ついでと言っては何ですが、深泥池での話。

自分が直接体験したのはごく一部です。 ほとんどが後に聞いた話になるので、できるだけ補完しながら書きますが分かりにくい所はご勘弁。

当時、俺は高校生で深夜のガソリンスタンドでバイトしていた。(このスタンドも不思議な事が起きる所だった。) バイト先は社員・アルバイト問わず皆仲良くてよく一緒にご飯を食べに行ったり遊びに行ったりしていた。

季節は確か夏になる前だったと思う。 その日は週末で自分は早番のシフトだったので夜の8時に仕事が終わった。 ちょうどその時一緒のシフトだった社員のEさんの彼女と俺の友達のTがスタンドに来ていた。 仕事終わりに皆で晩ご飯に行こうという事になった。 俺とT、EさんとEさんの彼女の4人でEさんの車に乗って市内の北の方にあるお店に行く事になった。 そのお店は大皿でパスタを出している店でおいしくてボリューム満点、その上値段もリーズナブルで人気のある店だった。 それで仲間内でも評判が良く、いつも利用している店だった。

 

お店に着くとさすがに週末なので何組かのお客さんが順番待ちをしていた。 店員に声をかけて順番を取ろうとしたら順番待ちの中にEさんの友人グループがいた。 それで合流して一緒に入ろうという事になった。

合流したメンバーは俺とT、Eさんと彼女、Eさんの友人Aさんとその彼女、Aさんの友人のBさんとその彼女、それからもう一人の女の子のCさんの合計9人で大皿料理を囲んでワイワイと食事をした。 AさんとBさんは地方出身者で、京都の地理に疎くて遊びに行く所を探すのが大変だと言っていた。 かなりの時間店にいて話も楽しく盛り上がり、この後はどうしよう?という事になった。 Eさんが「丁度ここから近いから深泥池に肝試しにでも行くか?」って冗談ぽく言ったら、AさんとBさんがそれに何故かがっちり食いついてしまった。 俺は凄く嫌だった。女性陣も最初は嫌がっていたんだけど、何だかんだで押し切られて肝試しに行く事となってしまった。

 

車2台に分乗して深泥池に向かった。 車を博愛会病院寄りの道路脇に停め、Eさん達はノリノリでさあ行こうかって事になった。 だけど、俺は本当に行きたくなかった。Tも行きたくねぇって感じだったので2人で待ってると言うと、ヘタレとか根性無しとかもう散々な言われようだった。 その時Cさんが「私、今日は踵の高い靴履いてるし、あんなとこ入って行けないからここで待ってる。」と言い出したので是幸いと「こんなところで女の子を一人で待たせるわけにはいかない。」とかなんとか言い張って結局行かずに済んだ。

後の6人はノリノリで「じゃあ、ちょっくら行って来るわーwww」とか「帰って来なかったら迎えに来てやw頼むでwww」などと軽いノリで入って行った。 しばらく3人で話をして待っていた。 夏も近いはずのにあの辺は夜になると何故か肌寒い。 30分程経ったかというころに深泥池の脇の草むらがガサガサと鳴り出した。 俺達3人は驚いて一瞬会話が止まった。 だが、皆が帰って来てこっちを怖がらせようとしてるんだろうと思い、「はいはい、おかえり。もうバレてるってwww」とか声を掛けたけど返事が無かった。 3人ともちょっと怖かったが、とりあえず野良猫か何かだという事にして納得しておいた。実際、野良猫だったんだろうけど。


それからしばらくして、Eさんの呼ぶ声が聞こえたので深泥池の際まで行ってみると皆帰って来ていた。 何故かBさんがずぶ濡れの泥まみれになっていた。Eさんが言うにはBさんが足を滑らせてコケたという事なんだが、Bさんは「思いっきり引っ張られた。」と言い張っていた。 俺達が「またまた、どうせEさんとAさんがふざけて押したか何かしたんやろう。」と言うとBさんは「押されてもそうそうこけたりしない。」と言う。 確かにBさんはアメフトをやっていただけあって大柄のがっちり体型だった。