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アリスと夢の住人とY

「決められる?女王って?」
「…女王はこの世界の長よ。この世界は彼女の物。道だって彼女の物になってる場所だってあるわ。」

今度はJの形の煙が迫ってくる。
また煙でむせるアリス。

「そいつの命令で名前を配布してるのはわかった。けど何故本当の名前を使ってはいけないんだ?」
「……夢から醒めてしまうから…」

今度はUの形の煙。
どうやら話の文頭の頭文字らしい。

「けほっけほっ…やっぱり此処は夢の世界なんだな…!!」
「正確には死ぬって言われてる。」
「え!??夢なのにか!??」
「夢から醒めるのに代わりはないけれど、相手の本当の名前を言うと、捕らえられて処刑される。女王の目の前で」
「白兎の配下にビルって奴が居たんだけど、そいつに名前を聞かれたんだ」
「……名前は自分で言ってもダメ。よかったわね。貴方は運がいいわ。」

Nの形の煙が襲ってくる。
相変わらずこのタバコの煙は毒々しい…コロコロ変わるところからも危ない…

「トゥィートルダムが、トゥィートルディーに名前を言われて、何か衝撃波のような物が現れたんだが…あれは?」
「やっぱり使ったわねあの双子…それは魂の光なの。あれは燃えてるのよ。」
「…それで火傷したんだ。やっぱり…けどトゥィートルダムは消えなかったぞ?」
「此処での名前を言うと此処での役割を思い出して消えなくなるの。でも早めに言わないと消えてしまうから。それは覚えておいて。」

(アイツ等無事だったんだな…けど女王配下に連れてかれるんだったな…白兎もそこに行ってるんだし、結局俺の目的地は城なんだ。そんとき助けてやらないと…俺がまいた種だしな)

「あとさ。巨大化とか出来るのって俺だけ?」
「もう今は皆できないわ。狂ってしまったから。貴方は狂ってないから出来るの。!そうだわ!!コツを教えてあげる。どうせ困ってるんでしょ?」

と、突然キャタピラの体が変形し始めた。
キャタピラは蝶の体になった。

(うん、芋虫よりは何倍いい)

「じゃあいくわよ!」

ガシッ

「え?あ!?何処に!!!」
「すぐそこよ。キノコのあるとこまで」
「キノコ!?何でキノコ!!!ってぎゃー!!!飛んでる!!!」

────

そのあと、ちゃんとキノコで練習をしたアリス。
右のキノコを食べると大きくなり、左のキノコを食べると小さくなるらしい。
交互に食べて程よく調節しろとのこと。
巨大化は他の方法でも元に戻れるが、その方法は突然起きるから説明できない。むしろ運なんだとか。

「腹いっぱーい…けどキノコかよ〜食った気しねー」
「贅沢言うんじゃないよ。巨大化の対処法に、腹ごしらえ、一石二鳥じゃないの」
「う〜ん…まぁな。会ってすぐなのにこんなに世話になって悪かったな。バタフライ。」
「あら、そういえばもうキャタピラじゃないわねこれじゃ。それに楽しかったわよ。久しぶりにいっぱい話せて大満足よ」
「ありがとうバタフライ」
「…やっぱり城に行くのね…」
「嗚呼。白兎とも女王とも色々話したいこといっぱいあるしな。」
「……白兎も此処にいる皆は、最初は貴方みたいに城を目指してきた"人"だったのよ」
「!!」
「けど…名前を与えてから、何かしらの理由でその名前の"役"に成り下がる事が殆どよ。皆その"役"に満足しているけれど」
「じゃあアリスはどんな"役"になるんだ?」
「…自分で確かめなさい。けどあたしは貴方に似合うと思うわよ。」
「…そっか!ならいい"役"になるようにするぜ」
「城への道ならチェシャ猫に聞くといいわ。チェシャ猫はフザケてる奴だけど、ちゃんと役に立つわよ。生憎あたしはチェシャ猫の場所しか教えられないんだよ。」
「そういう役だからだよな?」
「ええ。だから此処からは頑張ってね。」
「またな!バタフライ!!」

また顔面に煙が当たった。
Sの形だった。

─────

今度は鳥に蛇呼ばわりされたアリス。
カッとなって巨大化して脅してやったら、卵を抱えて逃げていった。

「本当にこの世界の奴らは!!」
「そうカリカリしないでよお嬢さん。」

後ろから陽気な声がした。

・・・next?
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