*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋9』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第9章です⇒
story.6:『妹と幼なじみ』
------------17歳の冬に、俺たちを女手一つで育ててくれた母が死んだ。病死だった。
母の入院費などは親戚が出してくれたけど、母が死ぬと親戚の援助を断って、俺は家計を支えるために働いた。
秋生:「千春〜。遅刻しないように学校へ行くんだぞ」
当時、まだ中学生だった妹の千春のために朝食と弁当を作ってから俺は仕事へ出掛ける。
千春:「大丈夫だよ〜。
お兄ちゃんこそ、私に構ってないで仕事行きなよ。遅刻するよ」
……今、考えてみても小生意気な妹だった。
でも、この世でたった一人の血を分けた家族。
喧嘩などせず、上手くやれていた------------はずだった。
秋生:「芸能界?」
ある日の夜、千春の口から突然、そんな単語を聞いた。
千春:「うん。アイドルになりたいの。だからオーディションを受けたいんだけど、保護者の名前が必要だから、お兄ちゃんにも書いてほしいんだ!」
千春はそう言って、既に自分で記入したらしい履歴書をテーブルに広げた。
それを見た俺は、怪訝な顔を浮かべながらはっきりと言った。
秋生:「ダメだ。芸能界なんて、何があるか分からないだろう」
千春:「…お願い!真剣なの!
学校はちゃんと行くから!」
秋生:「芸能活動なんかしてたら学校なんて、まともに行けるわけないだろう!」
俺は猛反対したけど、千春はとことん食い下がってきた------------そして。
秋生:「とにかく!ダメなものは、ダメだ!!」
千春:「〜〜〜お兄ちゃんのバーカ!!分からず屋!大バカ者!!」
千春は、家を飛び出した。
秋生:「……………っ…!?」
俺は、情けないくらい青い顔をしていたのだろう。
俺も家を飛び出して、千春を探しに出掛けた。
心当たりを探しに探しまくって、2時間も経過していた。
自宅まで帰って来た俺の目に飛び込んできたのは、玄関口に並べられた見覚えのある靴。
?:「秋生〜、帰って来たの?」
秋生:「その声は、ひかり…」
部屋の奥から顔を出した幼なじみの富永ひかりと会った瞬間、秋生は慌てて部屋の中に入って、部屋中を探した。
だが、部屋の中には千春がいない。
すると、ひかりが困ったような顔をしながら言ってきた。
ひかり:「千春ちゃんはウチにいるわよ。『お兄ちゃんが許してくれるまで帰って来ない』って、伝言を頼まれたんだけど…」
秋生:「そ、んな……」
ガクッと、膝から崩れ落ちるようにその場で倒れた。
そんな俺を心配して、ひかりが目の前にしゃがみ込んで言った。
ひかり:「どうするの。このままじゃ、千春ちゃんウチの子になっちゃうよ?」
秋生:「……!!!?それはヤだー!認めるから帰って来いって言ってきてー!!」
------------情けない話だが、これが理由で千春の芸能界入りを認めてしまった。
母が死んで、一人ぼっちになるのが嫌だったという気持ちが強かったのもある。
だからこそ、芸能界を反対したけど、反対に千春に見捨てられる事態に発展してしまいそうで、結局許してしまったのだ。
「分かった、分かった…」と、ひかりが困ったような笑みで俺を慰めてくれた。
千春:「お兄ちゃん!ほら、書いて書いて!」
秋生:「分かった、分かったから……」
千春が見てる隣で、俺は履歴書の保護者の名前を書く欄に記入したのだ。
千春:「わーいわーい!
あ、これポストに投函してくる〜!」
秋生:「もう遅いから明日にしなさい!」
------------この時は、千春が芸能界でやっていけるなど思いもしなかった。
そして一年後------------千春が週間雑誌のグラビアページに掲載された。
--------------------------…
ガチャン…
高層マンションの自宅に帰って来た月島秋生(シュウセイ)こと、九条秋生(アキオ)は、キッチンから漂う美味しそうな匂いに気が付いた。
ダイニングルームまで行くと、キッチンで幼なじみの富永ひかりが料理を作っていた。
ひかり:「お帰りなさい。
ごはんまだでしょう?すぐに用意出来るよ」
秋生:「おう…」
秋生はそう返事をしてから、ベッドルームに向かった。
ベッドルームの側には仏壇が置かれていて、両親と妹の千春の写真が飾られている。
秋生:「ただいま…」
秋生は、小さく呟くようにそう口にしてから部屋着に着替えるために私服を脱ぎ出した。
上着を脱いだ時、ケータイの着信音が鳴る。
秋生はケータイの画面を見て操作してから、たった今、届いたメールを読んだ。
『お仕事、お疲れ様です。
もう自宅にいらっしゃるのでしょうね。
いつものように、彼女さんが料理を作って待っててくれていたんでしょう。
そんな貴方に…
ターゲット情報↓
企画・演出プロデューサーの山口淳。43歳。
さて。やりますか?』
ひかり:「秋生」
メールを読み終えたタイミングで、ひかりが声を掛けてきた。
ひかり:「槐の、"ご主人様"からのメールだよね。……私に出来ること、ある?」
ひかりは真剣な面持ちで、秋生に尋ねる。
秋生はメールを消去してから、ひかりの方を振り返って言った。
秋生:「じゃあ、飯食ったら行ってくるから、大人しく家で待っててよ」
秋生は、気味が悪いほど笑顔だった。
ひかり:「分かった…」
………秋生が自分にあのような笑顔を向けるようになったのは、自分も責任がある。
だから第9の槐となった秋生の役に立ちたい。
ひかりは、いざという時は必ず秋生を守ると心に誓い、今は秋生の言う通りに食事の準備を再開するのだった。
------------To be Continued...