スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

アリスと夢の住人とZ

「お前がチェシャ猫か?」
「そ、俺が様よ」

振り向いたら、木の上にふせの状態でこちらを伺う、猫耳と大きな尻尾を生やした、全体紫とピンクのしましまなチェシャ猫がいた。

「やたら態度でかいなお前」
「偉いも〜ん俺。少なくともお嬢さんよりは〜」

(いっぺんど突いたろかこいつ!!)

「君名前は貰った?」
アリスを貰った。城に行く道を、キャタピラ…今はバタフライに聞いたらお前に聞けと言われた。」
「お〜!!キャタピラやっとバタフライになったのか!!長かったな〜マンネリし過ぎてたからな〜よかったよかった」
「それで、城へは何処から行けばいい?」
「ど〜しよっかな〜此処までこれたら自分で行けそうじゃん。俺そこまでする義理ないもん」
「…嗚呼そうかよ。じゃあお前に会うことはないだろう。さようなら」

どすどすどすどすどすどす

「あっれ〜?怒った〜?」

チェシャ猫はいきなり消えたかと思ったら、すぐ横に現れた。

「……」
「え〜!!無視はやめてよ!!泣いちゃうよ俺!!」
「泣けばいいだろ。」
「やだよ〜泣いたらどっかの誰かさんみたいに洪水おこしちゃうから〜」
イラッ「……何でついてくる」
「いや、アリスが俺の行く方向についてきてるんじゃん。」
「お前いい加減にしろ!!!どんだけ人をおちょくれば気が済む!???」
「へへっ飽きるまで〜」
「…呆れた」

アリスは大きなため息をついた。チェシャ猫は相変わらずニヤニヤ笑っている。
気味が悪いくらいに。

「ねぇねぇ〜何で城なんて目指してんの?」
「白兎と女王に会うために」
「なんで?」
「白兎をペットにでもしてやろうと。」
「けど白兎は女王のペットだよ〜?」
「奪うっていうのも楽しいんだぞ。」
「ふ〜ん。女王は?」
「此処がどんなところで何のためにあるのかを聞くために。此処の住人は毎日何をしているのか。…この世界の持ち主ならわかるだろ。」
「…そんなことが知りたいの?物好きだね。」
「俺は真っ当な事を言っていると思うが?」

「この世界は現実から逃げた負け犬共が傷を舐め合って生活している狂った世界。この世界の住人は皆狂ってるんだ。」

「…現実から…逃げた?」
「そ、虐めを受けて引きこもった奴。親が殺されて狂った奴。その他諸々の理由で此処にきてしまうんだ。狂ったら皆苦しんでた事も忘れちゃうんだ。"役"があるし、本当の名前で呼ばれることもないからね。」
「……」
「誰も帰ろうとしない。帰る理由なんてない。それどころか、最初からこの世界に居たと思っている。…俺もどんなことがあって此処にきたのか忘れちゃったし〜」

(じゃあ白兎も女王もバタフライもトゥィートルディーもトゥィートルダムもドードー鳥もビルも…俺も…皆現実から逃げて此処に来たって言うのか?)

「アリスはどんな理由で此処に来ちゃったの?」

「おっ…俺は…?」
「にひひ!大丈夫〜詮索するつもりないからさ〜」
「………質問していいか?」
「ん〜?なになに〜?」
「白兎って…目の病気か何かがあるのか?」
「あ〜見ちゃったんだ〜」
「…とても恐ろしかった…」
「う〜ん…白兎の仕事モードみたいな?白兎は"役"に頼るようになってから、二重人格みたいになったんだよ。普段は優しい青年。けど仕事の時は誰よりも狂ってるかもね。」
「…二重人格な感じはあったな…けどそんなになるほどの仕事って?」

処刑人だよ!!」

アリスはその場で硬直した。
もし、白兎を追いかけて下手なことをすれば、その白兎に処刑されていたかもしれないと考えるとぞっとした。

(元はと言えば、アイツを追いかけて此処に来たんだから…可能性は…)

「…白兎の主人格は…?」
「さぁね。」
「……」
「ほら、お茶でも飲んできなよ。待ってるから」

チェシャ猫が指さした方には、"お誕生日じゃない日万歳!お茶会はコッチ!!→"とかかれた看板が立っていた。

・・・next?
前の記事へ 次の記事へ