*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋1』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第1章⇒
story.28:『"美王"と"真幸"』
包丁を手にした義兄が実父に向かって襲ってきた。
義兄:「ワァーーーッ!!」
俺たちは壁側に避けた。
実父は隙を見て、咄嗟に包丁を持っていた義兄を取り押さえてあっさり包丁を奪った。
義兄:「放せっ!」
実父:「…こんのっ!!」
実父は包丁を遠くへ放り投げると、両手で義兄を首を締める。
それを見た俺は、慌てて実父を止めにいった。
「お父さん、ダメ!死んじゃうよぉ…!」
だけど、実父は止めるどころか俺を突き飛ばした。
「っ…」
実父:「テメェ!ふざけんなよ…誰のお陰でこの家に住んでいられると思ってやがる!!」
義兄:「ぐっ…ゴホッ!」
実父は首から手を離してやると、そのまま義兄を平手打ちした。
実父は疲れたように息継ぎをしながら、ハッと突き飛ばした俺の方を振り向いて駆け寄った。
実父:「ごめん、ごめんな----------…痛かったよな」
「お、俺は別に…」
実父は申し訳なさそうに俺を抱き締めて、謝ってくる。
俺はまだ戸惑っていながら、実父に抱き締めてもらっていると、実父は急にこう口にした。
実父:「…もう止めよう、くだらない。」
「え?」
実父の言った一言で、俺もそして義兄も困惑する。
実父:「お前には、母親も必要だって思って…知り合いに紹介してもらったお義母さんと子連れ再婚したけど。
…でも、現実はこの様だ。またお前に可哀想な思いをさせてしまった…」
---------------ドクンッ
俺の胸が強く悲しくそう鳴り続けた。
それは、ヅキヅキと痛くて辛くて…。
"義兄も同じ"だったんだろう。
義兄:「ふざけんな!!
お母さんを殺したのはアンタじゃないか!
都合が悪くなったからなんて理由で逃がさない!!」
義兄が激しく怒りながら再び向かってくる。
実父は俺から離れると、向かってきた義兄を突き飛ばしまた手を挙げた。
実父:「テメェはどこまで人をイラつかせれば気が済むんだ!?原因のもとはテメェだろっ!!」
義兄:「………っ…!!」
実父が拳で義兄を殴る。
そんな光景を見ていながら、俺は実父が言ったことを思い返す。
『お前には、母親が必要----------』
『またお前に可哀想な思いを--------』
聞いたことがある。
俺の本当の母親は、俺がまだ赤ん坊だった時に死んだ、と。
それが、事件に巻き込まれ暴行に遭って亡くなっていたことを知ったのは、この日の後…。
その時、母親に暴行した犯人が警察の人間だったらしい。
だから実父は警察を嫌っていた。
(でも----------…)
実父は、再婚した後も俺の母親を忘れられなかったらしい。
でも"可哀想な俺"がいるから、俺のために義兄という連れ子がいる義母と結婚した。
だが、現実は決して違っていたのだ…。
(俺って、"可哀相"なんだ…)
実父はとても優しいのに。
新しい母親も良い人で。
同い年の兄とはいつか絶対に仲良しになれると信じて。
実父と義兄も、いつか分かり合えて本当の家族になれると信じて----------。
「…可哀相じゃない」
俺は、そう思わず口に出していながらいつの間にか床に放置されていた包丁を握っていた。
実父と義兄はそれに気付いた。
実父が義兄をそのままに俺に近付いてくる。
心配しているような、俺にしか見せない優しい表情をした大好きな実父が----------。
--------------------------…
ぴたっ
「!」
床に赤い血が雫のように落ちている。
何度も何度も。
それが実父のものだと気付くのに、時間は掛からなかった。
実父:「あ…あっああ……!」
「お、父さん……っ」
俺は持っていた包丁から手を離して、ゆっくり後ずさる。
俺の手のひらは、血で真っ赤に濡れているようだった。
「……----------!」
刺してしまった…。
実父を、"この俺が"…この手で。
実父はその場で尻餅を付きながら、自分の腹部に刺さった包丁と俺の血の付いた両手を見る。
実父:「ああ…っなんてこと!」
実父は自ら、自分に腹部に刺さっている包丁を抜くと、今度は自ら自分を突き刺した。
「………っ!!」
実父:「くっ…!
ふざけんな…っ……俺と"アイツ"の息子を、……殺人犯にして、たまるかーーーッ!!」
義兄:「うぅっ…」
実父が口にした"アイツ"という言葉が、自分の母のことでないことは明白だ。
義兄は改めてそれを知って、悲しくなった。
こうなるなら、なぜ再婚などしたのか…。
義兄:「2人なら、貧乏でも幸せだったかもしれなかった…!」
「ッ…」
義兄はそう言うと、生気を失い掛けている実父に近付いて、包丁を抜いて構え上げた。
義兄:「お母さんの仇だ…!」
義兄はそう声を上げながら、実父に突き刺す。
俺はそれを凝視しているしかなかった。
俺には、義兄の復讐を止めることが出来なかった…。
----------そうして、実父は息絶えた。
実父と義母。
ふたりが死んでしまい、俺はその場でへたり座る。
すると、義兄は実父から包丁を抜いてゆっくりこちらを向いてから言った。
義兄:「今度は、お前だ…」
「えっ…」
義兄の瞳がキラリと光って、鋭く俺を睨み付けた。
そして、包丁を振りかざして俺に襲い掛かってきた。
「ヤだ…!
イヤアアアァァァアアーーーーーーーッ!!」
俺はそう大声を上げて、咄嗟に身を守る体勢になって、ぎゅっと瞼を閉じた。
だが、待っても痛くなかった。
俺はゆっくり瞼を開いて、義兄の姿を見た。
「……………。」
義兄:「……ねぇ、」
義兄は俯いたまま、そう話し掛けてくるとそのまま話を続けた。
俺は義兄が言ったことをただ黙って聞いているしか出来なくて、でも何で"そんなことを"提案してくるのかはもっと分からなくて。
ただ、分かったのは義兄は俺のことが"羨ましい"と思っていたようだった----------そして。
義兄:「…というわけだから。
今日から僕は"真幸"。--------------君は"美王"ね。」
------------To be Continued...