試着を終えたアヤがカーテンをゆっくり開ける。
するとそこには白いワンピース姿のアヤがいた。
「おぉ、アヤさん可愛いです。」
マユがアヤの姿を見てそう褒める。
「そうかな?」
慣れない服装で恥ずかしそうにするアヤ。
「でもなんかアヤっぽくねぇや。マユみたい。」
テルがそう言うとアヤがむっとした顔でテルを睨む。
「どうせ私には似合わないわよ!」
アヤはカーテンを勢い良く閉めた。
「まったくテルさんは……」
マユは頬を膨らましてテルを睨む。
するとテルが自分を指差し俺?といったジェスチャーをしたのでマユはそのまま頷いた。
「だったらいつもみたいな格好にするから。」
アヤは服を着替えると試着室から出て歩いていく。
それを後ろからついて行くテルとマユ。
アヤは黒いジャケットを物色し始める。
「また黒のジャケットかよ。」
テルがそう言うとアヤが不機嫌そうにテルを睨む。
「あんたが私らしくないって言ったんじゃん。」
アヤはそう言い返し、良いジャケットを見つけると手に取った。
そのジャケットの右袖には赤いベルトが巻かれており、わき腹辺りには銀の装飾とチェーンが3本並んでいる。
「これと……」
そう言いながらアヤは再び歩き出し、白に黒のストライプが入り、ボタン部分が赤くなったワイシャツを手に取って、最後に黒のヒラミニを取り、試着室へ入った。
「アヤさん怒っちゃったじゃないですか。」
マユが寂しそうにそう呟く。
「いつも怒られてばかりな気がするけどな……」
テルはそう呟いて苦笑いをした。
そうこうしている内に着替え終わったアヤがカーテンを開ける。
そこには先ほどまでリボンとして首につけていたものをネクタイのようにつけ、着こなすアヤの姿があった。
「……どう?」
さっきまでの威勢はどこにいったのやら、顔色を伺う様にテルに聞くアヤ。
「……うん、いいと思う。さっきのワンピースも可愛かったし。どっちもいいな。」
照れながら答えるテルとテルの回答に頷くマユ。
テルがそう答えたのを聞くと慌ててカーテンを閉めるアヤ。
「テルさんは先に男性用売場へ行っといて下さい。」
マユは微笑みながらテルにそう言った。
「へ? なんで?」
テルがそう聞くとマユがテルに近寄り、耳元で小さく呟く。
「下着も買うからですよ。一緒にいたらアヤさんが怒ります。」
マユはそう言うと再び微笑んでテルを見る。
テルは意味を理解して、足早に男性用の売り場へ向かった。