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アリスと夢の住人と[

「いつのまにこんなところに…?チェシャ猫?」

チェシャ猫はもう居なくなっていた。いや、消えていた。
わかりやすく耳としっぽを最後までゆっくり消していった。

「…ご丁寧だなぁ…」

アリスは柵で囲まれた、外でのお茶会に入れて貰うことにした。
柵の中は、長いテーブルにイスがいくつも並んでいる状態だった。食堂の中をそのまま外に出したような空間。

「ありゃ?お客さん??」
「あ…どうもアリスです。」
「…貴方には招待状を出してないはずだけど…?」

一番奥の方のイスに座っている二人(一人と一匹)を発見した。
コッチに気づいた方は、茶色のうさぎ耳を生やした女の子。
二番目に口を開いたのは、帽子をかぶった男。
二人とも俺と同い年くらいだ。

「貰ってないとダメなのか?」
「ホントはね〜けど見ての通り誰もいないからいいと思うよ〜ね!帽子屋さん?」
「まぁね。どうぞ、そこにかけて。アールグレイしかないけどいい?」
「嗚呼、貰う。」

(…あーる…ぐれーってなんだ?Rが灰色なのか??)

「はい。アリスに回して。」
「わかった〜!!はいっ!アリス!!」
「お、ありがと…「そーいえばまだ名前言ってなかったね〜」

ひょいっ

うさ耳の彼女はアリスが紅茶を受け取る前に遠ざけてしまった。

(?…まぁいいか)

「三月ウサギって名前を貰ったんだ!」
「俺は帽子屋って名前を貰った。気に入ってはいないけどね」
「あと、あそこの。」
「あそこ…?」

帽子屋がちらりと見た方には、巨大なポットがあった。
いきなりフタがカタカタ鳴り、開いた。

「…僕は…眠りネズミ…だから…寝ます…ムニャムニャ」
「はっ…はぁ…」
「アイツはいつもあんななんだ。」
「けど淹れたてのティーは冷める前に飲むんだよ〜」

(夢の世界でも寝れるんだ…へー…てかマジでポットでかっ!!)

「…余程おいしいんだな…」
「うん!すっごく美味しいよ!!あっ渡してなかったね〜」
「あ…ありがと…「やっぱりティーは帽子屋さんに入れて貰う方がいいよ〜自分でやるとなんか違うもん。」

ひょいっ

イラッ(こいつ…まさかわざとやってないだろうな…?)

「毎日淹れてればコツも掴めてくるだろうよ。…それより」

『早く飲まないの?冷めるよ?』

「〜〜っだぁああーっ!!!渡してくれないのはどっちだよぉぉ!!!」
「あれ?そうだっけ?」
「全然覚えてないけど?」
「このやろぉ〜…!!」
「まぁまぁ、ケーキでも食べようか。」
「さんせー!!」
「ちくしょっ!話をかえんな!」
「ムニャムニャ…ケーキ…?…ケーキばんざーー…い…」
「こら!それは俺の手!ケーキはコッチ。」

眠りネズミがいきなり動き出したと思ったら、フォークで帽子屋の手を刺しそうになった。
目を瞑りながらケーキを刺そうとするからこうなるんだ。

(うわぁ…だから左手に包帯巻いてあるんだー…グロテスクー…)

「お大事に…」
「え?嗚呼、どうも。けどこんなのジャム塗ってれば治るから。」
「…ジャム…?」
「うん!ストロベリージャムだよ!!」

(嗚呼…コイツらも狂ってんだったな、納得…けど刺し傷にジャムか…またまたグロテスク)

「チェシャ猫の言ったとおりだな…ははっ」

「ムニャ!"猫"!!!?」

眠りネズミの入っているポットがガタガタ揺れ始めた。
どうやら眠りネズミは興奮しているみたいだった。

「わわっ!!やばい!!!」
「アリス!!早くジャムを!!」
「え?えっ何?何事!?」
『いいから早く!!!』
「わっわかった…ほら」
「眠りネズミ!鼻出して!!」

ぺちゃっ!!

「うぅぅ…ムニャムニャ」
「コレで一安心だね〜…」
「え?はい?」

眠りネズミは何事もなかったようにまた眠り始めた。

・・・next?
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