※三年でよく分からない妖怪モノ似非ファンタジーです。
苦手な方はお戻り下さい!
真面目で品行方正で問題を起こさない子ども
それが俺
毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日同じことを繰り返すだけのつまらない日常から抜け出したくなったのは昨日
そして何の計画も無しに何時間も電車に揺られて着いた知らない駅から見えた古ぼけた神社を探索しているのは今日
我ながらたいした決断力だと思う
それにしても・・・・
「何も無いな」
その神社は確かに古いが特に変わった所は無い
「そもそも俺は何でこんな所に来たんだ?」
今更そう考えても答えが見つかるはずもないのに
「・・・・帰るか」
馬鹿みたいだ
そう呟きながら神社に背を向けて登ってきた長い階段を降りようとした・・・が
「階段が・・・無い!?」
嘘だろ!?階段があった場所は巨大な壁で塞がれていた
「何で・・・一体何が・・・だっ誰か!!」
人なんかいるはずが無いと分かっていても叫ばずにはいられなかった
「誰かいませんか!?」
ここには俺しかいないのに
助けを求めても無駄だと分かってるはずなのに
「呼んだか?」
・・・え?
今確かに人の声が・・・
声がする方を見るとそこには一人の小さな少年がいた
「きっ君は?一体何処から・・・?」
「お前が呼んだから来たんだぞ」「呼んだから来たって・・・君はこの辺りの子なの?」
「ああ!」
「じゃあ帰り道教えてくれな・・・」
「左門!!やっと見つけたぞこの野郎!!!次屋といいお前といい何でこんなに迷子になるんだ!?」
「よっ左門、あれそいつ新入り?」
俺の言葉は突然現れた狐のような耳を付けた前髪が大きく左右に分かれた少年の怒声と額から角を生やしたどこか飄々とした背の高い少年の軽い口調の言葉で遮られた
ん・・・?耳と角?
「えぇ!!?その耳っ・・・と角!?」
「お前、まさか人間か!?」
狐のような耳を付けた少年が驚いた風に俺に問いかけた
「左門が連れてきたのか?」
「違うぞ!」
その後ろでは角を生やした少年と左門という名前らしいさっきの少年が話をしていた
耳や角なんて普通の人間には無い
つまり彼らは人間じゃない・・・?
「あああっあの!俺っただ迷っただけで・・・その帰り道さえ教えてくれたら帰るんで!!だからっ」
「帰り道なんて無いぞ!」
左門・・・くんがそう答えた
帰り道が無い!?
じゃあどうやって帰ればいいんだ!?
「どうするんだ?」
「俺たちじゃどうにも出来ねぇよ・・・人間がコッチに入ってくるなんて初めての事なんだから」
「じゃあ孫兵の所に連れてくか」
そう言うと角を生やした少年は俺を軽々と持ち上げ、俺はまるで母猫にくわえられた仔猫のような格好になってしまった
「えぇ!!?ちょっ!?」
確かに背は向こうの方が高いが同い年くらいの少年を片手で持ち上げるなんてやっぱり人間技じゃない!
「何驚いてるんだ?」
「当たり前だろ!片手で人持ち上げるなんてあり得ないだろ!!」
「そうなのか?俺、鬼だからよく分かんねぇんだけど」
は?
今何て言った?
『俺、鬼だから』
「おっ・・・・鬼ぃい!!?」
「うぉ!?いきなり叫ぶなよ」
「だって鬼って!?本当に鬼なのか!?」
「鬼だけど」
嘘だろ!?
鬼なんて物語にしか出てこない存在だろ!
いやでも本人は鬼だって言ってるし・・・
この怪力も鬼だからか!?
「おい!着いたぞ」
混乱状態の俺に狐の耳を付けた少年が呼びかけた
目の前には立派な神殿のような建物が建っていた
「ここは?」
「孫兵・・・ココの主の家みたいなもんだ。おら行くぞ」一応目上の人(?)の家なのに3人はズカズカと上がり込んでいく
そして質素ではあるのにどこか華麗さがある不思議な豪華さを感じさせる建物の一番奥でこの場所の主はいた
「よく来たな」
そう言って薄く笑う俺やこの3人とほとんど同じ年頃に見えるココの主は一言で言うと美人だ
白い肌や整った顔立ち・・・クラスの女子が見たらきっと大騒ぎになるな
一見(ある意味普通じゃないけど)普通の人間に見えるこの主だがただ一つ普通じゃないと思わせる物がある
それは
「ジュンコも君に会えて嬉しいそうだ」
「シャー!」
その首に巻いた真っ赤ないかにも毒々しい蛇だ
「あの・・・」
「何だ?」
「俺早く帰りたいんです!ココの主なら帰り道くらい知ってますよね!?」
「知っているが」
さっきは無いって言われたけどやっぱり有るじゃないか!!
やっとこれでこんな変な所から帰れるんだ!!
「じゃっじゃあその道を・・・」
「何故帰りたいんだ?」
「は?何故ってそれは・・・」
「お前は非日常を望んでいた。だからコチラへ呼んでやったのに何故日常へ戻りたがるんだ?」
呼んで・・・やった?
「まさか俺がココへ来たのは君の仕業なのか!?」
「仕業とは失礼だな。僕は土地神だ。僕の土地で君が願ったからそれを叶えた・・・それだけだ」
「土地神って・・・神様なのか!?」
「そうだ」
「じゃあココは神様の世界なのか!?もしかして俺はあそこで死んで死後の世界に・・・!?」
「安心しろ君は死んではいない。ココは常世の世界。この世とあの世の狭間の世界だ。君は今君たち人間が『神隠し』と呼んでいる物あっていると思ってくれ」
「神隠しって・・・え゛ぇ!?」
つまりこのまま帰らなかったらきっと両親が捜索願いを出して世間でニュースになって・・・・
「ヤバいヤバいヤバい・・・・早く帰らないと!」
「さっきから聞いてれば帰りたい帰りたいって自分から来たいって願っておいて勝手すぎるんじゃない?」
突然聞き覚えのない声が会話に混ざってきた
よく見ると俺を連れてきた3人とココの主の他に見覚えがない紫色の髪で不思議な前髪をしたこれまた俺たちと同年代くらいの少年がいた
「数馬か」
「ねぇ孫兵こいつなんなの?人間だよね?」
「彼は浦風藤内という名の新入りだよ」
「何で名前を!?ていうか新入りって!!?」