*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋8』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第8章です⇒
story.12:『判断』
20時21分------------電車から降りてすぐに、バスに乗る。
しばらくバスに乗車して40分後に終点手前で下車すると、八条大夢(ヒロム)はトボトボと道路沿いの歩道を歩いた。
大夢:「はぁ…はぁ…っ」
一人でこんな都会まで来たことがない上に、飲み物すら口にしていなかった大夢は限界だった。
大夢:「じ、自動販売機…!」
歩いている途中で自動販売機を見付けると、大夢は飛び付いた。
財布をポケットから出して中身を確認する。
大夢:「あ…」
117円しかない…。
これでは飲み物が買えないと諦めた時、後ろから声を掛けられた。
?:「大夢くん…?」
大夢:「へ?」
自分の名前を呼ばれて大夢が振り向くと、買い物袋を持った見知らぬ男性が立っていた。
男性は大夢の顔を確認すると、ホッとしたように自分に目線を合わせてから言ってきた。
男性:「良かった〜!」
大夢:「えっ…えと……?」
大夢が戸惑っていると、男性はハッとしてから自己紹介をした。
男性:「初めまして。大夢くんのお父さんと一緒に暮らしている、鮎川です!」
大夢:「!パパの…恋人?」
男性:「う、うん」
大夢にそう言われると、鮎川大夢(ゲンタ)はドキッとしたが、にこやかに返事をした。
会おうと思っていた人にやっと会えたという安心感と、本当に男の人だという驚きで大夢はいっぱいになる。
すると、鮎川はこう言ってきた。
鮎川:「さっき、刑事さんから大夢くんのことを聞いてね。
大夢くんのお父さんには連絡してあるから、きっとすぐに帰って来ると思うけど……」
鮎川はそう言ってから少し考える表情をして、大夢に言った。
鮎川:「……とりあえず、お家へ行こうか?お腹、空いたよね」
大夢:「うん!ペコペコ……。あと、喉もカラカラ〜…」
鮎川の親しみ易い雰囲気に、大夢はさらに安心して自分から鮎川の手を握った。
鮎川は満面の笑みを浮かべながら、大夢の手を握り返してマンションへ向かった。
案の定、マンションの前には警察署の刑事・沢田透真がいた。
透真:「?------------あっ!」
透真は鮎川と手を繋いでいた大夢の姿を確認すると、安堵の表情を浮かべていた。
大夢は透真が警察官だとは知らないから首を傾げていたが、鮎川は透真を避けて大夢をマンションのロビーへ連れて行く。
透真:「………。」
透真は2人を黙って見送った。
2人の姿が見えなくなると、今度は矢神拓斗が運転するワゴン車を確認した。
ワゴン車はそのまま地下駐車場へ入って行ったので、透真はそれを追い掛ける。
拓斗がワゴン車を駐車している間に、透真はロビーへの唯一の出入り口である扉の前で待ち構えることにした。
駐車を終えてワゴン車から出てきた拓斗は、透真の存在に気付いていたのか駆け足で近付いて来るなり挨拶した。
拓斗:「今朝は、どうも!」
透真:「こちらこそ!
今、鮎川さんが大夢くんと一緒に買い物から帰って来て、お部屋の方へ連れて行きました。」
透真がそう報告すると、拓斗は安心した表情で言ってきた。
拓斗:「ご心配を掛けて、すみません。あと、ありがとうございました……」
透真:「いいえ…。今日は遅いし、大夢くんのことはお2人に任せます。明日の朝、迎えに行きますので…」
透真がそう言った途端、拓斗は急に寂しい表情をした。
少し俯いて、透真に聞く。
拓斗:「……刑事さん、ご結婚されていますか?」
拓斗の唐突な質問に少し驚くが、透真は正直に応える。
透真:「していますし、6歳になる息子の父親です」
透真がそう応えると、拓斗は透真を見ながら言ってくる。
拓斗:「……また、いつ会えるのか分からないんです!
明日、仕事を休みます。鮎川も、休むそうです……」
透真:「矢神さん……それは、」
拓斗:「お願いします!
1日だけ……1日だけ、大夢と一緒に居させてくださいっ!」
拓斗は深く頭を下げて、透真にお願いをしてきた------------が、透真一人では判断がし兼ねる。
血縁関係が在ろうが、無かろうが、同じ父親同士。
拓斗の望みに応えてあげたい。
透真:「……本署に戻って、上の人間と千葉県警と話し合ってみます。どちらにしろ、明日の朝になったらまた訪ねます………良いですか?」
拓斗:「あっ、ありがとうございます!よろしくお願いします!」
透真の返事を聞いて、拓斗は感謝の言葉を返した。
"相談してくれる"……それがよほど嬉しかったみたいで、拓斗は足取り軽く、大夢と鮎川が待つ部屋へ向かって行った。
透真は拓斗を見送ると、地下駐車場を出るなりケータイで連絡を取った。
石塚との話し合いで、千葉県警に出張している水嶋たちとも話し合うことになり、透真は急いでパーキングエリアに駐車していた車に乗り込み、警察署へ向かう。
------------と、ここで一つの疑問に気付いた。
透真:(…俺、思わず"千葉県警"って言ったけど。矢神さん、気にした風じゃなかったなぁ)
自分は事件当時、千葉の海沿いにしたんだし、現場が千葉だと聞いたら少しくらい反応を示してもいい気はする。
だが拓斗は、息子のことで頭がいっぱいだったのか一言どころか、表情すら反応を見せなかった。
透真:(或いは、事件現場が千葉だと知っていた…?)
自分だけでは判断が難しい。
透真は警察署へ向かって車を走らせながら、この一件についても水嶋に聞いてみることにしたのであった。
------------To be Continued...