アヤの魔法で起こした炎を囲む3人。
ショウが捌いたフォレ・ウルフの肉を火にあぶる。
「ショウって何でもできるんだな。」
「これでも5年、旅を続けているからね。大体の場所は旅したし、いろんな経験も積んだ。その道中で何度も会ったのがさっきのGトラベラーズだ。」
ショウが二人にあぶり終わった肉を渡しながらそう答える。
テルとアヤはそれを受け取った。
「だけどこの山は登ったことないな。前来た時は、普通に北側に抜けてネベ村に行っただけだからな。」
「ネベ村?」
「ネベ村は雪原にある小さな村だよ。近くには氷の神殿があるけどね。」
ショウとテルが肉を食べ始めたのを見て、アヤは一瞬迷いつつも少しかじりついた。
「氷の神殿って?」
「神殿ってのは、オリジン・ルートが眠っている場所よ。だから氷の神殿は氷のオリジン・ルートが眠っている場所よ。」
アヤは案外食べておいしかったのか、上機嫌でそう喋った。
「そう、魔道師・フロストのルートが眠る神殿さ。」
「フロスト……」
なんとなく理解してテルは頷いていた。
そして夕食を終え、後片付けを始める3人。
「ね、ねぇ……」
アヤが突然そう声を出したので二人がアヤのほうを向く。
「どうした?」
「あのテントで……その、3人で寝るの?」
アヤが恐る恐るショウに聞く。
「そうするしかないだろ? あれしかないし、あれ以上はもう運べない。」
確かに、ショウに言われ必要最低限の食料や小道具をカバンに入れてしまうともう何も入らない。
「うそ……」
アヤが頭を抱え込んで座り込む。
「入口側で俺が寝るよ、あとの二人は好きにしてくれ。」
ショウはそう言って何を思ったのか少し笑いながら片づけを続けた。
「……最悪……」
そう呟きながら、アヤはフォレ・ウルフの骨をテルに投げつけた。
「いてっ、何すんだよ!!」
骨はテルの頭に当たり、テルは後頭部をさすりながら振り返ると、再び骨が顔面を襲った。
「……もう!」
アヤは何かイライラするのかそう独り言を呟きながら火の始末を魔法を使ってつけていた。
「ったく……」
テルは慣れてしまったのか、特に反抗することもなく片づけの作業を続けた。