俳優のディーン・フジオカと井浦新が、フランスの文豪、ヴィクトル・ユゴーの名作小説に基づくスペシャルドラマ『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』でダブル主演を務めることが、フジテレビより発表された。フジテレビ開局60周年特別企画として来年1/6、3時間にわたって放送される(21:00-23:54)。その他キャストに、山本美月、吉沢亮、村上虹郎、清原果耶、松下洸平、清水尋也、福田麻由子、長谷川京子、金子ノブアキ、富田靖子、寺脇康文、伊武雅刀、かたせ梨乃、香里奈、奥田瑛二ら。
2012年に公開されたヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画[レ・ミゼラブル]をはじめ、これまでにも鹿賀丈史ら名だたる俳優が度々舞台化、映像化されてきた、ユゴーが1862年に発表した小説に基づく本作。設定を平成の日本に置き換え、1991年〜1995年の神戸、2004年の東京、2018年の福島を舞台に、過去に罪を犯し別人に成り代わって生きる男と、彼を追い続ける刑事の30年間にわたる物語が展開。脚本を、ドラマ[絶対零度]シリーズ(10・11・18)などの浜田秀哉、演出をドラマ[最高の離婚(13)]、[いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう(16)]などの並木道子が担当する。
18〜19世紀のフランス革命の時代を舞台にした原作では、一斤のパンを盗んだだけで19年も投獄された男が脱獄後、一人の神父と出会い改心し、別人に名前を変え成功を収めるも、自分を怪しむ警官の追及により正体が暴かれ、再び逃亡する前半。身分を隠して血のつながらない娘を育てあげ、やがて時代の波にのまれていく後半、と30年に渡るダイナミックな展開が描かれる。
日本では[噫無情(あぁ、むじょう)]の題名で黒岩涙香によって翻案。原作はフランス革命後の激動のフランスを生きる人々の姿を描いたが、フジテレビは今回、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災や2011(同23)年の東日本大震災など、さまざまな社会的事象が起こった平成の日本にも当時と類似点があるのではと着目。[レ・ミゼラブル]の精神をシンクロさせつつ、平成の次の時代に踏み出す物語にし、フジテレビ開局60周年特別企画として制作することを決めた。
ディーン・フジオカは別人に成り代わって弁護士として波乱の人生を生き抜く、原作のバルジャンにあたる馬場純(ばば・じゅん)役を、井浦新は馬場を憎しみ執拗に追いつめる、ジャベールにあたる刑事・斎藤涼介役(さいとう・りょうすけ)を演じる。2人は、2015年放送のドラマ[探偵の探偵;フジテレビ系]で共演している。
原作ではバルジャンとジャベールは完全な敵対関係だったが、今作では互いの素性を知らずに信頼関係が築かれてしまう…という展開が見どころだ。
宿命的に対峙することになる2人の男のたぐいまれなる人生を通じて、“平成”という激動の時代における様々な社会的事象を映しながら、暗闇の中でも希望の光を求め多種多様に交差する人々の心情を描く。主人公は、過去に罪を犯し、別人に成り代わって生き抜いた男と、その事件の被害者遺族で彼を生涯追い続けた刑事の2人。追う者と追われる者、互いに一歩も引かない心理戦が展開される。
他、主な登場人物では、病に倒れ幼い娘を純に託すシングルマザー・不破唯を山本美月が熱演。2012年のミュージカル映画でアン・ハサウェイが演じた役に挑戦する。若き日の主人公・馬場純は吉沢亮、純の親友であり物語のキーマンとなる渡辺拓海は村上虹郎が演じる。
