スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

呼んでよ、


俺の名前、呼んでよ

毎日、修業頑張るから

殴られても、蹴られても泣かないから

強くなるから、だから、



俺の名前を

な ま え を …?



――ああ、そうだった



俺…まだ名前貰ってないや

いつも侮蔑だか嘲笑だかを含んだ呼び方されるけど

名前、無いや





――じゃあ、俺は誰なの?





名前がないと誰にもなれない
自分にも、なれないよ

ねぇ、誰か、



身体中が痛い

嫌だ、もう嫌だ

俺、いらない子だったのかな

弱いから、すぐ泣くから、だから名前も貰えないのかな



誰か、俺を、―――






「君はいらない子なんかじゃないよ。これから君の名前は、―――」






「――ルーク!」





目を開けると、レンが俺の顔を覗き込んでるのが見えた。かなり近い。だがよくある事だから特に驚きもしないが。

ああ、俺は夢見てたのか。懐かしい…昔の夢、か……。

俺はゆっくりと体を起こし、レンの頭を撫でる。



「なんだよこんな夜中に。言っとくが夜食なんかねぇぞ」

「ちげぇよ!俺だって寝てたし!ルークが魘されてたから起こしたんだよ!」



言われて、自分が悪夢に魘されてた事に気づく。
確かに嫌な夢ではあった。『途中まで』は。



「大丈夫だよ、ありがとなレン」

「うん…でもさ、なんか起きる寸前に急に表情和らいだけどどんな夢だったんだ?」

「あ?あー…」



夢の中、酷く暗く息苦しい空間から俺を連れ出してくれた、声。
暖かく、優しい…今はもう聞きなれた声。



「…神様が助けてくれた」

「は?なんだよそれ…あ!!さては、はぐらかす気だな!?」

「いいからガキは寝ろ。ちゃんと寝ないと身長伸びねぇぞチビ」

「チビ言うなぁ!!!」


あの時、俺に名前をくれた。
笑って、優しい声で名前を呼んでくれた。

俺の、大切なパートナー

隣のベッドで布団にくるまって寝ているその顔を優しく撫でて、その安らかな寝顔に自然と笑みが零れた。



「おやすみ、雪華」



俺の大切なパートナーであり、大切なマスター

俺がどんなに邪険にしても、素直じゃなくても、俺を見捨てなかった

ずっと側で微笑んでくれた

『あの事件』が起きてからも、側に居させてくれた

笑って、名前を呼んでくれた


だから俺は、大切なマスターを、ずっとその側で守ると決めた




――どうかその寝顔が、いつまでも安らかなものであるようにと願う








**********
意味不明←
前の記事へ 次の記事へ