とにかく泥が臭かったので綺麗にしないと車に乗れなかった。 近くのコンビニで水を買って来てもらいBさんは頭から水をかぶって泥を洗い流した。 しばらくするとBさんが肌寒い所に水をかぶったので寒い寒いと言い出した。 仕方ないので帰ろうと言う事になりその日は解散となった。

 

それから2日後、Eさんと同じシフトになった時にグダグダで解散になったあの日の事を聞いてみた。

深泥池沿いの右方向に踏み分けた道があるのでそっちへ進んで行ったんだそうだ。 男性陣は彼女もいる手前、「別にたいした事無いなあ。」とか強がりを言いながらウロウロしていた。 しばらくしたら池の方から水面を「パシャーン、パシャーン」と何かが撥ねる様な音が聞こえて来たらしい。 皆で「幽霊と違う?」とか「鯉か何かが撥ねたんやろ。」とか言っていたらまた、「パシャーン、パシャーン」と聞こえて来たらしい。 女性陣が怖いからもう帰ろうと騒ぎ出した。 そこでAさんが「大した事無いって。魚やって。」と言って石を拾い、音がしたと思われる方へ投げたそうだ。 石が水面に落ちてボチャンと音を立てると「パシャーン、パシャーン」が止まったそうだ。 女性陣が帰りたがっていたので、もう帰ろうと言って引き返し始めた所、Bさんが「うわっ!!」と叫んだ途端、池の方へよろめいてハマったらしい。 それで、慌てて泥まみれのBさんを引き上げて帰って来たとの事だった。 実際には池の側にいたのは15分から20分足らずの事だったらしい。 Aさん曰く、「パシャーン、パシャーン」が魚の撥ねる音じゃない感じがして怖かったそうだ。

 

ここからはEさんが友人のAさんから聞いたと言って話してくれた事。

あの日、俺達と別れたAさん一行はとりあえず寒がるBさんを家に送り届けたらしい。 それからBさんは風邪を引いたらしく2日ほど悪寒が止まらず、仕方なしに病院に行ったそうだ。 病院で薬をもらい何とか仕事をしていたそうだが、ある時どうにも気分が悪く職場のトイレで吐いたそうだ。 普通なら食べた物とか胃液とかが出そうな物だが、ただの水の様な透明のものがジャージャーと出たらしい。 それがしばらく続いて物凄くしんどかったそうだ。 それでまた病院に行ったんだが、多分ウイルス性の胃腸炎かなんかで大した事無いみたいな事を言われて薬をもらって帰ったそうだ。 それでもあまりに体調の悪いのが続くので、心配したBさんの彼女の勧めで神社で厄落としのお祓いみたいなのをしてもらったそうだ。 それが効いたのか、それとも本当にただの胃腸炎だったのかは分からないが、体調は徐々に良くなったらしい。 それ以降特に変わった事も無いらしいので結局何が原因だったのかは分からずじまいだった。 ただ、京都最恐と言われる心霊スポットを舐めたらいけないと思ったのは事実だ。

自分は実際に被害にあったり、何かを見たりした訳じゃ無い。 実際には大した事の無い話かもしれないが、これが自分の中で一番得体の知れないヤバさを感じた出来事だった。

おわり