*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋8』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第8章です⇒
story.21:『U字型』
高速道路を抜けて、市内へ通過した時、既に夜中の2時になっていた。
鮎川大夢(ゲンタ)の運転で、息子・八条大夢(ヒロム)が住む街までやって来た矢神拓斗の服装は、ほぼ槐の衣装そのものだった。
首に掛けた薄紫色のスカーフと、膝の上に置かれたニット帽。
拓斗は焦った様子で、先ほどからニット帽を握ったりしていた。
鮎川:「もうすぐ、着きます」
拓斗:「……あぁ」
鮎川の言葉に、生返事することが精一杯といった感じか。
拓斗は窓ガラスの向こうの景色を見つめながら、どうにか自身を落ち着かせようと必死だった。
その時------------ピピピッ!というケータイの着信音が鳴る。
拓斗は慌てて自分のケータイ画面を確認すると、こう言った。
拓斗:「鮎川……ルート変更だ。
大夢が既に動いている!」
鮎川:「そんな…」
拓斗の話を聞いて、鮎川はショックを受けながらも運転を続ける。
鮎川:「…自宅でなければ、何処へ行けば?」
拓斗:「アイツがこの時間に働いているスナックがあるらしい。そこへ向かったんだ……」
拓斗はそう言うと、思い詰めたようにこう言ってきた。
拓斗:「…ケーサツが、俺らを着けて来ているらしい」
鮎川:「そうですか…」
拓斗:「今なら、俺に脅されて運転させられたって言えば引き返せるぞ。」
鮎川:「そう、ですね……」
鮎川はそう口にしてから、まっすぐ前だけを見て言った。
鮎川:「でも、決めましたから。
ここまでついて来ましたし………俺は、拓斗さんの味方です。
拓斗さんを裏切るようなまねはしたくありません……」
拓斗:「鮎川……」
鮎川:「それに、今は大夢くんを救うことを優先しましょう」
鮎川の優しい表情と言葉を聞いて、拓斗はなんだか泣きそうになりながら、ハンドルを握る鮎川の片手に自分の手のひらを重ねた。
鮎川:「…!」
拓斗:「ありがとう……ゲンタ。」
鮎川:「…い、いえ、こちらこそ、ありがとうございます……」
初めて、名前を呼んでくれて。
こんな時まで頬を熱くさせている自分は、よほど幸せ者なんだと思う。
重ねられた手の甲がジリジリと熱いけど、今は運転に集中しなければ。
拓斗と大夢、2人を救うためにここにいる。
--------------------------…
一方、同じ時間帯の、とある風俗通りでは騒動が起きていた。
『まゆみ』というスナックに、第8の槐と名乗る子供が乱入してきて、片手でナイフを握り締めて勤務中だった八条夏実を襲ってきたのだ。
子供だったので隙を見て取り押さえられると判断した客の何人かが怪我をした。
その隙に、夏実は外へ逃げ出したのだ。
これがきっかけで風俗通りはパニック状態となってしまった。
夏実:「きゃーっ!誰か…!」
逃げる、夏実。追う、槐。
通りにいた人たちは気付く。
槐の狙いは夏実、ただ一人。
人々は、夏実のために逃げ道をあけて端っこに寄っていた。
狙われている夏実は、まだその事に気付いていなかった。
すると、夏実と槐を追って、高柳たち警察官が防犯棒や拳銃を持って追い掛けていた。
高柳:「お、追い付かないっ!」
白波:「失敗しました…っ……前方からも警備を配置しておけばっ……!」
舘巻:「後悔しても仕方ない…っ……今は、追い掛けねーと……」
配置に反省しながら、とにかく今は夏実と、彼女を追い掛ける小さな槐を追い掛ける。
高柳:「夏実さんっ……あの槐が、大夢くんだと、気付いているんでしょうか…!」
白波:「どうでしょう?
あの様子だと、気にする余裕が無いといった様子ですね…っ」
2人が走りながら会話する最中、舘巻は走るのに精一杯だった。
舘巻:「はぁ〜〜…っ!あとは頼んだ、若い衆!」
高柳:「えっ!わ、分かりました!」
白波:「先に行きます!」
舘巻を置いて、高柳と白波たち警察官は第8の槐と夏実を追って、先を急いで行く。
そんな後ろ姿を息を弾ませながら見送った舘巻は、息を整えてから近くの路地裏へ入って行った。
路地裏を通りながら、舘巻はケータイをポケットから取り出して、着信を鳴らした。
3コールほどで、電話相手が対応してくれた。
『もしもし。お久しぶりです』
舘巻:「久しぶりだな。
今、大夢くんを追い掛けてるところだ。」
舘巻はそう言うと、こう続ける。
舘巻:「大夢くんの槐ゲームは、阻止するで良いんだよな?」
舘巻がそう言うと、電話相手は返事をした。
『はい…。よろしくお願いします。大夢くんはまだ8歳なので…』
電話相手がそう言うと、舘巻はハッと笑ってから言った。
舘巻:「槐ゲームの主催者が何を今更…。…とはいえ、本心に無いものをこれ以上、責めるつもりはないけど?」
『………。』
舘巻がそう言うと、電話相手は静かに黙り込んでしまう。
舘巻はそんな見えない相手の様子を察してか、本題を話し出した。
舘巻:「あの兎の仮面の女は、こっちには来ねぇみたいだな。
やはりこちらに母親を取られたからかね。」
『さぁ……興味ないですね。』
素っ気なく言うと、今度は電話相手が問い掛けて来た。
『…水嶋さんは一緒じゃないんですか?』
舘巻:「アイツは今頃、こっちに向かってる最中だろう。兎の仮面の女と対峙するって言ってたから」
『そうか。不自由を与えても、水嶋さんのする事は変わらないということか……』
舘巻の話を聞いた電話相手がそう言い掛けると、なぜかいきなり着信を切られてしまった。
舘巻:「ん?……仕事、かな。」
舘巻はそう口にしてから、ようやく路地裏を抜けた。
すると、舘巻から見て左方向から走って来る八条夏実を発見した。
風俗通りはU字型になっていて、舘巻が通り抜けた路地裏は繋がっていたのだ。
夏実:「きゃっ!?」
すると、ちょうど舘巻の目の前で夏実が転んだ。
走り疲れたらしく、夏実は立ち上がることが出来ない。
舘巻:「夏実さん!」
舘巻がすぐに駆け寄った時、上から小さな第8の槐が舞い降りてきた。
その時、夏実はようやく改めて第8の槐の存在を視界に捉えた。
------------To be Continued...