また、純が大切に育て上げた血の繋がらない娘・梢に清原果耶、梢と恋に落ちる若手政治家・碓氷慎に松下洸平、怒りを抱える若き日の斎藤涼介に清水尋也、慎へ好意を寄せる女性・田辺瑛里華に福田麻由子がそれぞれ決定。
さらに、長谷川京子は唯(山本美月)に不法な保育料を突き付け、梢(清原果耶)にも辛く当たる女性・田辺真澄、金子ノブアキは唯の夫・田辺元に。富田靖子は純の母・馬場結子、寺脇康文は結子をだましたことで純にあやめられる極悪人・斎藤太に扮する。
往年の俳優陣では、伊武雅刀が元大物代議士で慎の祖父・碓氷太一郎役、かたせ梨乃が息子の涼介を悩ます母・斎藤歌織役に。また、香里奈は馬場純を陰から支える女性・佐山梨沙子役、奥田瑛二は若き日の純を救う自立支援施設の園長・徳田浩章役で物語を支える。
今回、【第1幕】はクランクアップ済みで、【第2幕】と【第3幕】はクランクイン前。
◎ストーリー
【第1幕】未曾有の震災が変えた二人の運命
ある日、殺人犯の少年が刑務所から脱走したとニュースで報じられる。その2年前、17歳の少年・純(吉沢亮)は、母・結子(富田靖子)をだまして全財産を巻き上げた男・斎藤(寺脇康文)をあやめてしまった。少年院に入れられた純は、弟が危篤と聞かされて脱走するが、すでに弟は死亡。
絶望のふちで自殺しかける純は、自立支援施設の園長・徳田(奥田瑛二)に助けられ、身分を隠して暮らし始めることに。そこで、純は弁護士を目指す少年・拓海(村上虹郎)と出会う。
一方で、斎藤の一人息子・涼介は、悪徳な両親とは縁を切って暮らしていた。しかし、父親の殺された理由が投資詐欺だったと世間に知られ、報道被害にあってしまう。
そんな中、平成7年に阪神・淡路大震災が発生。未曾有の大震災が、二人の運命を大きく変えていく…。
【第2幕】&【第3幕】
第2幕は<平成16年(2004年)の東京を舞台に>、第3幕は<平成30年(2018年)の福島が舞台に>
2人の主人公の再会と、阪神大震災で決定的に変わった運命のその後が描かれ、世間から身を隠しながら生きる純と、純を追いかけ続ける涼介、ついに対峙する2人の男。30年にわたる長い旅路に打たれる衝撃的な終止符が描かれる。
▽ディーン・フジオカ コメント
道を間違えた人間は、やり直せるのか。人は人を赦(ゆる)せるのか。華麗なる復讐が終わった後、私は再び世界的名作のリバイバル作品に携わらせていただくこととなりました。フランス文学「レ・ミゼラブル」のストーリーを元に、その舞台を文化や歴史的背景の全く違う日本に移した本作品にて、激動の平成を通して対峙する二人の男の間に存在する情念や、同時代に生きる人々と関わり合いから生まれる様々な感情のやりとりを表現することに徹したいと考えています。「モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―」で同じゴールに向かって一緒に戦い抜いたメンバー、初めてご一緒する並木監督、3年ぶりの共演になる井浦新さんや個性あふれるキャスト、スタッフの皆さんと共に新たな世界的名作シリーズに挑戦できることに喜びを感じています。平成最後の年明けに、平成の30年間を怒涛(どとう)のように駆け抜ける本作品をご覧いただき、次の時代へ歩み出す勇気を感じて取ってもらえる事を願っています。
▽井浦新コメント
