黄金都市・ソルディから西に行くと金の採掘が終わり捨てられた鉱石が並ぶ道がある。

そこはスプレコ・ロードと呼ばれ、金以外の貴重な鉱石が埋まっていることも珍しくない。

そのスプレコ・ロードを西に進んでいくと目的地である試練の塔があるわけである。

「ここが光り輝く黄金都市・ソルディの裏側ってわけだ……」

ショウたち4人とスズカはソルディを出て、スプレコ・ロードへ足を踏み入れた。

「これって……」

そう呟きながら、テルは捨てられた大きな鉱石に触れる。

「金の抽出かルートの発掘を終えた鉱石です。つまりゴミですね。」

スズカがテルの疑問に対し、説明を入れる。

「華やかな物の裏にはこういうものがつき物さ。」

ショウはそう呟くと近くにあった鉱石に触れる。

「わ、きれい……」

巨大な鉱石の淵にくっついている緑色の石を見てアヤがついうっとりする。

「それはエメラルドだな。」

「えっ? エメラルドも捨てちゃうんですか!?」

マユがビックリした顔をしてショウに聞く。

「そうだ、捨てるんだ。だからゴミが増える。」

ショウは苦笑いしながら答える。

「ソルディでは金とルート以外の金属・石は価値を持たないのです。」

「えー、もったいねえ! これ取れねぇかな……」

テルがそう言ってエメラルドを引っ張る。

「私にお任せください。」

スズカがそう言って刀を抜く。

テルは少し驚いた表情を見せながらも離れる。

刀の刃が綺麗に空を斬ったかと思うと、エメラルドはゆっくりと鉱石から切り離され、地面を転がる。

「おー、すげー。」

テルはスズカの綺麗な刀捌きに感心する。

「うまくなったな。」

ショウも5年前のスズカと重ね、感心する。

アヤは落ちたエメラルドを拾ってスズカに渡そうとする。

「それは差し上げます。」

「え、いいの?」

スズカが頷くとアヤは感謝の気持ちを述べてカバンにエメラルドをしまった。

「ルートディガーになったものは最後にこのスプレコ・ロードに来て鉱石の中から宝石を手にいれ、ソルディを発つ。そしてその宝石が他の町で高く売れるから旅の始まりの金の足しになるのさ。」

ショウの説明をマユが感心しながら聞く。

「ですから私は試験に合格したらまた改めて発掘します。」

スズカははっきりとした声でそう言った。