「その刀の使い方、誰に教わったんだ?」

テルの質問にショウが少し表情を曇らせる。

「私の師範はギオバネというソルディで道場を営んでいるお方です。」

スズカが丁寧に説明する。

「じゃあショウも一緒か?」

テルが振り返るとそこにはショウの姿はなかった。

「あれ?」

テルが驚いて辺りをキョロキョロするとショウは一人先に歩いていっていた。

「お、おい!?」

テルがそう声をかけるもショウは振り向かず歩いていく。

「やっぱりショウさんは話していないのですね……」

スズカが悲しい表情をしながら呟いた。

「話していないって何をですか?」

マユがスズカに聞くとスズカは首を横に振る。

「ショウさんが話したくないことを私が言うわけにはいきません。」

寂しそうであったが、スズカははっきりとそう答えた。

「ショウに直接ってことね。」

「でもショウはあんまり自分のこと話さねぇもんなー…」

テルは両手を後頭部にもっていきそう呟く。

「でもきっと、あなた方ならショウさんが自分から全て話すと思います。」

スズカはそう言うと自分で頷き、ショウを追って歩き出した。

「俺も最初は隠してたしな。」

テルはそう呟くと少し微笑んで歩き出した。

それにつられてアヤとマユも歩き出す。



テルたちがスプレコ・ロードを西進している時、ソルディの港には一隻の軍艦が到着していた。

そこから降りてくるのは銀色の甲冑を身につけた兵士たちである。

その兵士たちが左右に並び、道を開けたところを通る一人の女がいた。

背中のマントにはアルファベットのCを芸術的にしたかのようなマークが描かれている。

そう、彼らはレグノ王国と対を成しているインペロ帝国の兵士たちなのだ。

突然の帝国兵の訪問に都民たちは何だ何だと遠めにその光景を眺める。

王国の兵士たちよりもどこか重く固いイメージを抱かせる。

きちんと統制された並びや動き、その雰囲気から帝国兵たちが訓練されていることは見て分かる。

「手はず通り、試練の塔へ向かう。」

先ほど歩いていた甲冑の女は足を止め、そう呟いた。

兵士たちは元気良く返事をすると、再び歩き出したその女性の後ろを並んで歩いていく。

それを見ていた一人の老人がこう呟いた。

「あれこそが帝国最強戦力アルマトラの一人・チサか……」