30年分の時間をかけてそれぞれの人生が交差していく物語です。その壮大な物語を演じていける、ということに大きなやりがいを感じています。斎藤涼介という男は、驚くほど臆病で、自分の弱い部分を人に見せないためにいろいろな言い訳を周りにも自分にもしてきた男です。たった一つの生きる糧が馬場純への復讐心。その純とどのような反響を見せられるか、とても楽しみにしています。ですので、この役をやるにあたっては、役を固めて芝居に臨むのではなく、現場で生まれてくる熱を最大限に引き出すようにしたいと思っています。壮大だからこそ、なるべく力を抜いて、柔軟にアプローチできたら、と。物語のスケール感、しっかりしたテーマ、身震いするぐらいの共演者の方々……、その中で自分がどんな芝居ができるのか、背筋が伸びる思いと共に、楽しみにしています。
▽山本美月コメント
フジテレビ開局60周年という記念すべきタイミングで「レ・ミゼラブル」という名作に参加させていただけることをとてもうれしく思います。私の演じさせていただく不破唯の短い人生の中で、母親として娘を想い、強く生きる姿を表現出来たらと思います。
▽吉沢亮コメント
ディーン・フジオカさん演じる主人公の少年時代を演じました。身長差がどうとか言われそうですが、もう演じました。全部で1週間ほどの撮影日数でしたが、毎日が濃厚で、映画一本撮ったくらいの達成感と疲労感。そしてキャスト、スタッフ、並木監督、是非またご一緒させていただきたいと思える素晴らしい方々と過ごした時間は至福でした。他人から愛情を向けられるのはこんなにも痛いのかと、その痛みをいつまでも感じられる人間でいたいと改めて思わせられる作品かなと思います。お楽しみに。
▽村上虹郎コメント
このお話をいただいた際には危なっかしくてとんでもない船だなと思いつつ、夏にロンドンで本場の「レ・ミゼラブル」を見ていたのもあり、縁を感じて乗り込んでみました。まさか設定が神戸弁で来るなんて。大胆に日本版として書き換えられた本が素敵で泣きました。渡辺拓海という男は金髪の不良なのに司法試験の勉強をしているというオリジナルなキャラクターですが、重要な存在として出てきます。この超大作でガツンと新年早々気合い入れていきましょう。皆様よろしくお願い致します。
▽清原果耶コメント
馬場純の娘・梢役で出演することになりました、清原果耶です。名作「レ・ミゼラブル」の世界をお借りし、作っていくこの作品がどのようなものになるのかとても楽しみです。そして、錚々(そうそう)たるキャストの皆さんと共にこの作品に参加させていただけることを光栄に思います。壮絶な人生を生き抜いてきた血のつながりがない父・馬場純に大切に育てられてきた、純な心を持つ梢の意思を素直に表現出来ればと思います。
▽松下洸平コメント
あの大作を現代ドラマ化するという企画を伺った時は驚きましたが、更に驚いたのは、頂いた台本が映し出す日本の激動と「レ・ミゼラブル」の世界が見事に交わり合っていたと言う事です。僕は原作に登場するマリウスという革命家をモデルにした若き政治家、碓氷慎を演じさせていただきます。この作品の一部になれる事を光栄に感じますし、新しい年の始まりにふさわしい、これまでにない現代版「レ・ミゼラブル」が多くの方に届く様、精一杯務めさせていただきます。
▽長谷川京子コメント
わたしが演じさせて頂く役は一言で言うと……“強欲”な女です(笑)。救いようもない、全く共感出来ない人物をどう自分に引き寄せるか。考えるだけでワクワクしています。映画版「レ・ミゼラブル」は大好きな作品で、公開当時は続けて3度見に行ったほどです。今回参加出来ること、とてもうれしく思います。
▽金子ノブアキ コメント
今まで演じてきた悪役の中でもかなりタチの悪い男ですが、楽しみながら作り上げたいと思います。この記念碑的作品に参加できる事をうれしく思います!
