一方、1階へ降りたショウとマユ。

しかし1階は帝国兵の来訪により騒然としていた。

「なんだか兵士がいますね…」

マユが背伸びしながら覗きこむ。

するとフロアの中心には兵士に囲まれたアルマトラCのチサが立っていた。

「あいつ……」

「お知り合いですか?」

マユがそう言ってショウを見る頃にはテルはチサに向かって速足で歩き出していた。

「え? あっ……」

マユが慌ててショウを小走りで追いかける。

その頃にはショウは大剣を抜き、チサに斬りかかっていた。

しかし周りの兵士たちが剣を抜き、それを妨げる。

「……ショウか……」

チサがショウであることを確認する。

「止めろ、剣を下ろせ。」

チサがそう命じるとショウに向けていた剣を兵士たちは下ろす。

「チサ、今更何しに来やがった!!」

ショウはそう叫んでチサに斬りかかった。

それに対し、チサは黄金の大剣を抜くとそれを受け止める。

「私と戦うつもりなのか?」

チサはそう呟き、大剣を振りショウを弾く。

その反動でショウは後ろへ跳ぶが、すぐに体勢を立て直すとすぐに大剣を握りしめる。

それに対し、周りの兵士が剣を抜きショウに向けた。

「止めろ、知人だ。邪魔をするな。」

チサの命により、渋々ではあるが兵士たちは剣を納める。

「余裕ぶりやがって……」

ショウはそう呟き、大剣を振り上げる。

「絶遠の……」

「落ち着いてください!」

マユがショウの前に入り、ショウに抱きつく。

それにはっとなったショウが動きを止めた。

「マユ?」

ショウがそう呟きマユの方を見ると、マユは首を左右に激しく振っていた。

「いい仲間を持ったな。」

チサはそう言うと大剣をしまい、ショウを横目に歩いていった。

「クソ、ふざけやがって……」

これまでにないほど感情的になるショウをマユは心配そうに見上げていた。

「チサ……」

ショウのその呟きの奥には怒りではなく寂しさがこもっていたのをマユは感じた。

「悪かったな。」

ショウはマユのほうを見てそう呟くと少し微笑んだ。

それはまぎれもなくいつものショウの雰囲気であった。

「さぁ飯でも買おっか。」

ショウはマユの髪を撫でると歩き出した。

それを小走りで追っていくマユ。



兵士たちの先頭を歩くチサは前を見ながらも小さく呟いた。

「ごめん……ショウ……」