝罪していた。
その誠意と、初犯だったこともあり、コンビニ店側が今回は大目に見てくれたお陰で、男子高校生は逮捕されずには済んだのだ。
だが、やっぱり水嶋には腑に落ちない部分がある。
水嶋:「あの子……怯えてました。
コンビニの店長や、親や、ましてや俺たち警官じゃなくて、何か別のことに……」
舘巻:「おっ、いつもの勘だな。
……まぁ、気になるっちゃ気になるけど。本人が打ち明けない限り、俺たちには何も出来ないし」
水嶋:「けど、なんか胸騒ぎがします。もしかしたら、あの子…良くないことに巻き込まれてんのかもしれない。……例えば------------」
水嶋は、こう口にする。
水嶋:「イジメ、とか。」
舘巻:「…イジメであの子に万引きやらせたっていうのか?
それだったら俺たちに言うんじゃないか?見られてる訳じゃねーんだし」
舘巻がそう言うと、水嶋は舘巻の方を向いて反論した。
水嶋:「逆っスよ。俺たちに話してイジメっ子に問い詰めたりしたら、それに不甲斐な思いをしたイジメっ子からのイジメがさらに酷くなるんじゃないかって怯えてるんですよ。」
水嶋はそう言うと、神妙な面持ちで言った。
水嶋:「それにイジメって、親には言いにくいものみたいっスよ」
舘巻:「なるほど、な」
舘巻はそう納得するが、水嶋の肩に手を置いて言った。
舘巻:「けど、やっぱり俺たちにはどうすることも出来ねぇよ。
あの子が相談でもしてこない限りは、な?」
水嶋:「そう…っスね」
水嶋はそう応えてから、パソコンに体を向き直して作業を再開する。そんな水嶋を舘巻は誇らしげな表情で見ながら、自分のデスクへ戻った。
それから数十分後、ようやくパソコン作業が終わり、コピーをしている時、水嶋のケータイに一本の電話が入った。
水嶋:「もしもし、阿岐名か。
どうした?何か遭ったのか?」
水嶋はそう言うと、表情が一変して明るくなった。
水嶋:「本当か?……そっかー。
あ、今、仕事が一区切り付いたところだから今からそっち行く。
………おう。じゃあ、な!」
水嶋はそう言うと、ケータイの着信を切る。
作成した資料を丁寧にファイルに挟んでから、水嶋は舘巻に向かって言った。
水嶋:「俺、ちょっと出ます!」
舘巻:「また例の阿岐名くんのところか?」
水嶋:「はい。では、行ってきまーす!」
水嶋はそう言ってから、生活安全課のフロアーをさっさと去って行った。
そんな水嶋を見送った舘巻は、ふと思い出す。
舘巻:「そういや、イジメ被害の依頼を引き受けたって言ってたっけか?」
舘巻はそれを思い出してから、先ほどの水嶋の明るい表情を改めて思い出す。
あの様子だと、上手くいったみたいだ。
舘巻:「まったく、お人好しっつうかねぇ…」
まぁ、悪いことではないけど。
舘巻はそう考えながらペットボトルのお茶を飲んでいた時、生活安全課に見知らぬ若い男性が訪ねてきた。
舘巻:「…何か御用ですか?」
石塚:「あっ…」
キョロキョロと生活安全課のフロアーを見渡していたのは、県警の警察署の刑事課に勤める石塚紀章だった。
------------To be Continued...