▽伊武雅刀コメント
今回は政治家の役です。国民のために働く人間です。国を良くする信念の前に立ちはだかる些末(さまつ)な事は冷徹に切り捨てます。老獪(ろうかい)、冷酷、人誑(たら)し。統率力、実行力、判断力を駆使して組織をまとめる豪腕さ。はっきり言ってあまりお近付きになりたくない人物です。しかし役者である以上与えられた役はこなさなければならない。ああ無情。今回は嫌われようが憎まれようが、主人公の前に巨大な壁となって行く手を阻むつもりです。可愛い孫のために。
▽かたせ梨乃コメント
自分とは正反対で、今までやった事が無いぐらい、ものすごく薄幸な役です。まさか自分がこのような役をやらせていただけるとは思ってもおりませんでした。誰かに依存しないと生きていけない女性で、その誰かを失い、家族が崩壊して、自分も崩壊してしまう。心の中に刻み込まれた後悔を抱えながら何もできず、乗り越えられない……。物語は震災という動乱に巻き込まれて、自分の意思ではどうにもならず、進む方向が変わってしまった人々。その懸命な生き様が描かれており、心ヒリヒリする作品になるのではと期待しています。
▽香里奈コメント
この度、佐山梨沙子役をやらせていただくことになりました。本作の中で、梨沙子は小料理屋で働いている女性になりますが、主人公やその周りの人達とどのような関係性なのか、そしてどのような“秘密”をもった人物なのかも注目して見ていただけたらと思います。そして今回、時間経過がありそれぞれの役年齢も変わっていく中で、キャラクターがどのように変化していくかも、とても楽しみにしています。スタッフ、共演者の皆様と共に、心に響くような作品を作っていけたらと思っています!!
▽奥田瑛二コメント
人は結局、誰を信じて、誰を守るか…強い信念で主人公、若者たちの道しるべとなる役どころである。久しぶりの難役だ。心砕いて信愛を注ぐ、目に見える手を差し伸べるのではなく強く生きるべく方向を示す。重大な問題を抱え、どっちの道に進むか迷った時……「難しい方を選ぶ。無理やと思う方を選ぶ…それが大体、正解や」と言う。自分に嘘(うそ)がつけない役である…ただいま静かに奮闘中!
▽プロデュース・太田大(フジテレビ第一制作室)コメント
・企画意図について
平成最後の年明けとなる2019年の新春。一つの時代が終わり、裏を返せば新しい時代の幕開けでもあるこのタイミングに、希望を感じられる物語をお贈りしたいと思いました。そこで真っ先に思い浮かべたのが『レ・ミゼラブル』でした。19世紀のフランスを舞台に、過去の罪から逃れられなかった主人公をはじめ、逆境の中で生きる人々を描いた「レ・ミゼラブル(=惨めな人々)」は、タイトルの通り、日本では『あぁ無情』という題名に訳されるほど辛い物語です。しかし、その根底には、フランス革命に向かい志半ばで倒れていく市民たちが思い描いた夢と希望が詰まっている熱い物語でもあります。未曾有の震災や災害をいくつも経験、前代未聞の犯罪が多発、景気は乱高下、激動の時代だった平成。いまこの時代に生きている人々は荒波を生き抜いてきたということでもあります。そんな平成という時代を振り返りつつ、これから来る新しい時代に踏み出すための光と希望の物語を紡ぐうえで、「レ・ミゼラブル」の精神がシンクロすると考え、企画致しました。
・今作の見どころ
原作の主人公、ジャン・バルジャンと、彼を執拗に追い続けるジャベール警部。原作では、完全なる敵対が描かれますが、この二人の間に、互いの素性を知らずに信頼関係が築かれてしまったとしたら、という観点が今回の現代日本版の『レ・ミゼラブル』の見所です。一度は心を許し、友情が結ばれそうになった関係性なのに、実は最も憎むべき相手だった。二人の間に訪れるのは光か断絶か…。追う者・追われる者の、手に汗握る攻防と心理戦とともにご注目ください。
・ディーン・フジオカ起用理由
『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』で、ヴァンパイア並みに仮面を被った美しき復讐鬼を演じ切って頂いたあとに再びご一緒するならば、正反対の人間臭い“素のまま”の人物を演じていただきたいと思っていました。今回の主人公・馬場純の数奇な運命に翻弄され、葛藤を続ける役柄は、まさにそれに当たると考え、お願いさせていただきました。
・井浦新起用理由
馬場純を生涯追い続けることになる、もう一人の主人公・斎藤涼介には、執念深い因縁の相手としての渋みと迫力の中にも、言葉数が少なくとも信頼関係を築きあうにふさわしい包容力と温かみが必要でした。知的で、冷静さの中に強い情熱を感じさせる井浦さんならば、この役柄をリアルに具現化していただけると考え、お願いさせていただきました。