高さ3メートルほどのゼリー状のクイールがテルたちの行く手を阻んでいた。

「うえ、気持ち悪っ……」

テルが愚痴をこぼしながら銃弾を放つが、銃弾はスライムに食い込むだけで何のダメージも与えられない。

「5年前はこんな奴いなかったけどな…」

それだけこのスプレコ・ロードの環境は悪化しているのだろう。

「スライムは無造作に斬っちゃダメです。あの心臓部分を斬らないと増え続けます。」

スズカの進言にショウは狙いを定め、大剣を振る。

するとスライムは叫び声を出すとただのやわらかい固形物と化して地面を流れた。

「うわわわ……」

アヤがそのゼリーのようなものを踏まないように避ける。

何度か襲い掛かるクイールを倒しながらスプレコロードを進んでいく5人。

「さぁ着いたようだ。試練の塔に。」

ショウたちの目の前にてっぺんが見えないような巨大なタワーが姿を現した。

「上が見えませんね。」

マユが上を見上げ、そう呟く。

「100階建てにしては高すぎですね……」

スズカも一緒になって上を見上げる。

「入るぞ。」

ショウの後をついて他の4人も塔の中へと入っていく。

するとセントラル1階と同じような風景がテルたちの目に入った。

ただセントラルと根本的に違うのは主体が金ではなくただのコンクリート調であるということだ。

「案外、穏やかそうな場所。」

アヤが言うとおり、フロアは平穏そのものであった。

「あそこが、受付か。」

そう言って正面にあるカウンターへ歩いていくショウ。

「ようこそお越しくださいました。」

受付嬢が丁寧に頭を下げる。

「これを見てやってきたんだが。」

ショウとスズカが先ほどセントラルで貰った紙を渡す。

「チーム4人と個人での受付ですね。了解いたしました。」

そう言って受付嬢が用紙みたいなものを取り出して二人に渡す。

「スズカ様は個人ウノ試験ですのでマチナ2、ショウ様御一行はマチナ12での試験となります。」

受付嬢は用紙を指差しながら説明する。

「会場はそれぞれ2階、12階となりますね。」

「一体何をすればいいんだ?」

「会場に入っていただき、マチナの討伐を行ってもらいます。」

受付嬢はショウの質問に答える。

「討伐と言ってもある程度のダメージを与えたところで終了となります。」

「終了?」

「終了の合図はこちらが放送にてお知らせすると同時にマチナが終了をお知らせしてくれます。」

「便利な機械だな。」

ショウが苦笑いすると受付嬢は微笑み、話を続けた。

「しかし会場内には様々なトラップや討伐対象よりもレベルの低いマチナなどが挑戦者たちのマチナ討伐を阻止いたします。」