*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋~特別編-鳥の仮面の男』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の特別編です⇒
story.13:『幸運』
……今日は、昼から明日の夕方までの夜勤任務である。
そろそろ出勤時間だから急がねばならないと、城之内凛太は再び小柳春菜と瓜二つにメイクする。
そこは、小柳春菜の自宅アパートと間取りが同じの別の部屋。
このアパートは築5年という比較的に新しい建物で、このアパートの借り主は皆、若者だった。
全部で4部屋のアパートには、小柳春菜以外は大学生の男性と会社員男性の他、若い夫婦と赤ん坊が暮らしていた。
城之内:「はい。完璧!」
小柳春菜に変身。すると、急に赤ん坊の泣き声が後ろから響いた。
ほぎゃあ〜〜〜!!
城之内:「おやおや…。
情けで"生かしてあげた"というのに、あまりうるさいと殺すしかないですかね?」
ベビーベッドで寝かせていた女の赤ちゃんにそんな恐ろしい言葉を投げ掛けた城之内。
赤ん坊のベビーベッドの近くには、ダブルベッドがある。
その上に並んで倒れている若い夫婦は、既に城之内の手によって殺害されていた。
昨晩、自ら接近してきた長尾を小柳春菜の部屋に監禁した後、部屋の中をドライアイスで死なない程度に冷やしてきた。
それが隣の住民である夫婦から苦情を受けるはめになった。
『うちには、赤ん坊がいます。適温設定にしているので、冷房を下げてくれませんか』という旦那の方に、長尾の存在や本物の小柳の変わり果てた姿を見られてしまったのだ。
城之内:(まぁ、躊躇う理由なんかありませんでしたけどね。)
若い夫婦を殺害した後、また同じ面倒事に巻き込まれないように他の階にいた男性も殺害した。
殺害する前に、男性たちには休暇のことをそれぞれ友人や会社に連絡を取って頂いて。
これで、アパート内には目撃者はいない------------数日以内は持ってくれたら有難い。
城之内:(その間に、一人で行動出来るようになりたいですね…)
城之内はベビーカーを玄関口で広げて、ドアを開けた。
部屋に戻ると、おしゃぶりで機嫌を直した赤ん坊を抱っこし、必要な道具と鞄を持って玄関へ向かった。
赤ん坊をベビーカーに乗せると、城之内は完璧な女声で部屋の中へ向かって声を掛けた。
小柳:「じゃあ!赤ちゃん、お預かりしますけど……奥さん、くれぐれもお大事に。行って来ますね!」
城之内はベビーカーを押して、玄関を閉めた。
怪しまれないようにわざと玄関の鍵は閉めないで、赤ん坊を連れて出掛ける。
案の定、近所の奥様方が目撃していた。
城之内は愛想良く笑顔で軽く頭を下げてから、アパートを離れる。
もちろん目的地は警察病院なのだが、先ずは赤ん坊をどうにかしなくてはならない。
城之内は赤ん坊を連れて、バスに乗ったりしながら警察病院までやって来た。
だが、警察病院へは直接行かないで隣の一般病棟へ向かう。
------------そこは、園児預かり所。
小柳:「すみませーん。連絡しました、精神科病棟所属の小柳と言います!」
小柳春菜として保育所の担当者に声を掛けると、担当者が気付いてくれる。
担当者:「はい!確かに、お預かりしますね。
…とはいえ、小柳さんって親切なんですね。
隣の夫婦の代わりに赤ん坊を預かるだなんてぇ」
小柳:「仕方ありません。
困った時はお互い様ですから。
じゃあ、私は仕事へ行きます!
よろしくお願いいたします」
担当者:「はーい!行ってらっしゃい!」
担当者に見送られて、城之内は赤ん坊から解放された。
城之内:(…さて。問題はここからですね。)
今は主治医である沢田法子と一緒でなければ、槐たちがいるエリア5には侵入が出来ない。
城之内:「まぁ、いい…」
------------いざとなったら、沢田先生も殺してしまえば。
城之内はそう思いながら、警察病院の精神科病棟までやって来た。
すると、沢田法子が血相を変えて私服姿でフロアーから出ようとする様子が目に入った。
小柳:「……沢田先生?」
法子:「あ!小柳さん!」
小柳として、法子に話し掛けると、法子はハッとしながら小柳の肩を掴んで言った。
法子:「あのね!私、今日は非番にさせて頂くから後はお願いね!」
小柳:「ど、どうかしたんですか…?」
城之内はさりげなく法子の手を退けながら聞いてみると、法子は言ってきた。
法子:「"弟のピンチ"なの…」
小柳:「?弟さんって…水嶋警部ですよね。
怪我でもなさったんですか?」
城之内がそう問い掛けるが、法子はハッとしてからさっさとロビーへ向かって歩き出す。
法子:「説明はまた今度!
後のこと、頼んだわよ〜!!」
法子が去って行った後、上司が苦笑しながら言う。
上司:「ピンチって言っても、水嶋警部はまったくピンチじゃないから気にしないでね。
まぁ、沢田先生は有給休暇も全然使ってなかったし、1日くらいいなくても、よほどのことがなければ大丈夫なはずだけど…」
上司はそう言うと、城之内に向かって言ってきた。
上司:「今、槐たちは昼食中だから、あと30分くらいしたら様子見に行ってくれる?」
上司の言葉は、城之内には願ってもない幸運だった。
小柳:「はい!」
今日。今日だ……今日、決行する。
城之内は、即決した。
------------To be Continued...