ショウが懸念しているのは出国検査である。
ショウ自身はルートディガーのライセンスを持っているわけだが、他の3人はそのライセンスを持っていない。
ルートディガーと認められた者は国の往来を半ば自由にされている。
しかし、それ以外の一般人は何度も検査を受け、やっと出国できるのだ。
そのタイムロスの間にマユの正体がばれてしまえば元も子も無い。
「でもよ、いったいどこ行くんだ?」
テルは総合案内板を見ながらそう呟く。
「帝国が警戒を強めている今、まずは中立の立場にある港町ボルトか黄金都市・ソルディだな。」
ショウの言葉に3人は行き先を探す。
「ボルトって……」
「エミスフェロの南にある港町…あんたが消えた場所。」
アヤは意地悪そうに笑いテルをおちょくる。
「あれはしょうがねぇだろ。消えたくて消えたんじゃねぇし。」
テルはそう言って負けじと返す。
「んで、どっち行くんだ?」
「黄金都市、見てみたいです。」
マユはショウにそう答え微笑む。
「なら、そっちで。」
テルとアヤも賛成し、黄金都市・ソルディ行きの船へと向かう。
すると兵士たちが検問を行っており、テルたちは少しびくっとなる。
「俺がなんとかする。余計なことは喋るなよ。」
ショウは3人にそう言って歩いていく。
「それでは身分証明書をお願いします!!」
兵士がそう言って話しかける。
「ルートディガーだ。後ろの3人は見習いだがな。」
そう言ってルートディガーのライセンスカードを兵士に渡す。
「ルートディガー……★★☆☆☆……ドゥエですね。」
兵士は入念にカードを眺める。
「ソルディに行って申請をしようと思ってるんでね。」
そう言って後ろの3人のほうをちらっと見る。
「しかし、ルートディガー・トレからのみ見習い同伴を許されていますが、ドゥエでは認められていません。」
(やはりそうなるか…)
ショウは驚くこともなく話を続ける。
「ソルディに行ってからトレの申請をするが、ダメか?」
ショウが聞くと兵士はマニュアルどおりといった感じで答える。
「それでしたらあなたが1度ソルディへ行き、申請を終えてから再び4人で渡るという形をとってもらうか、一般人としてしかるべき手続きを終えてから出国してください。」
兵士の答えにショウは交渉の余地無しと判断する。
(さて、どうするか……さすがに船は奪えないしな……)
そんな頭を悩ますショウの元へ一人の女性が現れた。